お金との付き合い方
ここ数年、キャリアデザイン研修においては、
職業人としてのキャリアだけではなく、
家庭や趣味といったプライベートの充実さ(いわゆるライフキャリア)も考慮して
実施してほしいという企業からの依頼が増加傾向にあります。
この背景には、現在は「人生100年時代」と言われており、
60歳で定年して、老後は悠々自適に余生を過ごすことが極めて困難になったことが挙げられます。
少子高齢化に伴い生産労働人口は減少し続けており、
70代、さらには80代まで働き続けることをも想定した人生設計が必要となってきているのです。
それでは、仮に65歳で定年退職をした場合、日々を楽しく豊かに安心して過ごすには、
一体いくらの資金が必要になってくるのでしょうか。
一般的には老後資金として約2,000万円が必要と試算されています。
内訳としては、生活費、家賃や医療費、娯楽遊興費などです。
総務省の家計調査報告によると、
夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦の公的年金給付は1カ月に約19万円だそうです。
一方で月々の支出は約27万円であるため、月々8万円が不足する計算となります。
年間で考えると、8万円 × 12カ月で96万円。
老後期間が20年だとすると1,920万円。つまり、約2,000万円となります。
もちろん老後期間が延びれば延びるほど必要資金は多くなり、25年では約2,400万円です。
さらに、ここに家のリフォームや医療費、贅沢品、突然の出費など加えると、
老後資金はあるに越したことはありません。
お金で人生の豊かさ、幸福度が全て決まるとは言いませんが、
この先をどのように満足いく暮らしを実現していくのかを考えるうえで、
お金は切っても切れないものであり、上手に付き合っていく必要があります。
こうしたことは、学校や会社が積極的に教えてくれるものではありません。
自分で調べて、自分で学び、自分で対策を立てていかなければならないのです。
最近は書店に行けば、お金にまつわる書籍がたくさん発売されています。
今回のコラムでは、そんな中から一冊ご紹介していきます。
著者:両@リベ大学長
出版社:朝日新聞出版 (2020年6月発売)
要約
◆固定費を見直す
通信費、光熱費、保険、家、車、税金の6項目で
安くできる方法がないかを探す
◆副業で収入を増やす
フリマやオークションで不要品を売るなどして、
少額でも自分で稼ぐ喜びを知る
◆投資をして資産を運用する
株式や債券などの投資商品を理解し、
生活余剰金の中で運用をはじめる
◆お金を守る
詐欺・ぼったくりのみならず、
浪費癖などで貯めた資産を吐き出すことはしない
◆良いことにお金を使う
勉強のために自己投資する、誰かに何かをプレゼントするなど、
社会や人のためになるお金の使い方をする
E氏の私見
現代社会は、お金至上主義に近いものがあり、少し虚しさを覚えます。
確かにお金は大事です。しかし、お金とは手段であり目的ではありません。
大金を手にしたところで何に使うのか。
何のためにお金が欲しいのか。
ここが曖昧な人は少なくありません。
お金さえあれば、もっと幸せになれる。
私たちは、ついそのように考えてしまいます。
お金に限ったことではありません。時間でも同じことが言えますね。
もっと時間があれば、○○できるのに・・・。
本当にそうでしょうか。
仕事をしていると、もっと休みが欲しいと思うことがありますよね。
しかし、実際に莫大な休みが手に入ったらどうでしょうか。
きっとすぐにその状態に慣れてしまい、当初の満足感はすぐに消失してしまうはずです。
学生の頃の長い夏休み期間を思い出してみてください。
はじめは休みが始まったことにウキウキで、何をして遊ぼうか、
どこに行こうかなどと考えます。
しかし、そのうち段々とやることがなくなってきて、
夏休みが終わる頃には、早く学校に行きたいとさえ思うようになります。
人間とは不思議なもので、なければ不平不満を言うし、
あればあったで別の不平不満が出てくる生き物です。
単にお金をたくさん保有する、時間を捻出するだけでは、
本当の自由、精神的な豊かさは手に入れないのかもしれません。
大事なことは、自分が幸せを感じられる状態を明確にして、
その状態を少しでも長く維持することなのではないでしょうか。
それを実現するための手段の一つとして、お金はあるのです。
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