2021.03.11

研修転移を促進させるキーマンはアノ人だった!?

あゝ人材教育!3分ななめ読み

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いやいや、結局本人次第でしょ?

「研修で学んだスキルを現場実践するかしないかなんて
 結局、受講者本人のやる気次第じゃないの?」

と思っているそこのあなた!

半分正解で、半分不正解です。

そもそも、研修転移とは
「研修で学んだことが現場で実践され、成果を生み出し、持続すること」を指しますが、
これを促進させる要素として「受講者本人」「研修内容(講師)」
そして「職場環境(上司)」3つが挙げられます。

研修転移に影響力のある人とタイミング

下のマトリックスは、ある学者が
研修転移に影響を及ぼす人物(上から上司、講師、受講者)=縦軸、
およびタイミング(左から研修前、研修中、研修後)=横軸、
また、それらが実際に使われている頻度を調査したものです。

記入されている数字は1が最も順位が高く、9が最も順位が低いことを表しており、
かつ、A/Bという表記の内、A=使用頻度の高さ、B=影響力の高さとなっています。

例えば、研修中の講師の働きかけ(真ん中のマス)は
使用頻度としてはこの中で最も高いが(1)、影響力としては中盤程度(4)、
という見方をします。

(参照:「Transfer of TrainingMary Broad and John W. Newstrom)

この図を見ていただければ、研修転移の促進において、
研修前後の上司の働きかけが非常に重要であるにもかかわらず
ほとんど実践されていない、また現場での優先順位が低いということが分かります。

また、その一方で研修中の講師の働きかけ(講義)
受講者自身の事前学習などはわれわれが思っているほど
影響力が大きくないこともわかります。

上司はどのように働きかければいいの?

研修前

受講者に対し、研修に参加する理由を伝達する、
もしくは受講者自身に考えさせることで受講意義を明確化させることが最も重要です。

また、現場で起こりがちな事例として、
「研修を受ける暇があるなら、仕事しろ」
と上司が考えているケースです。

このように、「職場内で研修が重要視されていない」、「研修受講は悪」
という風潮がある職場においては、受講者も意欲的に研修に参加しなくなりますし、
ましてや研修で学んだことを実践しようものなら「余計なことするな」と言われるかも、
なんていう恐怖すら覚えてしまうかもしれません。

このような状況を回避するためにも、研修企画側(人事・研修会社など)
研修設計段階から受講者の上司を巻き込むなどして、
意図的に研修の“関係者”にしてしまうことが効果的だと思われます。

研修中

研修中は受講者が集中して研修受講ができるよう、業務フォローに徹しましょう。
研修中にメールの返信を求めるなんて、もってのほかです。

研修後

受講者の現場実践機会を作ること、
またそれらに対して否定的な雰囲気を作らないことがポイントです。

なぜなら、失敗が許されない環境下では、
新たに学んだスキルを実践するハードルが非常に高くなってしまうためです。

部下の成長のためにも、
「チャレンジによる失敗は支援してあげるから大丈夫だよ」
という雰囲気を作ってあげることが大事です。

また、「研修を受けて、なんか変わった?」といった問いかけを定期的に投げることで、
意図的に研修を思い出させる瞬間を作ってあげることも効果的です。

それでも協力的になってくれない上司を巻き込むには?

ここで考えられる理由としては、大きく分けて以下の2つが考えられます。

①部下の動機づけが苦手(コミュニケーション的観点)

②部下育成が自身の評価に無関係

①の場合、研修前に受講者に伝えてほしい内容(研修の受講意義など)
研修企画側が簡潔にまとめ、それを補助資料として
部下との話し合いに臨んでもらう、などの対応で改善が望めます。

しかし、②の場合は研修設計以前に
評価体系の見直し、人を育てる文化の醸成など
OD(=組織開発)的な観点でのアプローチが必要になってくるので注意が必要です。

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