危険人物=やたら対立を煽る
危険人物をリーダーに選ばないためにできること。
なかなか刺激的なタイトルですが、これが今回ご紹介する書籍です。
ITやテクノロジーが発展して、どんなに身の回りが便利になっても、
世の中から争いや諍いが絶えることはありません。
そうした争いの根源には対立があります。
対立を煽る人物のパーソナリティには、
あらゆる関係を本質的に敵対的なものだと考えるそうです。
周りの人間は自分の味方ではなく、攻撃すべき敵であり、
極めて敵対的な対応をすることで、しばしば争いに発展していきます。
そうした敵対心の強い人物を社会や組織のリーダーに据えたら、
どのようになるでしょうか。
その答えは想像に難くなく、破壊や崩壊しかありません。
本書では、危険人物の対立屋のパーソナリティ要因や、
そうした人々が増加してきている背景を紐解いています。
タイトル:危険人物をリーダーに選ばないためにできること
著者:ビル・エディ
翻訳:宮崎 朔
出版社:プレジデント社(2020年6月発売)
対立屋のパーソナリティを生む3つの要因
対立屋は自ら好んで危険な人物になりたいと思っているわけではありません。
あらゆるパーソナリティは、
①遺伝的傾向
②幼少期の経験
③文化的な環境
これら3つの要因が組み合わさって生まれます。
このうちのどれが人格形成に最も大きな影響を与えるのか、
その判断は困難であり、どの要因も成長の過程で
コントロールできるものではない、と言われています。
危険人物が民衆に指示される理由
敵対心の強い危険人物には、驚くべき特徴があります。
それは極めて魅力的で説得力のあるカリスマ性を持っていることです。
彼らは壮大な計画を推進しているような時には、
非常に説得力があり、自信に満ちあふれた強い人物とみられます。
(実際は無慈悲で情け容赦がなく、良心に欠けているとしても・・・)
精神科医のエーリヒ・フロムによれば、そうした人物はパーソナリティ障害であり、
悪性のナルシストであるとの診断を下しています。
そして、その障害を次のように説明しています。
「エジプトのファラオ、ローマの皇帝、ボルジア家、ヒトラー、
スターリン、トルヒーヨ。彼らは全員、ある種の似たような特性がある。
彼らは絶対的な権力を手に入れた。その鶴の一声で全てが決まる。
悪性のナルシストを持つ人物は、生涯凶器が増していく傾向にある。
その者は神になろうとすればするほど人間離れしていき、
その孤独がさらなる恐れを生み、誰もが自分の敵となる。
そして、その結果生じる恐怖にあらがうため、権力を、無慈悲さを、
ナルシズムを強化せざるをえなくなる」
こうした過去の王や独裁者の特性を持つ人は、現代社会にも存在しており、
多くの支持者を獲得し、批判する人々を恫喝することに成功しています。
このからくりは単純で、彼らが他の誰よりも「感情的な関係」を
効果的に活用できるからだ、と著者は説明します。
感情は伝染する。
こんな言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、
特に高ぶった感情(恐怖、嫉妬、恨み、怒りなど)は他者に伝染しやすいものです、
感情が高ぶると、精神的な視野は狭くなり、論理的な問題解決を司る脳の機能が
働かなくなります。
とある脳の研究によれば、特定の状況で誰が権力を握っているか不明瞭な場合、
最も感情表現が豊かな顔の持ち主が集団の注目を集めるそうです。
悪性のナルシストは、この性質を知ってか知らずか巧みに利用して、
豊かな感情表現をもって民衆の心を捉えてしまいます。
まとめ
現代においては、リアルでもネットでも対立を目にする機会が増えました。
その対立の火元には、それを煽る人物がいて、さらに対立を上手に利用しながら、
高いカリスマ性で周りの人間から支持を獲得し、自己をますます肥大化させていきます。
大抵の場合、人は多少の対立や争いが起きたとしても乗り越え、分かり合うことができます。
しかし、悪性のナルシストは、対立や争いの火種に油を注ぎ、集団を分断するように仕向けます。
そうした卑劣な罠にかからぬよう、むやみに対立を煽る危険人物には近寄らないのが良さそうです。
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