連載「芝を刈らないリーダー」第7回
前回は、演出のやり方を型にして、誰でも再現できるようにする大切さをお伝えしました。今回は、社員が30人、50人と増えたときに起きる教育の劣化と、借りた知識に頼らず、教育を自社の資産として積み上げる考え方についてお話しします。
100人の壁の手前で起きること
型を使って、チームの誰もが演出を担えるようになれば、教育はリーダー一人の熱意に頼らずに済みます。ただ、それで安心はできません。社員が30人、50人と増え、100人が見えてくるころ、トップの目と気持ちが一人ひとりに届かなくなります。
そこで起きるのが、教育の中身の目減りです。組織が大きくなるほど、トップの考えは現場に届くまでに薄まります。
誰かが悪いわけではありません。忙しい現場で、本来残すべき肝心な部分が少しずつ形を変え、現場の都合に合わせた解釈に置き換わっていく。気づいたときには、最初に込めた意図とはまったく別のものになっています。
これを放っておいたまま、トップの目が届く範囲を超えて組織を大きくするのは、正直に言って難しいと思います。現場の善意や個人の腕に頼る段階を抜けて、組織としての標準をつくる時期に来ているのです。
現場のリーダーに、地図を渡す
現場のリーダーに任せたいけれど、彼らに教える力があるだろうか。そんな不安を口にする経営者は少なくありません。教育を個人の才能だと考えている限り、この悩みは消えません。
型は、目的地を示す地図です。どの順番で事実を伝え、どこで問いを投げ、どうやって次の行動につなげるか。それが型として示されていれば、現場のリーダーはゼロから構成を考えずに済みます。彼らの仕事は資料づくりではなく、型に現場の実情を乗せてチームを動かすことです。
全員が同じ図を見て、同じ手順で考え、同じ言葉で話す。そうなれば、説明し直す手間がぐっと減り、トップの意図が薄まらずに届くようになります。
知識を借りる側から、型を持つ側へ
教育をその場限りで終わらせるか、組織の資産として積み上げるか。ここが大きな分かれ目です。
少し踏み込んだ話をします。定額制の学び放題サービスのように、借りた仕組みだけに頼り続けると、自社には何も残りません。いわば知識を賃貸しているようなものです。しかも同じ知識を、競合も同じ料金で使っています。
まなびスライドを月額制にせず、1テーマずつの買い切りにしたのは、この考えからです。買ったPowerPointのデータは手元に残り、自社の言葉に書き換えながら何度でも使えます。借りるのではなく、持つ。そこにリーダーの経験を重ねていきます。
買い切りで手元に残る型を、まずは無料で一つお試しください。
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教育の資産としての価値は、こう表せると考えています。
教育の資産価値 =(説明にかかる時間の短縮 × 使った回数)× 納得感の増幅
共通の言葉があれば、同じ説明を繰り返したり、認識のずれを直したりする時間が減ります。使う回数が増えるほど、その効果は積み重なります。
大事なのは、最後の増幅の部分です。型をそのまま使うだけなら、価値はそこで止まります。リーダーが現場で苦労して身につけた知見を1割だけ足すことで、説得力がまるで変わります。それが積み重なると、自社だけの資産になります。リーダーが現場を離れても、大事にしてきた判断の軸が組織に残り、働き続けるのです。
知見を資産に変える3つのこと
- 同じ資料を二度つくらない:勉強会のたびに、各リーダーが似たような資料をゼロからつくる無駄を、共通の型で終わらせる
- どう話すかで迷わない:設計図があれば、構成に悩む時間はほとんどなくなる。この余裕が、教育を思いつきで終わらせず続ける鍵になる
- 一人の知見を全員のものにする:一部の優秀なリーダーの頭の中にしかない知見を、組織の共有の引き出しに移す
一度型を資産にしてしまえば、同じテーマを毎回ゼロから準備する必要はありません。回を重ねるほど、準備の時間は減っていきます。知識を借りる側から、型を持って使いこなす側へ。この切り替えが、100人の壁を越えるための一歩になると考えています。
次回は、まなびスライドの中身と、スライドに仕込んだ工夫を具体的にご紹介します。
まなびスライド
資料づくりは型に任せて、リーダーは場づくりに集中する
研修業界で16年、650社を超える現場で磨いてきた学びの型を、そのまま使えるPowerPointにまとめました。100を超えるテーマから、1テーマずつ買い切りで選べます。
無料でお渡しする「心理的安全性の型」の中身
対象:管理職・リーダー 所要時間:約60分 PowerPoint 本編13ページ 全ページに指導のポイントつき
- 心理的安全性とは何か
- 心理的安全性を高めるメリット
- 心理的安全性がもたらす働きやすい職場とは
- 心理的安全性の不足によって生じる4つの不安
- 信頼関係を構築する
- 発言する責任を理解させる
- 管理職・リーダーの側から問いかける
- 発言した内容に着目する
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この記事を書いた人
渡邉良文(わたなべ・よしふみ)
株式会社ヒップスターゲート FOUNDER 兼 CEO
人が勝手に育っていく職場の仕組みづくりをテーマに、株式会社ヒップスターゲートを16年かけてゼロから育ててきた。同社が研修を手がけた企業は650社を超え、現在は上場企業ビズメイツ株式会社のグループに加わっている。著書に『勝手に人が育っていく! 社員100人までの会社の社長のすごい仕掛け』(かんき出版)。
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