集合研修におけるディスカッションの重要性
まず、集合研修を行うメリットの一つとして
グループワークやディスカッションを行い
他受講者の発言などから、新たな気づきや学びを得るというものがあります。
そこでの話し合いを建設的なものにするためには
講師から受講者への問いかけを工夫する必要があります。
それに対する受講者の回答次第では、
研修の学びの質が上がらないどころか、
進行が困難になる可能性もあります。
上手くいかない問いかけ①
例えば、これから新たにリーダーになる方たちに向けた
部下とのコミュニケーション・指導法を中心に学ぶ研修を例に考えてみましょう。
「あなたの理想のリーダーはどんな人でしょうか?」
という問いかけはどうでしょう。
これはオープンクエスチョンで、講師側の理論を押し付けるのでなく、
受講者の意見を引き出すための良い質問に見えます。
果たしてそうでしょうか。
実は、あまりに質問がオープンすぎてしまうと
受講者側も何を答えて良いかピンとこないため、
議論が活性化しない可能性があります。
また、それだけでなく研修として元々準備している内容と
受講者の意見が大幅にずれてしまったり、さらには、
受講者の意見や持論を否定しなければいけなくなる危険性も考えられます。
また、オープンクエスチョンを使うと
自由な議論が展開されるために
「実際にそんなリーダーがいたら苦労しないよ。」
などといったネガティブな意見が出ることもあります。
否定的な意見を出す受講生が頻発してしまうと
その対応に追われて、研修の軌道修正が非常に困難になります。
上手くいかない問いかけ②
では、先ほどの例において
逆に「リーダーにおいて部下とのコミュニケーションは重要でしょうか?」
という問いかけはどうでしょうか。
これは「はい」か「いいえ」で答えるタイプのクローズドクエスチョンです。
ただ、残念ながらこちらも質の高い質問とは言えません。
正直、私自身も研修でこのような質問を投げかけられたことがありますが、
「いやいや、『はい』って言わせたいだけでしょ。」というように
「いいえ」の答えを期待していないことが明白過ぎて答える気にもなりません。
経験・体験ベース×第三者の話
「じゃあ、どんな風に問いかけをすればよいの?」
と考えるときにポイントになるのが
『受講者の経験・体験ベース』であるということと
『第三者の話』であることの2点です。
今回のケースでいうと
「過去に出会ったリーダーの中で、この人のコミュニケーションの取り方は
素晴らしい(あるいは最悪)と思った人の特徴や言動を挙げてください。」
という質問が考えられます。
このように問いかけるメリットは具体的かつ現実的な話になることと
第三者の話なので客観的に話すことができることです。
また、第三者の話にするもう一つのメリットとして、
自身の成功経験は自慢話に聞こえてしまうかもしれない、
もしくは失敗談の開示は恥ずかしいといった理由で
議論が活性化しないことを防ぐという点があります。
まとめ
研修中の受講者への問いかけというのは
受講者への気づきや発見を促すだけでなく、
講師側にとっても非常にメリットのあるアクションなのです。
受講者の回答に対して、研修の講義で補足するという流れを作れれば
受講者もその後の話の内容を受け入れやすくなります。
より効果的な研修にするために、有意義なディスカッションは必要不可欠です。
それらを生み出すのは質の高い問いかけと言っても過言ではありません。
是非、研修をデザインする際は、どのような質問を投げかけるかまで、
注意深く考えてみましょう。
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