森会長の女性蔑視発言
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の
女性蔑視とも捉えられる発言が現在も多くの批判を呼んでいます。
ただ、今回の件は本当に森会長だけの問題なのでしょうか?
この報道を見ていた方の中にも
「まあ、確かにな。」
と思ってしまう方もいらっしゃったのではないでしょうか?
実際に今回の報道を受けて、ボランティア辞退の動きが加速していますが
「そんなことで辞退するなんて~」という発言をされた議員の方もいらっしゃったので、
森会長の件はあくまで氷山の一角であり、問題の本質はもっと根深いところにあると言えるでしょう。
今回問題視されているのは、失言をしてしまったことはもちろんのこと、
「今回の発言を“失言”だと捉えられていない」
「批判されてはいるが、本質的に何が悪いか理解していない」
ということです。
おそらく、これらは本人たちの“思い込み”や“偏見”が
主な原因だと考えられます。
アンコンシャス・バイアスとは?
Unconscious(無意識、知らず知らずのうちに)とBias(先入観、偏見)を
組み合わせた単語で、私たちが無意識的に持っている”思い込み”や”偏見”のことです。
今回のように、自分では全く意識していないのに、
「特定の集団を差別的に扱っている」
「特定の物事に対し、理屈では説明できない極端な肯定感もしくは拒否感がある」
といった場合、アンコンシャス・バイアスがその背後に潜んでいる可能性が高いです。
例えば、
「親が単身赴任中と聞くと、父親を想像する」
「ドメスティック・バイオレンスと聞くと、男性が暴力をはたらいていると想像する」
などなど
実際に上記のような設問を20個準備して、
どれぐらい思い当たりますか?という調査したところ95.5%の人たちに、
何らかのアンコンシャス・バイアスが存在していることが判明しました。
(参照:「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)診断」)
アンコンシャス・バイアスがもたらす悪影響
ビジネスシーンにおいて、アンコンシャス・バイアスが引き起こす
問題・弊害は大きく以下の3つに集約されます。
非効率、非合理的な選択をする
アンコンシャス・バイアスによって、思考が歪められてしまい、
非効率的、非合理的な選択をして、損失や不利益に繋がる可能性があります。
(自由で柔軟な発想ができなくなり、創造的な行動がとれなくなる恐れもあります)
個々人の能力発揮が妨げられる
個々人の適性を誤って認識したり、能力を過剰・過小評価することにより、
適材適所な人員配置を妨げられる可能性があります。
人間関係の悪化
アンコンシャス・バイアスによって、他者に対して不快な行為・表現をしてしまい、
人間関係の悪化を招く可能性があります。
これにより、チームワークの質が低下し、業務効率や生産性に悪影響を及ぼすことも考えられます。
アンコンシャス・バイアスとの上手な付き合い方
ただし、覚えておいてほしいのは、アンコンシャス・バイアスは絶対悪ではないということです。
なぜなら、人は無意識の思い込みや偏見によって、物事を迅速に判断することを可能にしているからです。
例えば、松葉杖をついた人が電車に乗って来たとしましょう。
もし、満席状態だったとしたら、座席から立ち上がって「どうぞ」と席を譲りますよね?
このケースは、
<松葉杖をついている人=足を怪我している人、足に障害を抱えたりしている人>
→「だから、座席を譲るべきだ!」
というアンコンシャス・バイアスによる判断をしているということになります。
従って、アンコンシャス・バイアスは全て取り除くべきという見解は正しくありません。
弊害や問題に繋がりそうな自らのアンコンシャス・バイアスを
いち早く認識し、修正していくことが大切なのです。
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