2019.07.31

インストラクショナルデザインと研修の構成順序(その2)

あゝ人材教育!3分ななめ読み

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EATモデルにおける『まず経験をする(E)』とは?

さて本日は前回のコラムの続きになりますので
まだご覧になられていない方がいらっしゃいましたら
是非、そちらを先にお読みくださいね!!

前回の終わりに述べた
「EATモデルにおける『まず経験をする(E)』とは?」
という部分について今回はお話させていただきます!

大きく分けて2つに分けられます。

過去の経験や事前知識を活用しての「経験」

まず1つ目は過去の経験や事前知識を活用しての「経験」です。
具体例として
・学習テーマに関して、優れていると感じた人のエピソードを共有、考察
・クイズ
などが挙げられます。

 講師の理論説明から始める形と
受講者の経験や知識を尊重する形では
まるで受け取り方も変わります。

 前者の場合、受身の受講者が増えたり
中には「いやいや、そうとも限らないでしょ」というように
否定的な態度になってしまう受講者も出てきてしまうかもしれません。 

しかし後者の場合、まずは受講者自身の経験をお話いただく、
事前に持っている知識を活用して課題に取り組んでいただく、その後
それらに対しての補足や答え合わせという位置づけでの理論説明が可能になります。 

この形式をとることのメリットとして、
まず自分たちの意見が肯定されることで、
その後講師から出てくる別の意見や見解を
受け入れやすくなるということが挙げられます。 

研修の場での実際の「経験」 

そして、2つ目は研修の場での実際の「経験」です。
具体例として
・ロールプレイング
・ビジネスシミュレーション
などが挙げられます。 

基本的な流れは1つ目と大きくは変わりませんが、大きな違いとして
理論説明の前に実際にその場で疑似体験をしていただくという点です。

 この形式をとることのメリットとして
話を聞くよりも、実際に体験することの方が記憶に残りやすくなる。
また受講者が共通の体験をしているので、意見交換が活発になる。
さらには、頭では分かっていても、実際に行動には移せないという現状を
自己認識することにつながる可能性もあります。
ただこの形式をとるにあたって、1つ注意点があります。 

あえて失敗させるデザインは危険

最初の体験を意図的に成功しないように難易度を引き上げる、
または事前知識が全くない状態であえて失敗を経験させるなど、
「全然できませんでしたね、だから学ぶ必要があるのです~」といったデザインは
受講者の自尊心を傷つけてしまう危険性を伴うのでおススメしません。
(結構、こういったご要望も多いですが…)
その後の学習意欲の低下につながる可能性もあります。 

過去の経験や事前知識が全くの0の場合は理論説明から入ることが適切です。
つまり、EATモデルに基づいた教育設計が必ずしも正しいとは限らないのです。

 教育をより効果的なものにするには
こうした構成順序の工夫が非常に重要なポイントになります。

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