オンライン時代の人材育成法を山本五十六の言葉「やってみせ…」に学ぶ
2020.11.05
ツイート人材育成の教訓として、日本海軍の司令官であった山本五十六による「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉を聞いたことは多くいるのではないでしょうか。今回はこの山本五十六の言葉をオンライン時代の今、改めて見直していきたいと思います。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ
やってみせ
「基本的な手順をしっかりと見せ、仕事の全体像を把握させる」
早速、オンライン時代に対応が疎かになりがちな項目です。仕事を任せることはとても大切です。しかし、新入社員への指導や新たな業務の依頼など、内容によってはいきなり“やらせてみる”では何もわからないままどうしてよいか戸惑いその先に進めないままになってしまいます。
オンライン上でも可能な限り見本を提示する、提示できない場合の代替案を考える、そもそも“やってみせ”が抜けていないかを確認することを意識したいものです。
言って聞かせて
「仕事のポイントを教える、不安や疑問を解消する」
見本をみせるだけではなく、しっかりと説明をする必要があります。職人修行のような“見て覚える・技を盗む”は、人材育成の観点からは効率的ではありません。特にリモートワークの環境下では、直接技を見る機会も減りがちです。
また、仕事の内容を理解していることを確認します。一方的に説明したかどうかではなく、きちんと相手に伝わっているかという点に注意して説明をします。
させてみて
「実際に手を動かしてやらせてみる」
十分に理解していても、いざ実践しようとしたら思うように出来ないということは往々にしてあります。説明だけで終わらせずに、理解を深めるためにも実践をさせ、後に続くフィードバックすることまでを指導の基本の流れと考えましょう。
リモートワークの環境下・オンライン上での指導となると“やらせっぱなし”にならないように気をつけなければなりません。実践の様子を見守ることができるものは、一緒に確認をする。成果物として作成したもらうものなどは、途中経過をこまめにチェックすることが重要です。新入・若手社員では、自ら途中経過を報告することに躊躇がある場合もあります。指導側からの声がけが重要です。
ほめてやらねば人は動かじ
「実践した内容について肯定し、フィードバックする」
“やらせっぱなし”ではなく、実践したことに対してのフィードバックが必要です。まず、やってみてどうだったか本人の自己評価を確認しましょう。問題なく実施できた場合には“褒め”て、自信を持ちモチベーション高く仕事に取り組めるような土台を作ることができます。うまくできずに躓きがあった場合も、まずは“できていたこと”を肯定・評価しましょう。その上で、できなかったことの改善のアドバイスを行います。
上記のステップを踏むことで、指導者との信頼関係も生まれ、本人の仕事への原動力を育むことができ、”動いてもらう”ことができるのです。仕事の本質を理解して自らの意志で行動を起こしてもらうためにも、上記のステップを経た最適な教育方法を考える必要があるのです。
オンライン時代では、指導者が隣に寄り添い、常に確認できるという状況ではありません。また、上述のように指導される側からの声がけは躊躇しがちです。指導する側からのこまめなフォロー・フィードバックを心がけます。初めの手数はかかりますが、仕事の初期段階に丁寧なフォローをすることで、成長が促進され、戦力化されるスピードが早くなると捉えましょう。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず
山本五十六の言葉は、上記のような続きがあります。
「指導者と指導される側、お互いに信頼関係を持ち、率直な意見を話し認め合い、理解が深まっている仕事は早々に任せる。そして、任せた仕事に取り組んでいる様子を感謝の気持ちとともに見守る。信頼している姿勢をみせて接することで、人は成長する」役職や立場・年齢にとらわれずに、相手を一個人として尊重する姿勢が、信頼関係を構築し、“人を動かす”ことにつながると捉えられます。
オンライン時代の到来で、“リモートワーク勤務中の部下の様子が見えないため不安”“リモートワーク業務の管理ができない”という声も聞かれます。そして、如何にして把握するかという手法が注目を集めています。(…常にオンラインシステムをオンにしておく、細かい日報を書かせる、PC履歴を確認する…等)しかし、山本五十六の言葉を踏まえて考えるとそれらの施策は“話し合えていない、信頼できていない、仕事を任せていない、ひいては仕事に取り組んでいる様子に感謝をしていない”とも言えます。それは業務の管理でもなく、ただの監視です。
上司・指導者としては忍耐が必要かもしれません。しかし、信頼関係構築ができていない場合は、年長者の働きかけが足りないと考え行動する必要があり、オンライン時代にはより顕著に求められると考えて良いでしょう。
改めて、山本五十六の言葉をオンライン時代の人材育成に当てはめた時に、留意すべきことが多くあり、100年近い時を超えても、活かすことのできる言葉ではないでしょうか。