あえて流されてみる⁉「キャリアドリフト」という考え方
2020.06.07
ツイートキャリアドリフトとは
キャリアドリフトとは、神戸大学大学院の金井壽宏教授が提唱するキャリア理論のひとつです。ドリフトとは「潮流にのる、漂流する」の意 。節目においては、自分のキャリアについてじっくりと考えるべきだが、 節目でない時期には 、予期しなかった偶然の出来事や出会い(思わぬ掘り出し物)を柔軟に受け止め、 あえて流されることも大切であるとしています。
今までに経験したことのない新型コロナウィルスの影響は、キャリアの節目とも言えますが、一方で会社や所属組織から新たな業務を任されたり、新たな役割を与えられた方もいるでしょう。あえて流されてみることで新たな興味関心が湧いたり、自分の能力が引き出され、新しいキャリアの可能性が広がるかもしれないチャンスなのです。
計画された偶発性理論とは
「キャリアは100%意のままにコントロールできない。80%は偶然の出来事によって決定されている」スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱したキャリア論「計画された偶発性理論」でも、偶然を楽しむ姿勢の重要性が強調されています。偶然の出来事を呼び込むために、意識的に行動をおこすことを提唱しています。
その行動指針となるのが下記の5つです。
①好奇心 [Curiosity]
新しい事に興味関心を持ち、学習を続ける
②持続性 [Persistence]
例え失敗しても、努力を続ける
③楽観性 [Optimism]
実現する、可能になるとポジティブな姿勢を持つ
④柔軟性 [Flexibility]
信念や態度、行動等をこだわりすぎずに変えること
⑤冒険心 [Risk Taking]
結果をおそれず、まずは挑戦をする・行動をおこすこと
「計画された偶発性理論」は、目標や計画が不要ということではありません。
しかし、VUCAと言われる変化の激しい現代社会、10年後の未来の予測も難しいと言われています。予測できない未来への計画に縛られ、目の前のチャンスを逃さないように、前向きに柔軟に捉える姿勢が必要とされるのです。
キャリアデザインとキャリアドリフト
金井教授は、「職業人生は、キャリアドリフトとキャリアデザインの繰り返し」であると述べています。
流され続けないように、受け身の姿勢ではなく、自分らしいキャリアの錨(キャリアアンカー)をおろすことは大切です。ですが、あえて流されてみることも大切であり、新たなキャリアデザインを描くきっかけとなることも忘れないでおきたいものです。