即興スピーチ術 ここで一言お願いします!
2020.12.01
ツイート無茶ぶりされたスピーチほど怖いものはない
社会人生活を何年も続けていれば、ほぼ100%のビジネスパーソンが
何かしらスピーチを頼まれた経験があることでしょう。
事前に依頼されれば何を言おうか整理することができます。
メモにまとめて順序立てて、練習することもできます。
心拍数が急上昇することも基本的にはありません。
(どんなに準備をしても人前に出ると緊張してしまうというのはあるかもしれませんが・・・)
でもいつも前もって依頼が来るとは限りません。
会議のとき、飲み会のとき、セミナーに参加したとき、
それはゲリラ豪雨のように容赦なく襲い掛かってきます。
即興で何かを上手に話すのは特別な才能なのでは?
と勘ぐりたくもなりますが、ヤケになるその前に
こちらの本を読んでみてはいかがでしょうか。
著者:大嶋 友秀
出版社:芸術新聞社 (2020年11月発売)
要約
◆日常生活でのマインドと行動を変える
常日頃より情報収集(インプット)と発信(アウトプット)を行いながら、
メンタルを強化していくことで、話す力は格段に伸びる
◆内容よりも印象に気を配る
言葉で何を語るかよりも態度で何を示すか、聴き手の記憶に残るのは印象
見た目や声、仕草、表情といったノンバーバルに焦点を当てる
◆言葉を乱さない
敬語の基本的な使い方はマスターしたうえで、フォーマルな決まり文句を覚えておく
否定的な表現や曖昧な表現、失言は避ける
◆フレームワークを活用する
PREP法、ホールパート法など一定の枠組みを使って話すことで、
違う場面、内容でも簡単に応用することができる
◆機転が利いた受け答えをするために
オズボーンの発想を広げる9つの切り口を参考にして会話の糸口を探る
E氏の私見
異業種交流会やセミナーに参加したときによくあるのですが、
参加者同士で自己紹介をしたり雑談したりする、あの時間がとても苦手です。
何か気の利いたことを喋らなければ・・・
相手の興味を引かなければ・・・
おもしろい話をしなければ・・・
この「なければ」症候群に襲われてしまい、うまく話すことができず、
あとで一人落ち込むことが多々あります。
本書には、"他人を意識する考え方が、心の柔軟性を奪い、緊張を生む"、とあります。
私の場合は緊張はしないのですが、本当に言いたいことや伝えたいことがぼやけてしまい、
いまひとつ記憶に残らない発表になってしまいます。
こうなる原因を深掘りしてみると、「なければ」症候群の中でも最もやっかいなのが、
お題やテーマに対して簡潔に答えなければ・・・という症状です。
仕事柄、ロジカルシンキングやプレゼンテーションを扱っているために、
どうしても結論ファーストで分かりやすく簡潔に話すことが何よりも重要だという固定観念があり、
与えられたテーマから横道に逸れてしまうことができないのです。
(哀しい職業病ですね)
そんな悩みにも本書は解決の明るい光を照らしてくれています。
それは「テーマを拡大解釈する」考え方です。
受け答えに詰まってしまう、後に続ける言葉が思い浮かばないなら、
自分でテーマの範囲を広げて対応すれば良いというのです。
本書では一つのヒントとして、どんな話題でも自分の好きなことに結びつけて考えれば、
そこに話題のタネはきっとあるはずで、コミュニケーションも楽しくなると
具体例も交えながら優しく教えてくれています。
他にも即興スピーチの場面を想定した実践的な事例集が掲載されており、
こんな時に何を話せばいいのだろうか、と迷う人にとって、
非常にタメになる文例が数多く紹介されています。
スピーチに限らず、日々の会話でも何か自分から発信していくことについて、
課題感を持っている人にとっても、本書は有益な学びとなるはずです。