2021.05.18

メンタルの教科書

読書マニアE氏の推薦ビジネス書

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今の新入社員は本当にメンタルが弱いのか?

ゴールデンウィーク明けから新入社員が退職するケースが増えている。
先日、こんなネットニュースを目にしました。
慣れない新生活や職場の人間関係、職務内容のギャップが主な原因のようです。

また、とあるテレビのドキュメンタリー番組では、
コロナ禍でせっかく就職決まったのに入社早々に退職してしまった若者の姿を追っていました。

こうしたニュースやテレビを観ると、「最近の若い人はメンタルが弱すぎる。私が新人の頃は・・・」
なんて昔と比べてため息をつく方もいらっしゃることでしょう。
しかし、本当に今の新入社員はメンタルが弱いのでしょうか。

メンタルの強弱を推し量る一つの指標に「離職率」が挙げられます。
下表は厚生労働省が新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況について取りまとめたものです。


※出典:厚生労働省『学歴別就職後3年以内離職率の推移』より一部抜粋

この表から見て取れるように、入社後3年以内に離職する大卒者の割合は、
過去20年間、概ね3割前後で推移しているのです。

20年前の新入社員といえば、いまでは40歳前半であり、
中間管理職のポジションについている人も少なくありません。
当然、新入社員の教育などにも携わってきているでしょうが、
目の前の新入社員と教育側の上司も離職率という観点では、全く同じなのです。
そのため、40代の上司が話す「私が若い頃は・・・」はナンセンスと言えうでしょう。

メンタルが弱いは刷り込み?

それでは、どうして今の新入社員はメンタルが弱い、すぐに辞めてしまうというイメージが
世間に定着してしまったのでしょうか。
その答えの一つは「大衆のメディア化」でしょう。

昭和の時代は、こんなにも簡単に何かを発信できる世の中ではありませんでした。
それが平成、令和となりSNSなどが発展してくるに伴い、
ほとんどの人が世界に一瞬で情報を発信できる機器を持てる時代となりました。

新入社員が退職をするにしても、昔であれば社内だけの出来事で完結しましたが、
今はTwitterやFacebookを通じて、社会全体へと発信されてしまいます。
しかも、時にそれは退職する側だけでなく、される側の会社や上司からの発信もあるため、
実質的には2倍の速度で拡散されていくケースすらあります。

拡散されればされるほど、私たちはそのような情報を何度も見聞きすることになるわけですから、
新人の退職という特定の出来事が強く記憶に残ってしまうのです、いわゆる刷り込み学習ですね。

実際のところ、私は新入社員のメンタルが年々弱くなっているとは思いません。
むしろ周囲にいる人間が「新入社員はメンタルが弱い」という色眼鏡で見ていることが
本質なのではないでしょうか。

まずは、先入観や思い込みを極力なくして、
目の前の新入社員にフラットな視線で向き合うことが大切なことでしょう。

柔らかくしなやかに生きる

ここまでは新入社員の話ばかりをしてきましたが、
もしあなた自身が「自分はメンタルが弱い」と思っているのだとしたら、
何かしらのテコ入れが必要かもしれません。

そのまま放っておけば、ある日ポキっと心が折れてしまい、
あなたが会社を辞める決断をする可能性もゼロではないのです。

どんなに社会が物質的に豊かになったとしても、そこに精神的な豊かさが伴わなければ、
真の幸福を得ることは難しいでしょうし、仕事だって長続きするはずがありません。

不安や孤独が蔓延する現代社会です。
困ったときに救いの手を差し伸べてくれる人がいれば良いですが、
基本的には自分のことは自分で何とかする、自衛の精神でいることが肝要です。
その手助けとなる本を最後にご紹介しますので、
メンタルに不安がある、これからの生き方を見つめ直したいという方は、
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

タイトル:【負けない】【折れない】【疲れない】メンタルの教科書
著者:佐藤 勝
出版社:クロスメディア・パブリッシング (2020年1月発売)

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