「やればできる!」
最近大人気の某芸人さんの口癖として、
パロディ作品も多く生み出されているこの言葉。
一見すると、ただの根性論のようにも思われるこの言葉ですが
実はこれ、教育工学・教育心理学者のジョン・ケラーさんの研究で
研修後の行動変容には欠かせない要素であると言われているのです。
ARCSモデルって何?
先述のジョン・ケラーさんによって提唱された
研修企画や教材開発をする際に、どのようにすれば受講者の意欲を向上させられるかを
検証・整理するための4つの指標のことを言います。
この“ARCS”という名前はそれぞれの指標の頭文字から成る造語で
各指標は以下のようになります。
①Attention(注意喚起=面白そう)
②Relevance(関連性=やりがいありそう)
③Confidence(自信=やればできそう)
④Satisfaction(満足感=やってよかった)
それでは、各指標を具体的に見ていきます。
Attention(注意喚起=面白そう)
私たちは好奇心が刺激されると、
「もっとそれについて知りたい!」という気持ちも自然と刺激されます。
つまり、受講者の注意を上手くひきつけることができれば、
その後の学びをスムーズに受け入れてもらいやすくなるということです。
例えばですが、研修の導入でアニメーション動画を取り入れたり
座学研修と野外でのアクティビティ研修を組み合わせるなど
受講者の注意を如何に引き続けられるかがカギです。
ここで勘違いしてはいけないのは、本来学ばせたい方向とは別のベクトルで
受講者の注意を引こうとすることです。
例)研修会場の装飾を派手にする、BGMを流行の音楽にする など
Relevance(関連性=やる意義がありそう)
その名の通り、その研修を受ける意義・やりがいを持たせることが
主体的な学習姿勢の確立につながります。
例えばですが、身近な例を研修内のケーススタディの題材としてみたり、
研修で学ぶスキルと実際の業務がどのようにリンクするのかを伝えてあげることで
受講者が研修の受講意義を見出しやすくなります。
Confidence(自信=やればできそう)
研修の中で成功体験を積み、かつその成功は自分の努力によって生み出されたものである
と自覚させてあげることが、研修後の現場実践につながる大きな要因です。
「どうせできない」、「やっても無駄」と不安になっていては
研修後の行動変容など到底望めません。
研修の中で自身の成長やステップアップ感を感じてもらうためにも
途中でつまずかない程度にワークのレベルを徐々に上げていく、
または研修前と研修後に実践の場を設けて成長レベルを体感する、
というようにプログラム設計を工夫することで
研修後の行動変容の度合いはだいぶ変わってくるでしょう。
もし、上記のようなスキル向上型のプログラムではなく、
自己内省型のプログラムであれば、
講師や周囲から承認してもらう機会を多く入れてあげると良いでしょう。
例)グループ共有時の賞賛など
いうまでも無く、研修中の実践の場でうまくいかなかった受講者を
責める言動はNGです。
Satisfaction(満足感=やってよかった)
「研修で学んだ内容が、実際の業務に活かせた!」と実感できると、
研修を受けてよかったという満足感を与えると同時に、
さらなる学習意欲の向上を促すことも期待できます。
また、研修の内容以外にも、
役職や給与の向上、上司や周囲からの認知と賞賛といった、
努力がしっかりと認められる社内風土の整備というのも
学習意欲継続のための重要なポイントになってきます。
最後に
イギリスの教育哲学者であるウィリアム・アーサー・ウォードさんが残した言葉にこんなものがあります。
”凡庸な教師はただしゃべる。よい教師は説明する。すぐれた教師は自らやってみせる。
そして、偉大な教師は心に火をつける”
ぜひ、研修企画の際には、
受講者にどれだけ「やればできる感」を芽生えさせてあげられるか
という点も考慮してみてはいがでしょうか?
あなたの会社の中での研修の重要度が大きく変わるかもしれませんよ。
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