2022.08.05

ザ・マネジャー 人の力を最大化する組織をつくる ボスからコーチへ

読書マニアE氏の推薦ビジネス書

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いま世界中の人々が望むのは「よい仕事」

世界中で働き方が変わりつつあり、それに伴って人々の人生に対する見方されも
同じように変革が起きつつあります。

ギャラップのアナリストたちによる30年以上にわたる調査データによると、
かつては家庭を持って、持ち家を購入し、平和に暮らすことが
最良の人生であったという多くの考えは終わり、
いま世界の人々が望むのは「よい仕事をする」ことだと明らかになりました。

自分の成長を後押ししてくれるような上司やリーダー、同僚と働き、
生活に足る収入を得ることを求めており、
このことは特に若年層の間で広く一般的な傾向になりつつあるようです。

しかし、現実を見ると多くの人は「よい仕事をしている」という実感はありません。
日本の労働者のうち、「仕事にエンゲージ(職務や組織に熱意を持っている)している」人は、
わずか6%しかいません。

この問題はどのように解決をしていくのが良いのでしょうか。
そのカギはマネジャーにある、というのが今回の紹介する書籍の主張です。

タイトル:ザ・マネジャー 人の力を最大化する組織をつくる ボスからコーチへ
著者:ジム・クリフトン、ジム・ハーター
翻訳:古屋 博子
出版社:日経BP 日本経済新聞出版(2022年6月発売)

ミレニアル・Z世代が求めるもの

ミレニアル世代(1980~96年生まれ)やZ世代(1997年以降生まれ)の
いわゆる新人・若手社員の多くは、やる気に満ちて仕事を始めます。
しかし、それが職場の古いやり方のマネジメントにとって、やる気は簡単に失われます。
いまどきの若年層が何を望んでいるのか。それは次の6つです。

①給料ではなく、「目的」を求めている

新人・若手社員は仕事をすることで何らかの意味を見出したり、
価値に貢献したりしたいと考えております。
給料という金銭的報酬も大事ではあるものの、それが一番ではありません。

②満足度ではなく、「成長」を求めている

企業によっては福利厚生の一環として、豪華なアメニティを用意しています。
スポーツ施設だったり、無料もしくは低コストの食事などです。
それよりも自分が成長できる環境だと実感できるような手助けをすべきです。

③ボスではなく、「コーチ」を求めている

上下の指揮統制がはっきりとしており、上司の指示が絶対であるような職場より、
上司が部下を一人の人間として敬意を払ってくれる職場を望んでいます。
さらには、自分の強みにも理解があり、それを伸ばしてくれる上司であれば、
尚のこと良いと考えています。

④年次評価ではなく、「継続的な会話」を求めている

新人・若手社員のコミュニケーションはSNSやチャットなど、
即座に反応して絶え間なく続けていくスタイルが主流です。
年に一度の評価面談だけでは圧倒的にコミュニケーションが不足しています。

⑤弱みだけを注視するマネジャーは求めていない

弱みは無視してはなりませんが、そこにフォーカスしてばかりの上司ではいけません。
人間はプラスよりマイナス、ポジティブよりネガティブなことの方が目につきやすいですが、
弱みも見方や状況が変われば、強みや武器にもなり得ます。
強みにフォーカスする上司は、優秀な人材を惹きつけて定着させることにも貢献します。

⑥単なる仕事ではなく、「人生そのもの」だと考えている

新人・若手社員にとって仕事とは、お金を得るためだけの作業ではなく、
自分を成長させてくれる、よりよく生きていくためのものだと考えています。

ボスからコーチになるためには・・・

多くの新人・若手社員は、ボスよりもコーチを求めています。
現場のマネジャーは、そうした期待に十分に応えられているでしょうか。
社員のエンゲージメントを高め、パフォーマンスを向上させるためにも
マネジャーの在り方や組織文化を今一度、見直していく必要があるかもしれません。

コーチといえば、対話やコーチングが非常に重要な役割を担います。
コーチングのスキルは一朝一夕で身につくものではありませんが。
対話はいつでもすぐに始めることができます。
例えば、次の8つの質問をしてみることから始めてみても良いでしょう。

①最近うまくいったことは何か?
②あなたが最も満足していることは何か?
③どのような報酬や承認が、あなたにとって最も大事か?
④あなたの役割は、周りにどのような変化をもたらすか?
⑤どのように、より大きな変化を起こしたいか?
⑥仕事で、自分の強みをどのように活かしているか?
⑦今後。自分の強みをどのように活かしていきたいか?
⑧どのような知識やスキルを体得したら、次のステージに進めるか?

新人・若手社員が成長するのは、こうした対話の中で、
「気づき」を得られた瞬間です。
マネジャーは、どのように後押しをすれば、
この気づきをより多く獲得できるのかを真剣に考えねばなりません。

 

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