DEIの推進を阻む要因に「アンコンシャス・バイアス（無意識の思い込み）」が挙げられます。アンコンシャス・バイアスとは、自分が気づいていない偏見や思い込みのことです。

知らず知らずのうちに、自分の思い込みで相手を判断したり、評価をすることで、不公平で差別的な行動に繋がることがあります。

こうした行動は、無意識のうちに相手を傷つけている可能性があります。

マイクロアグレッションとは

マイクロアグレッション（Microaggression）は、無意識のうちに人種、性別、性的指向、宗教、障害、国籍などの特定の属性や背景に基づいて、他の人に対して差別的、冒涜的、攻撃的な言動や行動を含む小さな行為や態度を指します。これらの行動は、無意識の偏見や思い込みに基づいており、相手が傷つくことがあります。

マイクロアグレッションは、明確な悪意がないからこそ認識しづらいです。しかし、これらの小さな行動や言動が積み重なることで、相手に対するストレスや不快感、不平等感を引き起こすことがあります。

例えば、「彼氏/彼女はいるの？」と質問することは、無意識のうちに相手を異性愛者と決めつけていることになります。
この質問は、相手が同性愛者であるという可能性を排除した言動です。
仮に相手が同性愛者であった場合、聞き手は気づかない間に不快な思いをさせることに繋がるのです。

マイクロアグレッションをなくすために

マイクロアグレッションをなくすためには、持続的な取り組みが必要であり、個人、組織、社会全体の協力が不可欠です。差別や偏見に対する根本的な変化を促進し、より包括的で公平な社会を築くために努力することが重要です。

具体的なアプローチは、下記の方法が挙げられます。

1. 研修と教育
   マイクロアグレッションを生むアンコンシャス・バイアス（無意識の思い込み）について、意識を高めるためにトレーニングや教育プログラムを導入し、個人が自身のバイアスを認識し、対処できるようにすることが重要です。
2. 対話とコミュニケーション
   対話の場を提供し、異なるバックグラウンドや経験を持つ人々が意見を交換し、相互理解を深める機会を創出します。適切なコミュニケーションを通じることで、誤解や不安が減少し、マイクロアグレッションの発生率が低下する可能性が高まります。
3. DEIの促進
   多様なバックグラウンドを持つ人々を組織内で積極的に受け入れ、DEIを推進します。多様な視点と経験が尊重される環境では、マイクロアグレッションが減少しやすくなります。

まとめ

マイクロアグレッションは、個人や組織、社会全体において差別や不平等の一因とされ、その影響は個人的な精神的健康や社会的結束に及ぶことがあります。そのため、教育や訓練を通じて、人々が自身の行動を振り返り、他の人々に対してより敬意を持ち、包括的で平等な環境を促進するために、マイクロアグレッションについての意識を高める取り組みが行われています。