オンボーディングとは?若手を定着させるための戦略
2022.05.16
ツイートこれまでの時代と比べ、現代社会においては、終身雇用制度の衰退や社会変化の加速化に伴い、若手従業員の早期離職や中途入社の定着が難しいという課題が浮上しています。こうした状況を受け、企業は従業員の定着率を高め、早期の戦力化を実現するための取り組みとして、近年注目を集めているのが「オンボーディング」です。
オンボーディングとは
オンボーディングは、新入社員や中途採用者を組織に迅速に溶け込ませ、早期の活躍を促すための教育プログラムを指しています。この取り組みでは、周囲の上司や同僚が、継続的にフォローとサポートを行うことが重要です。
この用語は、英語の「on-board」に由来しており、船や飛行機に乗り込むように、新しい組織に加わる状態を表しています。
日本においては、オンボーディングという言葉はまだ一般的ではありませんが、多くの企業で実施されているOJT(職場内訓練)制度や1on1面談は、まさにオンボーディングの一環であると捉えることができます。これらの取り組みは、新入社員や中途入社者が早期に組織に適応し、活躍できるよう支援するものです。
OJT制度とオンボーディングの違い
OJT(On-the-Job Training)制度と1on1、そしてオンボーディングの主な違いは、「新入社員の育成に組織全体が関わっているかどうか」にあります。
OJT制度は、新入社員に対して特定の上司や先輩が継続的に指導や教育を行うという点で、オンボーディングと共通しています。しかし、OJTの場合は特定の個人に依存する傾向が強いのが特徴です。
一方、オンボーディングでは、他の部署の社員も巻き込んで組織全体で新入社員をサポートするのが一般的です。このようにオンボーディングには、OJTよりも広範囲の既存社員が関与するという大きな違いがあります。
つまり、OJT制度は特定の上司や先輩に依存する育成方法ですが、オンボーディングは組織全体で新入社員を包括的にサポートする取り組みなのです。
オンボーディングの目的
オンボーディングの目的は、新たに組織に加わった社員の早期離職を防ぎ、長期的な定着を図ることにあります。新しい環境に不安を感じる新入社員が、早期に組織に溶け込み、活躍できるよう支援することが重要です。
さらに、新メンバーと既存メンバーが円滑に融合することで、組織全体の生産性向上にもつながります。新しい発想と経験を持つ新入社員が、ベテラン社員の知識やスキルを吸収し、組織に新たな活力を与えることが期待されます。このようにオンボーディングは、個人の定着と組織全体の活性化を両立させる重要な取り組みなのです。
オンボーディングのメリット
チーム力の向上
オンボーディングは、特定の新入社員だけを対象にするのではなく、幅広い範囲の既存社員が教育や指導を行うことで、新入社員と既存社員の相互理解が深まります。このプロセスを通して、新入社員は部署内だけでなく、他部署の社員とも良好な人間関係を築くことができます。その結果、部署間連の携が円滑になり、組織全体の生産性の向上につながることが期待されます。オンボーディングは単なる新人教育にとどまらず、組織全体のコミュニケーション活性化と業務効率化を促す重要な取り組みなのです。
戦力化
企業にとって、新しく社入したメンバーに早期から活躍と貢献を望むのは当然のことです。特に中途採用者には、即戦力としての期待が高いのが一般的です。しかし、多くの中途入社者が企業の内部文化や人間関係に適応するのに時間がかかり、その間は本来の能力を十分に発揮できないことが課題となっています。
オンボーディングの取り組みは、この課題に対する有効な解決策の一つとなります。オンボーディングでは、新入社員が既存メンバーと密接に交流することで、企業の文化やルールを早期に理解し、職場環境への適応が早まります。その結果、新入社員の早期戦力化が期待できるのです。
企業にとって、新メンバーの早期活躍は重要な課題です。オンボーディングの活用により、中途入社者の早期戦力化を実現し、企業の期待に応えることができるでしょう。
オンボーディングを成功させるために
オンボーディングにおいては、人事部門だけでなく、上司や先輩、同僚といった様々なメンバーが積極的に新入社員をサポートし、フォローアップする体制を整備することが重要です。新しいメンバーが早期に職場の雰囲気に馴染めるよう、既存のルールや慣習を明文化し、言語化して伝達することも欠かせません。
これらの取り組みを意識的に行うことで、新入社員の定着と早期戦力化を図ることができるでしょう。上司や先輩、同僚が手厚いサポートを行い、組織全体で新メンバーの受け入れと育成に取り組むことが、オンボーディングの成功につながります。