社員の病も多様性の一つ!?
ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)が声高に叫ばれる現代社会において、
各々の社員が能力やスキルを如何なく発揮できる環境を整備する動きは非常に活性化しています。
本格的な生産年齢人口の高齢化を迎え、女性活躍推進、障がい者雇用、
グローバル人材の活用などが目を引くところですが、
D&Iでは大々的に取り上げられないのが、病を抱えた社員についてです。
社員の病、特にメンタルヘルス不調者への対応はコロナ禍になってから、
とりわけ注目、議論されるようになったものの、
とにかく仕事の負担を減らす、休ませることに力点が置かれ、
真に組織の一員としてどのようにすべきかの観点は、
あまり重要視されていないのが実情ではないでしょうか。
確かにメンタルヘルス不調が仕事へ与える影響として、
過去に病や不調を経験した人の8割が何かしらマイナスの影響があった、
と回答している調査結果もあります。
今後もD&Iは間違いなく推進されていくと思いますが、
こうしたメンタルヘルス不調や病を抱えた社員の活用も
多様性の一つと捉えていかなければ、
真にインクルージョンな組織であるとは言えないでしょう。
人事が行うべき支援とは何か?
病やメンタルヘルスと一言にいっても、その背景には、
本人の不安のみならず、職場の課題も同時に存在します。
代表的なものは次のようなものです。
本人の不安
- 病気のことを会社や職場の人に言えない、相談しづらい
- 周囲の人に迷惑をかけてしまうことの申し訳なさ
- 仕事と治療の両立ができるかの不安
- キャリア形成への悪影響など
職場の課題
- どのような声掛け、支援ができるか分からない
- 仕事をどの程度、任せるべきか迷う
- 周囲の人との人間関係に影響がでないか不安
- 役割、役職など待遇の変更がしづらい
ここに挙げたのは、あくまで例であり実際の現場では、
もっと深刻な悩み、課題を抱えているケースも少なくないでしょう。
これに対して人事側はどのような支援をできるでしょうか。
1つめは「制度を整える」ことです。
産業医や保健師、現場の上司などの支援体制を確立し、
会社としてのガイドラインを作りましょう。
特に休職や復職、処遇変更はトラブルに繋がりやすい部分のため、
入念な整備が必要となります。
2つめは「風土を整える」ことです。
最近では心理的安全性という言葉が注目を浴びていますが、
本人や周囲のメンバーが気軽に言い合える風土、雰囲気を
日頃から作ってくことが大切です。
いざ、病に罹ってしまってからでは手遅れです。
病はいつ、誰に降りかかってくるか分かりません。
相談しやすい組織風土を作っておくことが、
ひいては将来の自分自身を救うことにもなりかねませんので、
心理的安全性の高い職場、風土を作っていきましょう。
まとめ
病やメンタルヘルスは本人からの開示がなければ、なかなか他人からは目につきにくいものです。
だからこそ読者の中には、うちの会社は大丈夫、関係ないと見過ごしてしまう可能性があります。
とかくセンシティブなテーマであるが故に、対応方法は難しい部分が多くありますが、
そこに目をつぶって見えないフリをしていては、D&Iを実現できているとは言えないでしょう。
まずは人事が中心となり、考えるべきこと、すべきことは何かを整理し、
社員が安心して働き続けられる会社を目指していきましょう。
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