「問題」をみつけられないことが問題である ~問題発見力とは何か~
2020.08.27
ツイート急速なIT技術の進化、グローバル化の影響により常に世の中は大きく変動し、先を予測するのが難しいVUCAと言われる時代になっています。
また、今も新型コロナウィルスの影響が目下進行中であり、各地で自然災害が猛威を振るう等、今までに直面したことのない事態が多発しています。
このように、これからの時代は、今までに直面したことのない事態に対して、経験や前例に基づいた判断だけでなく、問題の本質を見極め、根本的な解決をできる力を求められています。職場に潜む小さな問題から組織的な対応が必要となる大きな問題に至るまで、問題解決力はビジネスパーソンには必須のスキルと言われています。
問題とは何か
それでは、そもそも「問題」とは何でしょうか。
ビジネスにおける問題とは、目標(あるべき姿)と現状とのギャップ(差)と定義されています。
そして、問題解決力とは「問題を明確にして、真の原因を探求し、実効性の高い解決策を立案する思考技法」と定義されます。
そのスタートにある「問題を明確にする」ということの重要性を下記の問題の3タイプから理解していきましょう。
1.発生型(起きている問題)
発生型の問題とは、目標に対して現状がそれに達しておらず、実際に生じている不具合等を指します。対策や再発防止策を講じる必要があります。
2.発見型(見つける問題)
発見型の問題とは、問題が見えているわけではないが、違和感があったり、
不具合が生じ始めているもの、あいまいで捉えられていない問題を指します。
3.発掘型(創る問題)
発掘型の問題とは、特に問題が起きていない状況下で、主体的に創造する問題を指します。
現状のままではいずれ問題が生じるといった場合や、より高みを目指すために今までにない新たな目標を設定する場合などがあります。
「問題」という言葉を聞いて、思い浮かぶのは1の発生型(起きている問題)がほとんどではないでしょうか。
しかし、問題解決力でより求められているのは発見型(見つける問題)と発掘型(創る問題)の問題を把握する力で、起きていないことを予測する力とも言い換えられるため、スキル差が出やすく、ひいては仕事の成果にも大きな差がつくものです。
問題発見力の差が仕事の差につながる
起きている問題に対して、解決策を立案・実行し対処することは、当たり前の取り組みと言えるでしょう。そのためにはまずは問題解決手法を身につけることが重要です。
しかし、常に発生型の問題の解決ばかりに追われているか、先手を打つために問題を発見・発掘して解決しているかは仕事に大きな差がつきます。
火災は初期消火が重要と言われます。火災という問題が発生してからの対応の迅速さが大切なのは言わずもがなですが、発生した時点ですでに自分一人では解決できないような大きな炎となっている可能性もあります。問題発生は、その解決に時間や労力を大きく割かれてしまいます。起こりうる問題を問題化させない為に必要な力が問題発見力です。
問題は、発生型→発見型→発掘型とより見えないもの・奥の深いところにあるものに分類されます。発掘型の創る問題はより難易度があがります。まずは、予兆が見えている問題を発見する力を身につけていきましょう。
問題発見のポイント
発見型の問題はすでに潜在化しているものです。僅かな変化や違和感を捉えることで、発見することができます。
発見のポイントは
・目標やあるべき姿を正しく認識する
・現状や実態を正しく認識する
先入観や習慣に捉われずに、物事を正しく認識することが重要です。
例えば、火災のない状態をあるべき姿と捉え、火災のおきていない今を現状と捉えると、「問題」はないと考えることもできますが、
・コンセントを常にさしている
・コンセントがタコ足配線になっている
・コンセント周りにほこりがある
・ガスの元栓をしめていない
・コンロの近くに紙製の調味料の袋がおいてある
・火災報知器の点検が長い事されていない
・室内でタバコを吸う習慣がある など
火災を起こしかねない現状の問題は多くあるのではないでしょうか。
習慣や日常になっているものには注意をむけなくなりがちです。
(実際、上記のいくつかは我が家でもあてはまることはあります)
現状を正しく認識し、問題の火種となりそうなものを主体的にみつけだしていく。
普段の業務に忙殺されると見逃しがちですが、仕事の成果にも大きく差を生む問題発見力を高めるために、日々意識をするところからはじめましょう。