2021.03.09

直感に反するモンティホール問題の教訓

仕事の合間にほっと息抜きコラム

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選択を変えるべきか?変えざるべきか?

あなたの目の前に3つのドアが並んでいます。

1つのドアの後ろには当たりの「新車」がありますが、
2つのドアの後ろにはハズレの「ヤギ」が用意されています。

これは当たりを選ぶことができれば、あなたは新車を手に入れることができるゲーム。
それぞれのドアに違いはなく、ドアの中の様子は全く分かりません。

あなたは一番左のドアを選択しました。
すると、このゲームの進行役が真ん中のドアを開け、
ヤギがいるドアを1つ示してくれました。

つまり、今3つのドアは
・あなたが選択した左のドア
・進行役が開けた「ヤギ」がいる真ん中のドア
・開けられていない右のドア
という状態です。

ここであなたには、二つの選択肢が与えれます。

・最初に選択した左のドアをそのまま選ぶ
・開けられていない右のドアに選びなおす

さて、あなたはどちらを選びますか?
もしくは、どちらを選んだほうが「新車」が当たりやすいと考えますか?

 

この問題は、アメリカの司会者、モンティホールがテレビ番組『Let's make a deal』で
紹介されたことから、モンティホール問題とも呼ばれています。

直感に反する正解

いかがでしょうか?
おそらく多くの人が、どちらのドアを選択したとしても、
当たりハズレの確率は50%ずつなので、
選択を変えても変えなくても同じ、と考えたのではないでしょうか。

しかし、このゲームにおける正解は、
「正解の確率が2倍になるから選択したドアを変える」なのです。

正解を導き出したのは、世界一IQが高いマリリン・ボス・サバントという女性で、
そのIQは実に228。ギネスブックにも載っているほどの頭脳の持ち主でした。

この答えには、世界中から数学や統計学の専門家などらが、
彼女の意見に真っ向から反論を述べました。
その数は優に10,000通以上であったようで、
中には反論のみならず、彼女を誹謗中傷するようなものまでありました。

直感的に考えれば、選び直す時点でドアの残りは2つだけなので、
どちらのドアを選んでも正解の確率は50%
だと考えてしまいます

それでは、なぜマリリンはドアを変える方が正解の確率が高まると言ったのでしょうか?
これを証明する方法はいくつかありますが、簡単なものは次のものでしょう。

ドアの数を3ではなく100に増やしたケースで考えてみてください。

目の前に100個のドアがあります。1つが当たりで残りは全部ハズレです。
あなたは100個の中から1つだけドアを選びました。
進行役が残り99個のドアの中から不正解の扉を98個選んで開けます。
あなたは残り2つのドアから好きな方を選べます。
最初に選んだドアを変えるべきか?変えないべきか?

今度は直感的に初めにあなたが選んだドアの奥に新車がある確率よりも、
残されたドアに新車がある確率の方が高いと感じるのではないでしょうか。

最初に選んだドアをそのまま選ぶという選択は、よくよく考えてみれば、
その後の進行役の行動を一切考慮しておらず、当たりは純粋に1/100の確率です。
一方で、残りの開けられていないドアは、98個の選択肢を1個の選択肢に引き継いている、
つまりは、99/100で当たる確率のドアになっている、と考えることができます。

したがって、選びなおしたほうが99倍も当たりやすいのです。

目の前の事象だけに捉われるな!

モンティホール問題は、なぜ私たちの直感に反するのでしょうか。
おそらくそれは人間の頭が、因果関係を正確に把握できないためです。

ドアを選び直す段階だけを局所的に見れば、
「どちらのドアを選ぼうが、正解の確率はどちらも50%」は真実です。
それゆえにこの真実を疑おうとは考えません。

しかし、実際は残された2つのドアにはストーリーがあり、因果があります。
その因果を考慮して、目の前の真実に問いを投げることは、
並大抵の人間ではできないことです。

2018年に「ファクトフルネス」という書籍が大ヒットしました。
思い込みを捨て、データを基に正しく世界を見るための指南書ですが、
確かにそれも必要なことでしょう。

ただ、それに加えてそのデータや事象がどのように作られたのかまで
考慮した方が良いということです。

目の前の事象の真偽だけに目を奪われず、
その背後にあるストーリーや因果を意識または注視する。
なかなか人間だけの頭では難しい部分もありますが、
少なくとも誤った解釈や結論を導き出す確率は減っていくはずです。

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