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『LGBT意識調査2019』の要点解説~LGBT・性的少数者に対する理解の促進が急務~

2019.12.02

全体の10%がLGBTを含む性的少数者であるとの報告

LGBT・性的少数者に関する専門シンクタンクであるLGBT総合研究所から、2019年11月26日に『LGBT意識調査2019』の速報が発表されました。

今回の調査では、2019年現在のLGBT・性的少数者を取り巻く最新結果が多数盛り込まれており、当事者に対する認識を変える、あるいは早急に理解を促進する必要がある現状が浮き彫りになりました。

本稿では、今回の調査結果で明らかになったLGBT・性的少数者に関する2019年現在の実態と今後の課題について、要点をまとめてお伝えします。

「LGBT意識行動調査2019」調査―2019年現在の実態は?

今回LGBT総合研究所が実施した実態調査は2019年4月16日~5月17日の期間にインターネットを利用して行われたものであり、全国 20~69 歳の個人 42 万 8,036 名(有効回答者数 34 万 7,816 名)が対象となる大規模なものでした。

本調査の「性的少数者」とは、以下の①と②に該当する人であると定義されます。

① 「性的指向少数者」
異性愛以外、つまり同性愛、両性愛、無性愛であると自認している人のこと

② 「性同一性(性自認)少数者」

出生時の指定性別に違和感がある、あるいは生活しているまたは生活するのを望んでいる性別が一致していない人のこと

さっそく、以下で質問別に調査結果と考察を確認していきましょう。

LGBT・性的少数者に該当する人の割合

【質問】
「あなたはLGBT・性的少数者ですか?」(事前調査)

【調査結果と考察】
「LGBT・性的少数者であると自認する人」……約10.0%

調査結果の中である意味、もっとも衝撃的であったのはこの事前調査結果だったかもしれません。

10人に1人がLGBT・性的少数者であるという実態が明らかになりました。LGBT・性的少数者は身近な存在であるという事実を裏付ける数値です。

性的指向、性同一性(性自認)の内訳

【質問】
全調査対象者
「『性的指向区分』と『性同一性(性自認)区分』はどれに該当しますか?」

【調査結果と考察】

「性的指向区分」:
「異性愛」……93.0%
同性愛や両性愛などを含めた「性的指向少数者」……7.0%

「性同一性(性自認)区分」:
「シスジェンダー(出生時の性別と現在自認する性別が同じ)」……93.9%
トランスジェンダーやXジェンダーなどをまとめた「性同一性少数者」……6.1%

※本稿では、「性的指向少数者」と「性同一性少数者」の内訳については省略します。

LGBT・性的少数者という言葉に対する認知度と理解度

【質問】
「『LGBT・性的少数者』という言葉をどの程度知っていましたか?」

【調査結果と考察】
「『LGBT・性的少数者』という言葉を知っている」……91.0%
「『LGBT・性的少数者』という言葉の意味を理解している」……57.1%

2016年度の同じ質問では54.4%が「言葉を知っている」と答えていたことを考えると、この3年間で言葉に対する認知度が急速に高まったことがわかります。

それに対して、2019年の調査において「言葉の意味を理解している」人は57.1%という結果になっており、33.9%の人は「LGBT・性的少数者」という言葉を知ってはいるものの、それがどのような人を指すのかわかっていないという現状が浮かび上がります。

こうした認知度と理解度の乖離は、昨今メディアなどで「LGBT・性的少数者」という言葉を頻繁に耳にするようになった反面、人々の間で「LGBT・性的少数者」について知る機会を得られていない、または話し合う機会が少ないという現状が見受けられます。

LGBT・性的少数者に対する存在認識

【質問】
「自身の周りにLGBT・性的少数者である人はいますか?」

【調査結果と考察】
「身の周りにはいない」……83.9%

当事者以外の人のうち、自分の周りにLGBT・性的少数者はいないと認識している人が83.9%にものぼっています。現時点では、大半の人にとってLGBT・性的少数者問題は「他人事」として受け止めている可能性が高いことがうかがえます。

カミングアウト率

【質問】
LGBT・性的少数者当事者対象
「『カミングアウト』(公表)したことがありますか?」

【調査結果と考察】
「誰にも公表していない」……78.8%
「生活や仕事に支障が出なければ今後カミングアウトしたい」……25.7%
「生活や仕事に支障が出なくてもカミングアウトする必要はない」……40.1%

