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世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ

2022.11.11

世界中から優秀な学生が殺到する大学

ハーバードやスタンフォードを、ケンブリッジなど、
世界の名だたるトップクラスの大学の合格を辞退してでも入りたい。
そんな大学があることをご存知でしょうか。

その名をミネルバ大学といい、
「21世紀最初のエリート大学」として2014年に創立されました。

ミネルバ大学はアメリカのサンフランシスコに本部があり、
創立後わずか数年で世界中から毎年2万人以上が応募し、
その合格率はわずか1~2%と世界最難関です。

なぜ創立間もない大学にこんなに人が殺到するのでしょうか。
それを明らかにしてくれるのが、今回紹介する書籍です。

タイトル:世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ
著者:山本 秀樹
出版社:ダイヤモンド社 (2018年7月発売)

ミネルバ大学の特徴

学校施設を持っていない

一般的に大学といえば、校舎や図書館、グラウンドなどの設備がある施設をイメージしますが、
ミネルバ大学はそれら一切を持っていません。

サンフランシスコ、台湾、ブエノスアイレスなど世界7都市に滞在しながら、
その都市にある最新の研究施設などを利用して授業を行います。

豪華なキャンパスや施設の維持管理コストが掛からない分、
学費が年間で約150万円と、既存の米国エリート大学に比べて
3分の1未満になっています。

教員は講義をしない

90分間の授業は、学生同士のディスカッションが中心です。
そのため授業には、必要な知識は事前にインプットして臨みます。

独自開発のオンライン・プラットフォームを活用して、
アクティブラーニング(生徒が能動的に学ぶ学習法)を行います。

ミネルバ大学のカリキュラムは心理学、脳科学、認知科学の分野における
長年の研究から、人が最も効率よく学習できる条件を割り出しました。
それが次の3つです。

①脳を通常より負荷をかけた状態で稼働させる
②繰り返し練習が行える環境で学ぶ
③能動的に授業に参加できる状態

これはスポーツ選手が筋肉を鍛える時と似ています。

これらの条件に従おうとすると必然的に一方的な講義形式は排除されることになります。
したがって、教員は知識を説明するための講義は行わず、
授業中に話せる時間が10分まで、とルール化されているのです。

日本でミネルバ大学のような学校は誕生するのか?

著者によると「日本では2020年に大学入試制度が変更されることに伴い、
さまざまな教育方法が議論に上がっているが、いずれも世界をリードできるような
内容とは程遠いのが実情だ。」と述べています。

本書の発刊は2018年8月であり、本コラム執筆時点(2022年11月)まで、
約4年の歳月が経過していますが、残念ながら世界をリードする大学や教育は
日本から生まれてはいません。

ミネルバ大学で実施されている取り組み全てを模倣することは難しいかみしれませんが、
ミネルバをベンチマークとして、日本の教育を徐々に変えていくことは可能なはずです。

その一つの施策として、著者は「学外連携こそ教育再生の鍵」だと言います。
ミネルバ大学では学校と社会との接点を広げる協働プロジェクトを通じて、
思考・コミュニケーション能力の養成を図っています。

これは日本の大学でもすぐに始められることであり、
実際のところ学外連携の活動は少しづつ社会に浸透しつつあります。

そうした協働プロジェクトを皮切りに大学と社会がうまく接続されるようになると、
自然と大学内でのカリキュラムや学び方も変わっていくことでしょう。

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