HRD用語【VUCA】
2020.06.17
ツイートVUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の4つの言葉の頭文字をとって作られた造語で、現代を予測困難な社会経済環境であるとした時代認識。
VUCAとは
1989年、米ソ首脳により東西冷戦の終結が宣言された。VUCAはその後の錯綜した国家間あるいはイデオロギーの覇権争いを表す言葉として、1990年代後半にアメリカ軍の軍事用語として生まれた言葉だ。これが、2010年代以降、経済界でも使用されるようになったが、とくに、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)をはじめとする、多くの国際会議で、経済学者や企業家、投資家によって取り上げられ、VUCA時代に突入したと言われるようになった。
では、なぜ現代の社会経済環境は複雑化したのか? それは、インターネットなどテクノロジーの発展による経済のグローバリゼーション、気候変動やパンデミックなどの環境問題などに答えがある。こうした現象が、各国の事情と反応し予測不能で不確実な社会経済をもたらしたのだ。
VUCA時代に求められること
VUCAの時代に企業や組織に求められることについては、2014年のASTD(※)におけるスタンリー・A・マクリスタル元大将の発言に集約される。スタンリー元大将はアフガニスタン戦争で司令官を務めたアメリカ軍の英雄で、現在はコンサルティング会社を経営する人物だが、彼は、VUCA時代に生き残る条件として、
①予測できるという傲慢さを捨てる
②組織的な適合性を高める
③ビジョンを共有し権限委譲をして事業を進める
の3つを挙げている。
つまり、市場が予測不能であることを認め、既存のビジネスモデルはもはや通用しないと認識すること、そして変化する市場の流れに迅速に対応するため、権限の委譲をすすめ組織をスピーディに動かすこと、と言い換え説明することができる。
どの業界でも次々と新しい技術やサービスが登場しては消えていく現代、盤石と思われていた大企業であっても、時代を見誤れば経営は立ち行かない。事業を見直し、時には放棄して新たなビジョンを掲げることに躊躇はあるだろう。しかし、組織は情報を収集、精査して今後も生き残る仕組みを生み出さなければならない。VUCAの時代の経営者、そして私たち一人ひとりに、変化を恐れず実行するマインドと柔軟な決断力、行動力が求められている。
※ASTD…米国人材開発機構(非営利団体)。人材開発における世界最大の会員制組織