カミングアウトしていないLGBT・性的少数者の当事者は78.8%を占め、大半はLGBT
・性的少数者であることを自認するにとどめていること、さらに、今後も積極的にカミングアウトするつもりがない人も多い現状が明らかになりました。

上述のLGBT・性的少数者に対する存在認識の低さは、LGBT・性的少数者の当事者にはその事実をあえてカミングアウトしない傾向があることと相関があると考えられます。

当事者以外の人の、当事者に対する対応

【質問、調査結果ならびに考察】
LGBT・性的少数者以外対象
「LGBT・性的少数者の当事者に対してどう接したらよいかわからない」……29.4%
「どのような配慮が必要なのかわからない」……36.6%

当事者以外の人は、LGBT・性的少数者に対する対応に不明な点が多いと感じていることがわかります。

LGBT・性的少数者に対する誤解や偏見

【質問、調査結果ならびに考察】
LGBT・性的少数者当事者対象
「LGBT・性的少数者に対して誤解や偏見が多いと感じている」……52.8%

上述の質問とあわせて考えることができます。

LGBT・性的少数者に関する情報が少なく、当事者以外の人による理解がいっこうに進んでいない、さらにどう対応したらよいかわからないという未成熟な環境が、当事者が誤解されている、または偏見があると感じる背景にあると推測することができます。

LGBT・性的少数者に対する国や地方自治体、企業の対応

【質問】
LGBT・性的少数者対象
「LGBT・性的少数者に対して、国や地方自治体、企業の対応が必要であると思うか?」

【調査結果と考察】
「国や地方自治体の対応は必要である」……52.3%
「企業による対応は必要である」……51.4%

この結果は、LGBT・性的少数者当事者の半数以上が、国や地方自治体、企業による対応によって、LGBT・性的少数者を取り巻く環境を改善できると考えていることの表れであると考えられます。

当事者だけの力では、LGBT・性的少数者に対する誤解や偏見をなくし、より理解を深めてもらうことは難しいと感じていることが、受入側による積極的な対応を期待する原因になっているようです。

研修や啓発活動への取り組み

【質問】
「あなたの職場や学校では、現在何らかのLGBT向けの施策をしていますか」

【調査結果と考察】
「研修や啓発活動」……12.0%
「相談窓口の設置」……10.5%
「福利厚生の平等化」……7.6%
「トランスジェンダーへのサポ-ト」……7.6%

2016年に同じ質問が出された際には、上から4.4%、10.0%、6.3%、5.4%の実施状況であったことも伝えられています。

2016年と今回の調査結果を比較すると、「研修や啓発活動」の実施状況が2019年でも12.0%であり、決して高くはありません。それでも、2016年からの伸び率は172.7%であり、組織単位での研修や啓発活動は急激に広がりつつあるようです。

しかしながら、依然として8割以上の組織では何の施策も行われていない実態を重く受け止めるべきでしょう。

LGBT・性的少数者対応の課題点

① これまでのような「職場や学校などの身近な場所に、LGBT・性的少数者がいない」という視点から、今後は各自が「自分の周りにLGBT・性的少数者がいるかもしれない」に発想を転換することが第一の課題となります。

② 「LGBT・性的少数者」という言葉だけが踊ってしまう状況から、「LGBT・性的少数者」の真の姿を理解できる機会や、この件に関して先入観などをもたずにフラットに話し合える雰囲気を醸成する必要があります。

③ LGBT・性的少数者が自由にカミングアウトできる環境、あるいは、カミングアウトしたくない人があえて公表しなくてもすむ環境をどう整備していくかを関係各所で検討していく必要があります。

④ これまで施策を行ってこなかった組織でも、現状を認識してLGBT・性的少数者施策を実施する姿勢が求められます。その際には、他の施策に比べて取り組みやすい「研修や啓発活動」だけでなく、「相談窓口の設置」や「福利厚生の平等化」など、より実践的な施策も手掛けるべきでしょう。

LGBT・性的少数者も交えた組織づくりの重要性

今回の『LGBT意識調査2019』では、当事者と当事者以外の意識や理解に依然大きな乖離があることや、当事者が置かれている実態が明白になりました。

LGBTや性的少数者にとっても働きやすい職場環境を整備していくことが、当事者個人のパフォーマンス向上や、さらには組織としての生産性向上にも結び付いていきます。これを踏まえて、第一段階として、LGBT・性的少数者に対する見えない障壁を取り除くことからさっそく始めてみてはどうでしょうか。

【出典資料】:2019年11月26日『LGBT意識調査2019』LGBT総合研究所より

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