日本の労働生産性が低い理由
日本の労働生産性は特に低いことで知られています。主要先進7ヵ国(アメリカ・ドイツ・カナダ・フランス・イギリス・イタリア・日本)では最下位で、実に1970年からずっと最下位が続いています。実際、日本の労働生産性はアメリカと比較すると6割程度なのです。労働生産性が低いとは、日本企業が効率的なアウトプットができていないことを意味します。
日本の労働生産性の低さを招いている要因はいくつかありますが、その一つにチームとしての働き方があります。日本企業では個人で働くよりもチームで一つの仕事をこなすことが重んじられています。職場のメンバーそれぞれが自分の強みを活かしつつ、相互補完的にサポートしつつ仕事を進める。これだけ読むと非の打ちどころがなく、生産性は高くなるように感じられます。
しかしながら現実は違います。自分の業務範囲の範疇を超えてサポートすることもしばしばあり、結果的に自分の仕事に十分なリソースを割くことができない、残業だけが増えていく、というマイナスも影響してきます。中には日本企業独特の文化、習慣に起因するものもあります。分かりやすい例が「上司より先に帰ることは失礼にあたる」という考え方でしょう。自分の仕事は終わったけど、上司や先輩、周りのメンバーがまだ仕事をしている中で自分だけ先に帰るわけにはいかない、その意識が残業時間の増大を引き起こしています。最近では、こうした慣例や意識を改善する動きも見られるようになりましたが、見違えるほどの成果を生み出すまでには至っていないのが現状でしょう。
労働生産性を向上させるには・・・
労働生産性の向上は一朝一夕では成しえません。生産性の低下を招いているであろう原因を突き止め、一つひとつを丁寧に解決していくことが重要です。例えばチームの働き方一つを取ってみても、完全な個人主義に移行すれば問題が全て解決するかと言えば、そうではありません。個人主義に傾倒することは、日本の強みや良さ、助け合いの精神までをも失ってしまうことになりかねません。社員のモチベーション、業務難度、ボリュームなども総合的な観点を持ちつつ、より生産性が高まる施策を取っていかなければなりません。その中で、多くの企業が重要視しているのがチームビルディング、つまり「最高のチーム」を作ることなのです。
チームの発展段階
ブルース・タックマンは組織進化のモデルで、チームが発展する段階を次の4段階(※)に分類しています。
※第5段階として解散期がありますが、本コラムでは割愛します
第1段階:形成期
形成期は、チームが結成された直後を指します。お互いをよく知らず、チームの中でどのように振舞えばよいか、各メンバーが様子見をしているような状態が形成期の段階に該当します。この段階のチームは、外から見ていると穏やかなチームに映ることが多いですが、自己主張の強い人が多い場合は、緊迫した雰囲気が形成されることもあります。
第2段階:混乱期
混乱期は、メンバー間の意見や価値観の食い違いや、業務の進め方について対立が起きている状態を指します。第1段階の形成期経て、メンバー同士の意見交換が活発になると、メンバーそれぞれの考え方の違いが徐々に表面化してきます。それによって、チーム内で意見対立が起き、時に嵐のような大混乱に至るのが混乱期の段階です。
第3段階:安定期
チームの一体感が高まってきた状態が安定期です。チームの価値観や仕事の進め方についての共通認識が形成されると同時に、メンバー個々の適性を活かした役割分担などがなされるようになります。安定期に到達すると、「チームワークが機能し始めた」という実感が湧くようになり、チームへの帰属意識が高まります。それによりモチベーションが高まり、「私達は」「ウチのチームは」といった表現が増える傾向にあります。
第4段階:遂行期
チームとしての業務効率が最大限に高まった状態が遂行期です。チームワークを最大限に発揮し、チームとしての最大効率を叩き出せるように各メンバーが連携できているようなチームはこの段階にあると言えるでしょう。この段階に到達すると、個々のメンバーがチームワークを考慮しつつ、自発的に行動するようになるので、チームリーダーが重要箇所のチェックや、管理業務に集中できるようになります。
遂行期を維持するのが最高のチーム
チームの発展段階を素早く上げることは大切ですが、第1段階にあるチームが、第2・第3段階を飛ばし、一気に第4段階に到達するということはできません。チームが発展していくには、第1~第4段階を1段ずつ着実にステップアップしていく必要があるのです。この4段階で最も望ましい段階は、言うまでもなく第4段階の遂行期です。つまり、最高のチームとは、チームワークの質を高めることで第4段階に到達し、チームの活動期間中において第4段階を維持できるチームのことなのです。
あなたが所属するチームは、どの段階でしょうか。遂行期であることが理想的であることは述べた通りですが、たとえ他の段階であっても悲観的になることはありません。焦らず着実に発展段階をステップアップしていけば良いのです。具体的な取り組みの一例としては「心理的安全性の確保」などでしょう。チームメンバーが意見を言っても「どうせ否定される」「馬鹿にされるだけだ」と感じてしまえば、意見を表明することすらできず、そのような環境下では生産性が上がるはずがありません。チームメンバーが各自の意見や考えを明らかにしつつ、活発な意見交換ができるように、安心して発信できる文化、雰囲気を定着させるためにはどのようにすれば良いのか。日々そうしたことに意識を向けながら、より良いチームの働き方を考えて実行していくことが、最高のチーム作りの第一歩となるでしょう。
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