2021.10.29

外部コンサルに頼らない自走組織の作り方

あゝ人材教育!3分ななめ読み

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業務改革を行う場合や新規プロジェクトを立ち上げる際には、専門性の高い外部コンサルタントに依頼することがあります。今回は、こうした外部コンサルタントに代わる課題解決方法の一つとして、「自走組織」の仕組みと作り方を紹介します。

そもそも自走組織とは?

自走組織とは、外部のコンサルティングファームに所属する専門コンサルタントの助けを借りることなく、自社人材だけで、課題解決やプロジェクトを進められる自立型の組織のことです。

従来の会社組織とは意思決定方法が根本的に異なっている、革新的な組織形態です。

自走組織の定義―意思決定の主体はメンバー

一定の理念にもとづいて、組織のメンバーが自分で考え、最終判断を下し、行動できるメンバーで構成されているのが特徴です。

組織全体で共有する理念やビジョンを実現できるように、組織のメンバーは問題を提起し、解決方法を模索した上で、最終判断を下します。

さらに、自走組織は革新的な組織モデルを採用しているため、組織の利益や成長につながりやすいことも特徴の一つです。

トップダウンまたはボトムアップ型意思決定方法との違いは?―決定権者は責任者

日本の従来型組織では、ほとんどの場合、トップダウン、あるいはボトムダウンのいずれかの意思決定方法がとられてきました。どちらの方法も、会社であれば組織の上層部、チームであればリーダーといった組織を統括する立場の人が、最終的な意思決定を行います。

トップダウン型では会社の上層部やチームリーダーが問題提起や戦略の最終的な意思決定を行い、部下がその決定にしたがって、業務を進めます。

トップダウン型の意思決定方法はカリスマ性のあるリーダーがトップに立つ組織に見られる傾向があり、スピード感のある業務の遂行やリソースの適正配置、組織の一体感などのメリットがあります。その反面、メンバーが受け身になりやすい、現場の意見や不満が上層部に伝わりにくいなどのデメリットがあります。

ボトムダウン型では、会社の上層部やチームリーダーが現場担当者から問題点や改善点を吸い上げて、最終的な戦略や手法などを上層部が決定します。

現場の声が反映されやすく、チームメンバーも問題意識をもって業務にあたるようになるというメリットがあります。デメリットとしては、意思決定までに時間がかかる、メンバーの能力によってあがってくる情報の質にばらつきが出るなどが挙げられます。

トップダウン、ボトムダウンのどちらも最終決定権者が事業責任者である点が、自走組織との決定的な違いです。

あえて自走組織を採用するメリットは?

従来型の意思決定方法にはそれぞれメリットがあり、会社の成長段階や業務内容、または専門性の高さなどに応じて、適した方法が異なります。

会社や組織の規模、プロジェクトやチームによって、トップダウンとボトムアップの良い点だけを組み合わせることもできます。

トップダウンやボトムアップに一定の効果があるにもかかわらず、あえて自走組織を採用するメリットとしては、主に3点が挙げられます。

・各自が意思決定権者なので、より主体性をもって自立的に取り組むため、組織としてのパフォーマンスが上がる
・トップダウンでは期待できないような、メンバーの独創的な着眼点や、革新的あるいは多様性に富んだ発想があがってくる
・個人ベースで上流から下流まで一貫して業務が進められるため、メンバー個人のアウトプットを把握しやすく、組織への貢献度も確認しやすい

とりわけ、組織の成長が頭打ちになっているときや、組織にイノベーティブな進歩が必要なときに、自走組織は大きな効果を発揮します。

自走組織の作り方―戦略人事の観点から考える

自走組織を作ることは、社内のすべての制度をまるごと見直すに等しい大変革をともないます。自走組織を作るために最低限見直すべき領域は以下のとおりです。

見直すべき領域① 人材の採用方針や配置方針

自走組織を機能させるには、メンバー一人ひとりが、その時点で組織に必要なことを見極めて、適切な対策を立て、実行に移すことができる高い能力を備えていなければなりません。

そのため、自走組織を構成する人材を採用する場合、あるいは社内に自走組織によるチームを作る際には、知識が豊富で経験値が高く、実行力のある優れた人材を集める必要があります。

見直すべき領域② 意思決定モデル

上述のように、自走組織最大の特徴は、最終的な意思決定権者が個々のメンバーであることす。この点は、人材を集める段階から、組織の構成員全員に周知徹底します。

見直すべき領域③ 情報共有方法

自走組織は個々の能力を最大限に活かすための仕組みです。一方で、組織としてのパフォーマンスを上げるためには、発案したメンバーは多方面からの意見や情報を取り込んで、議論を尽くした上で、最適解を自分で選択・決定しなければなりません。

進行中の案件に対する意見などをさまざまなフェーズにおいて吸い上げるための効率的な情報共有方法の考案が求められます。

見直すべき領域④ 働き方

人によって、あるいは業務内容によって、個人の能力を最大化できる働き方は変わってきます。働く時間帯や場所なども、個人のニーズにあわせて自由に選べる体制が必要です。

自走組織の成功に必要なこと

自走組織を軌道に乗せて成功に導くためには、人事制度の抜本的な見直しによる環境整備だけでは不十分です。個人の能力を最大限に引き出すために、以下についても徹底します。

組織の理念共有

組織全体が目指すべき方向性や理念、ビジョンなどを、組織の構成員全員が確実に共有できるようにします。

もともと優秀な人材が揃っているので、着地点さえ分かれば、あとは自分なりの視点と手法で前進するだけです。

新しい組織文化の定着

個の重視や自立性といった、自走組織特有のカルチャーができるだけ早く定着するように、雰囲気作りやさりげない声掛けなども必要になるでしょう。

従来型の意思決定モデルによる組織から移行した場合、新しい自走組織モデルが組織内で定着するまでは、業務の進捗が捗々しくない可能性もあります。

 

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