とある会社からの相談
A社
「10月に新入社員を対象としたフォローアップ研修を実施したいから、
同期間の関係構築、交流を主軸とした研修プログラムを導入したい。
今はなかなか同期同士で会う機会もなく、不安や悩みを抱えている人も多いはずだから・・・」
もしも、あなた研修を企画する立場の人だったら、どのような研修プログラムにしますか?
ご要望通りにコミュニケーションやチームビルディングを中心にした研修?
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
今回のコラムでは、そもそも研修の目的とは何かを改めて考えていきましょう。
「育てる」から「辞めさせない」への教育シフト
筆者自身も営業職として、人事担当者様からの相談を受ける立場にありますが、
コロナ禍になってから、Aさんのような研修相談は本当によく耳にするようになりました。
これまでの新人研修の目的は「新人・若手の即戦力化」にありました。
現場でパフォーマンスを発揮するために必要なビジネススキルの習得を目指して研修を実施するわけです。
もちろん新人同士の絆形成やチームビルディング要素もその研修過程には内在していたものの、
あくまでも副産物の位置づけであり、仲良くなるために研修を行っていたわけではありません。
一方で近年、特にコロナで在宅勤務やオンラインでの仕事のやり取りが定着化していくにつれて、
新人教育は様相を大きく変え、目的さえも「新人同士の絆形成」に置き変わったのです。
新人が仕事を進めるにあたって、不安や悩みを相談できる仲間は非常に大切です。
そのことを否定するつもりは一切ありませんが、研修がいわば仲間づくりの場として、
重宝されるのには違和感を覚える方もいるのではないでしょうか。
新人同士の繋がりは点ではなく線
多くの会社では、新入社員研修は現場配属までの基礎訓練期間です。
その訓練期間中に新人同士が仲良くなれるか否か、十分なコミュニケーションが取れるかは、
会社や人事がコントロールできる範囲ではなく、またコンロトールすべきものでもないでしょう。
本格的な仕事が始まり、色々な経験を積んでいく過程の中で不安や悩みに襲われるわけですから
新人にとっての横の繋がりは、むしろ現場配属後にその重要性が増します。
そのため、新人研修の時間中に無理やりグループワークを多く設定して、
受講者同士の対話の機会を増やしても、徒労に終わる可能性は十分にあるのです。
ここで押さえておかなければならないのは、
本当に新人同士の繋がりや絆形成に重きを置くのであれば、
現場配属後にも継続して気軽にコミュニケーションが取れる環境づくりであり、
新人研修のプログラムを変えることではない、ということです。
新人同士の繋がりは研修期間中における点ではなく、
現場配属後を中心とした線で考えるべきなのです。
まとめ
コロナ禍となって以降、新入社員からは孤独、寂しいという声を聞くようになりました。
新人と現場で働く上司・先輩、人事担当者としては、
何とかこの現状を解決してあげたい、そう思われていることでしょう。
思いには非常に共感しますが、解決策の一つとして安易に研修を選んではいないでしょうか。
まもなく始まる新人研修。
「研修で同期同士が集まるなら、コミュニケーション機会をたっぷりと・・・」
と考える前に、まずは改めて研修を行う目的や意義を考えてみてください。
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