国際的視野を身に付けるのに必要なこと
2019.11.22
ツイートなぜ、今、「国際的視野」が必要なのか
近年、教育でもビジネスでも、「国際的視野」の必要性は共通認識になっています。日本社会や日本企業では不可逆的にグローバル化が進行しています。こうしたグローバル化を支える個人レベルの能力の一つが「国際的視野」であることは、もはや疑う余地はありません。
もっとも身近なところでは、インターネットやSNSがコミュニケーションツールとして世の中に浸透して以来、国境や言語の違いを意識することなく、世界中とやり取りできるようになりました。
日本企業の中には、成熟した日本市場から新たな市場を求めてグローバル展開することが経営課題となっているケースも多く見られます。
それ以外にも、2020東京オリンピックのようなスポーツを通じた人的国際交流、日本の教育機関への国際バカロレア(国際的な教育プログラム)導入など、世の中のグローバル化は誰にとっても他人ごとではなくなってきています。このグローバル化の波に乗るためには、各自が国際的視野を身に付ける術を学んでおく必要があるでしょう。
「国際的視野」とはどのような能力なのか
「国際的視野」という能力を、あらためて整理しておきましょう。
「国際的視野」は定義された用語ではありませんが、現在の経済・社会での概念などと照らし合わせると、次のような能力の総称であるということができます。
① グローバル言語である英語を使いこなせる語学力とコミュニケーション能力
② 多様性を受け入れられる柔軟性
③ 自分たち、または日本だけの利益ではなく、世界にとっての利益を考えられる視点
④ 日本と相手国の文化・伝統に対する深い教養と専門的知識
⑤ 自分の意見を形作る基盤となる観察力や論理的思考力
国際的視野を考える上で重要なことは、自分の知見やコミュニケーション能力などを駆使して、これまでの常識や概念にとらわれずに、新たなビジョンをグローバルレベルで構築できる能力です。
このようなグローバルで戦略的な能力を持つ人材こそが、企業のグローバル展開のキーパーソンとなる「グローバルリーダー」です。
国際的視野を身に付けるには
専門知識の蓄積やスキルの習得は大前提
国際的視野やグローバル化の基礎となるのは自分の意見を伝えるツールとなる語学力です。語学力の触媒となるのがコミュニケーションスキルです。それとあわせて伝えるべきコンテンツは高度な専門知識や教養であるのは言うまでもありません。
こうした「スキル」に属する知識や技術は、個人レベルでの座学や現場での経験の積み重ねなどで習得することができます。国際的視野を身に付けたいならば、大前提だと考えるべきでしょう。
他者との意見交換や異文化交流を積み重ねて育まれる能力
多様性、異文化、自分と他者の視点といった、複数の文化や人物との交流がキーワードになる能力も、国際的視野には欠かせません。
・国籍や言語にとらわれず、幅広い属性の人と双方向的なコミュニケーションをとる能力
・自分の常識とは異なる概念の存在や異文化をリスペクトする能力
・自分や日本のみならず、グローバル規模で利益になるビジョンを自分の言葉で伝えられる能力
国際的視野を持つグローバル人材には、一つのスキルや職務を超えて、世界を舞台としてビジネス全般を俯瞰できるセンスが必要です。このような能力は自己研鑽だけでは育まれません。
異文化体験による国際的視野の醸成手段とは
もっとも有効な方法は海外留学でしょう。
日本語が通じず文化も異なる海外で自分の意思を伝えるためには、高い英語力とは別の次元の伝わる英語を身に付ける必要があります。伝えたいことを相手に的確に伝えるコミュニケーションスキルも実践を重ねることで培われます。
異文化の相手と議論を重ねることで、自分の常識はグローバルスタンダードでないことに気付くことができます。違う視点を持った相手と話すことで、自身の考えが明らかになることも多く、自分なりの視点を確立するのに適した環境でもあります。バックグラウンドの違う人たちに共通する利益は何かを考えるきっかけにもなります。
海外留学できない場合でも、現在の日本では、海外のビジネススクールに勝るとも劣らないカリキュラムと英語環境を備えた社会人向けビジネススクールを活用することができます。
全課程が英語で行われる一橋ICS(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際起用戦略専攻)や、留学生が多く英語で履修できる早稲田大学大学院 経営管理研究科の全日制グローバルなどがその一例です。
夏休みや有給休暇を利用して、たとえ1週間または2週間、旅行ではなく現地で「暮らす」経験をするだけでも異文化コミュニケーションの一端を垣間見ることができます。
もっと簡単な方法としては、英会話サークルや通訳ボランティアなどで、海外の人と積極的に関わり、相手の考えを聞いたり、英語で伝えたりすることを繰り返すことでも、多様性を体験し、異文化コミュニケーションスキルが磨かれます。
国際的視野を持った人材を効果的に育成するためには、積極的に取り組んでいる社員、またはその意思を持っている社員をすくい上げ、企業側が実践の場を提供することも必要になるでしょう。