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どこまでが砂山?曖昧な言葉に潜むパラドックス

2023.10.13

言葉の定義、ちゃんとしていますか?

ソリテスパラドックス(Sorites Paradox)という言葉を聞いたことがありますか?
このパラドックスは、ある対象が一つずつ変化する過程で、
それがいつから新しい性質を持つと見なされるべきかという問題を提起します。

具体的な例として、以下のような問いかけがあります。
「一粒の砂を取り除いたら、砂漠は砂漠でなくなるのか?」
もしそうなら、一粒の砂を取り除いた後も同じ質問が続きます。
「その次の一粒を取り除いたら、砂漠は砂漠でなくなるのか?」
これを繰り返すと、たった一粒ずつ砂を取り除いていっても、
いつまでたっても砂漠としての性質を保ち続けることになります。

パラドックスの名前である"Sorites"は、ギリシャ語で「山」という意味です。
このパラドックスは、山のように一つずつ対象を増減させた場合、
いつからその対象が存在しなくなるのかという問題を投げかけています。

ソリテスパラドックスは、境界を明確に定義する難しさを示すものとして、
言語学、数学、論理学などの分野で取り上げられています。
通常の論理や直感的な思考に疑問を提起し、
境界や分類の問題について深い洞察を与えることがあります。

ソリテスパラドックスの特徴

ソリテスパラドックスは他のパラドックスと比べていくつかの異なる特徴を持っています。
例えば次のような違いが挙げられます。

境界の問題

ソリテスパラドックスは、境界を定義する問題に焦点を当てています。
他のパラドックスが主に論理的な矛盾や逆説的な状況を扱うのに対し、
ソリテスパラドックスは境界の位置や境界線の曖昧さについて考えます。
そのため、対象の変化や数量の連続性に関連する問題を探求します。

連続性と漸進性

ソリテスパラドックスは、対象を一つずつ変化させる過程を追求します。
例えば、砂の例で述べたように、一粒ずつ砂を取り除いた場合に起こる境界の問題を考えます。
この連続的な変化と漸進性の観点から、他のパラドックスとは異なる特徴を持っています。

仕事に与える影響

ソリテスパラドックスは境界の曖昧さや連続性の問題を示すため、
意思決定において境界を定義することが難しくなる場合があります。
例えば、プロジェクトの進捗状況や成果物の品質に関して、
どの段階で完了とみなすべきかを判断する際に、影響を与えるでしょう。
明確な成果物があれば「完了」にボーダーラインに迷うことはないでしょうが、
数値では測りにくい定性的なものは、人によって完了か否かに
大きな差が生まれてしまうことになります。

同様に、「コミュニケーション」も定義があいまいな言葉の一つです。
コミュニケーションとは、日々の対話や雑談であると考える人もいれば、
職場においては仕事の進捗を共有することがコミュニケーションであると
定義づけする人もいます。

お互いの定義を確認せず、ないがしろにしたままにしてしまうと、
「職場で全然コミュニケーションが取れていないので、ランチ会をしましょう」
などと独りよがりな解決策を持ち出してしまうこともあります。

ソリテスパラドックスによる影響を最小限に抑えるためには、
境界を明確に定義するために言葉の意味や基準を明確化することが重要です。
何となく話は通じている状態は、実は危険な兆候かもしれません。
抽象的な言葉が出てきた際には、一つひとつしっかりと認識合わせをしていきましょう。

 

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