新技術の活用の幅を広く検討するとき、まず取り組むべきことは市場調査ではなく、その技術がもたらす効用を棚卸しすることが最も重要であるとされています。
では、技術がもたらす効用を棚卸しするとはどういうことでしょうか。ここで、「MFTフレーム」という考え方の基本についてご紹介させていただきます。
「MFTフレーム」とは、技術(Technology)と市場ニーズ(Market)の間に効用・機能(Function)という概念を置くことで製品化や事業化のイメージを容易にすることを意図したものです。
効用・機能を間に入れて考えることで、「顧客にどのような価値(嬉しいこと)を届けられるか?」という発想がしやすくなります。
「MFTフレーム」使用する際の基本視点
「MFTフレーム」を使用する際には2つの視点があります。
①マーケットイン視点
これは市場が求めている効用から考えていく視点です。具体的には、まず特定の市場を起点にその市場ニーズを満たすには、どのような効用が必要かを考え、その効用を実現できる技術は何かを考えていきます。
◎技術←効用・機能←市場ニーズ
②シーズアウト視点
これは特定の技術から発揮できる効用から考えていきます。具体的には、まず特定の技術を起点に、その技術でどのような効用が得られるかを考え、そのうえでその効用を求めている市場はどこかという風に考えていきます。
◎技術→効用・機能→市場ニーズ
実際には、これらの2つの視点を交互に仮説検証を繰り返していきながら製品化・事業化に向けて市場と技術を結びつけていきます。
「MFTフレーム」を使用した実例のご紹介
実際に「MFTフレーム」を使用した刑務所での例をご紹介します。
刑務所の特徴として、すぐに挙げられるのは警備が厳重という点でしょう。
そこから効用を考えていくとセキュリティが高いということが一つ挙げられます。では、この効用・機能を活かせる市場ニーズは考えられないでしょうか。その特性を活かしたのが、入試問題などで使用されている機密文書の印刷・保管請負サービスです。
これは、刑務所は人の出入りが少なく物の管理も厳重なので民間の印刷会社で印刷するよりも漏洩のリスクが少ないという利点を生かしています。
そのほかにも、安価な労働力が確保しやすいとい特徴から、手間のかかることを低コストで提供できるという効用を見出し製品の生産受託サービスを行っていたりもします。
このように効用・機能以外から棚卸しをし、着目することが新たな市場ニーズを開拓するきっかけとなり得ます。
「MFTフレーム」で考える際における2つのコツ(留意点)
1点目は、企業には顧客にものを売る人、製品開発を行う人、基礎研究を行うひとは別々になることが一般的です。そのため、市場(Market)と効用・機能(Function)との連携が適切に取れるようにバリューチェーン間の横の連携を強める工夫・マインドセットが重要となります。
2点目は、MFTフレームで考える際、効用を起点に考えるのが肝ではありますが、本当に顧客視点で考えるのは難しいポイントです。そこで顧客にとっての価値を考えるという意識を強く持つために市場(Market)と効用・機能(Function)の間に価値(Value)を追加してMVFTで考えるのも有効です。
以上の2点に留意して、是非、「MFTフレーム」を事業化や製品化に活かしてみてはいかがでしょうか。
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