自分の気持ちや思考を整理する時に使える「7つのコラム法」とは
2021.01.21
ツイート新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会的変化により、多くの方々がストレスを感じ、メンタルヘルスの悪化に悩まされています。リモートワークの普及により、対面でのコミュニケーション機会が減少したことや、ストレス解消のための趣味活動の制限など、心身の健康を脅かす要因が増えています。
そこで、本コラムでは、自分の気持ちや考えを整理する際に役立つ「7つのコラム法」と呼ばれる手法を紹介します。この手法を活用することで、ストレスを上手に管理し、メンタルヘルスの維持・改善につなげることができるでしょう。日頃のストレス対策に、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
認知療法の手法の一つ
精神医学の分野で「認知療法」と呼ばれる手法は、人の感情や行動が状況そのものではなく、その状況に対する解釈の仕方によって大きな影響を受けるという考えに基づいています。つまり、同じ出来事に対しても、人によって捉え方が大きく異なりそれ、が心理的ストレスの程度に直結するのです。
例えば、「社内でプレゼンテーションに失敗した」という経験を考えてみましょう。この出来事に対して、「次のプレゼンテーションも失敗するかもしれない」「プレゼンテーションのことを考えるのが辛い」といったネガティブな解釈をすれば、強いストレスを感じることでしょう。一方で、「次のプレゼンテーションは今回の経験を活かして万全の準備をしよう」「社外へのプレゼンテーションではなくて良かった」「初めてのプレゼンテーションだったから、しょうがない。次は頑張ろう」といったポジティブな解釈をすれば、落ち着いて対処できるはずです。
このように、同じ出来事に対する「解釈の仕方」が、人の感情や行動に大きな影響を及ぼすのです。「認知療法」では、この「自動思考」と呼ばれる瞬間的な考えを整理し、ストレスを軽減する方法の一つとして「7つのコラム法」が用いられています。
7つのコラム法
7つのコラム法とは下記のステップで思考を整理していきます。
※他者と話しながら進めるとより効果的ですが、一人でも書き出すことで、取り組むことができます。
(“話す“ことがもたらすカタルシス効果についてのコラム参照)
STEP1 状況を整理する
気持ちが同様した時に起きたことを整理する
例:プレゼンテーションに失敗した
STEP2 気分
その時の気分や感情はどのようなものか
例:つらい、苦しい、逃げ出したい
STEP3 自動思考
その時瞬間的に浮かんだ考え
例:もうプレゼンテーションはやりたくない、社内で評価されないだろう
STEP4 根拠
自動思考を裏付ける具体的な事実
例:急な依頼で準備時間が足りなかった、事前に聞いていた人数以上の人が参加していた
STEP5 反証
自動思考と反対の事実をあげる
例:以前のプレゼンテーションでわかりやすかったと褒めてもらったこともある
次のプレゼンテーションもよろしくと言われた
STEP6 適応的思考
バランスのよい考えに導く
例:すべてのプレゼンテーションを失敗してきているわけではない。
次も期待されている。今回のプレゼンテーションも自分だけが
失敗と思っているかもしれないし、次の機会も頑張ろう
STEP7 心の変化
STEP1~6を行ったことでの今の気持ち
例:次回のプレゼンテーションを頑張ろう。
前向きな気持ち、次へ生かそうとする、周囲にプレゼンテーションの意見を聞いてみよう
以上が「7つのコラム法」のステップと認知の変化の例です。
自分自身のメンタルヘルスを維持するだけでなく、ストレスに悩む同僚や後輩の方々にも、この「7つのコラム法」は大変有効なツールとなります。不安な気持ちに押しつぶされそうな時に、この手法を試してみることをおすすめします。この方法は、自分の感情を整理し、より前向きな思考を促すことができる実践的なアプローチです。ストレスに苦しむ人々を支援し、メンタルヘルスの向上につなげていくことができるでしょう。