新 失敗学 正解をつくる技術
2022.07.15
ツイート日本は時代変化に対応できていない?
コロナ禍で重要なのは、刻々と変化する状況に対して、
試行錯誤しつつ最善のやり方を追求していくことです。
しかし、一方で日本は成績優秀でミスの少ない人を評価するような、
いわゆる優等生タイプを選抜する傾向にあり、
ある程度の失敗を許容するような文化ではありません。
優等生タイプは目標や目指すべきゴールが明確であれば、
非常に効率よく思考し、行動をすることができますが、
正解が分からない有事の状況は対応が苦手です。
1990年代はじめまでは日本の組織運営がうまくいっていたものの、
そこから現在に至るまでは、前進どころか世界にどんどん遅れを取ってしまっています。
本来であれば、そうした変化に敏感に反応して、
組織や考え方を柔軟に適応させていくことが必要なのですが、
明確な対処方法を見つけらぬまま、ここまで来てしまったのが現状です。
これから日本がかつての輝きを取り戻し、
再び世界の最前線で活躍していくためには、
仮説と実行を繰り返すサイクルを強化すべきであり、
「失敗」に対する見方、捉え方を変えていかなければなりません。
仮説と実行に失敗はつきものです。
今回ご紹介する書籍は、失敗することには大きなプラス面があることを
理解するための手助けとなるでしょう。
タイトル:新 失敗学 正解をつくる技術
著者:畑村 洋太郎
出版社:講談社(2022年5月発売)
すべては仮説から始まる
現代においては、問題を分析して正解を外から持ってくるという思考法だけでは勝てません。
唯一の正解がなく、いくつものそれらしい答えがある時代となっています。
そんな時代に必要なのは、自分でそれらしい答えを導き出す力です。
言い換えれば「自分の頭で考えて実行して、その結果を検証する」サイクルです。
自分で考えて実行するための最初の一歩、それは「直感」です。
論理的な説明は難しいけど、何か自分の中で引っかかるものがある。
その感覚に焦点を当てて、深く考えを巡らせていきます。
自分で仮説を立てて実行しても、うまくいかないケースもあるでしょう。
しかし、うまくいかなかった時、それは次のチャンスに繋がります。
失敗原因を検証して、次の新たな仮説に役立てる。
この仮説と実行、そして結果検証を繰り替えることこそが、
いまの時代に最も必要な力と言えるでしょう。
失敗を捉え直す
仮説と実行を繰り返していれば、否応なく何度も失敗に直面します。
そうするうちに。失敗は当たり前のように起こるもの、というマインドセットが出来上がります。
そもそも失敗とは何か。
著者は「人間が関わって行ったことで、はじめに想定していた目的を達成できないこと」
と定義しています。
失敗というワードは多くの人にとって一般的にはネガティブな評価をします。
しかし、実際のところはマイナス面ばかりでなく、失敗することで人は成長し、
新たな創造のタネを手に入れることができるなど、プラス面もあります。
失敗に不寛容な日本の組織をどのように変えるか?
日本の多くの組織は、失敗やミスに対する評価は厳しく、
「減点主義」を採用しています。
こうした組織では、当然ながら失敗を恐れてしまうがあまり、
私淑した考えや行動を取りがちになります。
まずは、この減点主義を変えていかなければなりません。
失敗は挑戦ゆえの結果であり、その挑戦姿勢そのものを肯定的に評価する、
「加点主義」の考え方を取り入れていく必要があります。
また、失敗に対してツケを払わなければならない、責任を負わなければならない、
というプレッシャーがあれば、なかなか挑戦意欲は湧き上がってきません。
ある程度のプレッシャーは必要なものの、仮に失敗してしまった時には、
どのようにリカバリーするのか、リスクはどの程度なのかを
予め押さえておけば大きな損害にはならないはずです。
会社や組織はそれらを正確に把握し、積極的に仮説と実行の挑戦を応援していきましょう。