新型コロナウィルスによるイレギュラーな状況下で、自分のキャリアを見直す節目と捉えている方も多いのではないでしょうか。キャリアを見直すにあたっては、自己理解を深めることが大切です。今回は、自己理解を深める一つのヒントとして、”家族布置”という考え方をご紹介します。
アドラー心理学の”家族布置“とは
アドラー心理学とはオーストリア出身の心理学者アルフレッド・アドラーが創始し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系のことで、個人心理学、自己啓発の祖となる心理学とも言われています。
人が自分の人生の主人公として充実して生きていくために、人の成長過程での周囲の環境・人間関係等がどのように影響するか、また影響に捉われずに自分らしい”性格“や”信念“をどのように築いていくか、様々な観点から個人の行動の勇気づけをしてくれる学問とも言われています。
アドラー心理学では8~10歳くらいまでに特有の思考・感情・行動のパターンが確立されると言われています。その年齢では周囲の環境の影響を受けやすいため、特に家族関係は大きな影響を与えると考えています。
“家族布置”とは家族の配置図をいい、きょうだいの中で何番目に生まれたか、きょうだい間での競合関係の影響からおおよその性格傾向があらわれるというものです。あくまで傾向ですので、きょうだいの中で生まれ順とは別の相互関係があったり、親との関わり方の影響等を受けて変わることもあります。
家族布置で、親よりもきょうだいに注目するのは、親の愛情・注目を受けるためにきょうだい同士が競合関係にあり、そのポジション取りを意識して行動するためと言われています。きょうだいで性格が全く違う、違う分野を選ぶ等はこの家族布置が一因ともいわれています。
それぞれの性格傾向をみていきましょう。
第1子の性格傾向とは
・注目を集めたいと思う(きょうだいの誕生により親の注目が分散したため)
・公正であろうとし、支配的になる傾向がある
・親と同じように下のきょうだいと接したがる。助けたり守ったりする
・周囲の期待に応えようとする
・プライドが高い
第2子の性格傾向とは
・上の子より親や周囲から注目をあびない(と感じやすい)
・自分より有利なきょうだい(第1子)が常にライバル
・第1子に追いつき、追いこそうとする
・第1子と反対の事をして注目を浴びようとする
・第1子の持っていない能力を発揮しようとする
中間子の性格傾向とは
・不公平だと感じることが多い
・きょうだい間で身動きが取れないと感じる
・親からの愛情を一心に受けたと感じられない
・自分の場所を探そうともがきやすい
・上・下のきょうだい間のやり取りに長けており適応力がある
末っ子の性格傾向とは
・甘えん坊で寂しがりやである
・末っ子の役割を演じて家族に何かをしてもらうことが当たり前になる
・一番小さくて弱い存在と感じていて、物事を深刻に受け取らない
・誰もが自分より能力があると感じる
・自分流を貫きやすい
一人っ子の性格傾向とは
・過保護に育ち、甘えん坊で寂しがりやである
・注目の中心になって、そのポジションが当たり前になる。特別だと感じる
・マイペース、したいことをしているのが楽しみ
・年上や年長者との関係構築が得意
・責任感が強い
まとめ
いかがでしょうか。自分の性格や信念の形成に家族布置の影響を感じましたか?
自己理解を深める時に、自身の行動や考えの要因の一つとなっているのではないかと考えることで、心の拠り所になります。変えやすい部分と変えにくい部分があることを理解することができるのではないでしょうか。
ちなみに、アドラーは6人きょうだいの第二子・次男で、大家族の中で育ったことが自身のパーソナリティの成長と、後に独自の理論を発展させる基盤になったことを認めています。
なお、チームビルディングの観点で、この家族布置を共有したことがあります。あくまで傾向であることを前提に他者理解の一助として活用しました。個々人の行動特性の裏に、この家族布置も影響しているだろうとチーム全体で話し相互理解を深めました。(※個々人の行動・性格の決めつけはNGです)
オンライン業務が進む現在、他者とのコミュニケーションの質と量が変わってきています。自己・他者理解のヒントとして、コミュニケーションのアイスブレイクとして活用してはいかがでしょうか。
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