セレンディピティとは何か?
セレンディピティとは「素敵な偶然や予想外の事態が思いがけない幸運をもたらすこと」です。
私たちが生きる世界は常に予想外のことが起きます。
それは時として幸運であったり、不運であったりします。
もし自分で思い通りに幸運だけを引き寄せることができたら、どれだけ良いでしょう。
その道筋に光を当てているのが、本書『セレンディピティ 点をつなぐ力』です。
タイトル:セレンディピティ 点をつなぐ力
著者:クリスチャン・ブッシュ
出版社:東洋経済新報社 (2022年2月発売)
3つの類型
セレンディピティには主に3つの類型があります。
アルキメデス型
アルキメデス型は既知の問題の解決策が予想外のところで生まれるのが特徴です。
古代ギリシャの数学者アルキメデスは、王様から王冠が純金の代わりに
銀が使われている疑惑を確かめる方法はないかと尋ねられました。
解決方法が見つからず、悩んだアルキメデスは公衆浴場に出かけました。
そこで湯船に身体を沈め、縁から湯水があふれ出る様子を見たときに、
純金製の王冠と銀の王冠を水に沈めれば、重さの違いで一目瞭然にできることを閃きました。
ポストイット
ポストイット型は問題を解こうとして、まったく違う別の問題の解決策を偶然見つけるのが特徴です。
1970年代、消費財メーカーの3Mは強力な糊の開発を進めていたものの、
出来上がったのは全く逆の粘着性の弱い物質でした。
しかし、この糊は本のしおりに転用できることを思いつき、
後にポストイットとして世界中で売れた新製品の誕生に繋がりました。
サンダーボルト型
サンダーボルト型は問題の解決策を探してもいない状況で起こるのが特徴です。
空を走るサンダーボルト(稲妻)のように予想もしていなかったタイミングで突如として起こり、
そこから新しい機会、解決策が生まれます。
セレンディピティを育てるには?
それではセレンディピティを意図的に育むためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
やり方の一つは「リフレーミング(枠組みの転換)」です。
世界や事象を捉える枠組みを変えることで、私たちは別の可能性に目を向けることができます。
チャンスや幸運が自然と姿を現すのをたた待つのではなく、自分の心をオープンにしましょう。
既存の枠組みから解き放てば、機会は身の回りにあふれていることに気が付けます。
先程のポストイットが良い例でしょう。
当初設定していた商品開発の到達点には遠く及ばず失敗作であったにも関わらず、
リフレーミングで別のシーンで使うことができるのではないかと枠組みを捉えなおしたことで、
セレンディピティが舞い込みました。
大切なのは、欠点や欠陥にばかりに注目することではなく、
そこから何か有意義なものとの結びつきが見いだそうとする意志にあります。
セレンディピティは単一の出来事ではなく、点と点を結ぶ能力と言い換えることもできます。
誰かとの会話、ニュースなどで見聞きした些細な情報の中にも、
もしかしたらあなたや社会の問題を解決するヒントが隠されているかもしれません。
一見何の関連もなさそうな他の分野で学んだことを、
常に身の回りのものと結びつけようと努力することで、
セレンディピティは育んでいくことができるでしょう。
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