テレワークにおける求心力の高め方、メンバー各自の自立がポイント
2021.10.01
ツイート成果が上がるチームには、多くの場合、求心力のあるリーダーの存在があります。テレワークが当たり前の時代を迎え、リーダーが持つべき求心力は従来と違いがあるのでしょうか?テレワーク環境に見合った求心力とはどのような能力なのでしょうか?
リーダーが本来身につけておくべき「求心力」とは?
チームとしてのパフォーマンスを向上させ、優れた成果を上げるには、必要な能力を備えたリーダーが、チームの中心となって仕事を進めていく必要があります。チームを統率するリーダーが身につけておかなければならない能力の一つが「求心力」です。
求心力とは、一般的に以下のような方法で身につけることができます。
チームが目指すべき明確なビジョンをもち、メンバーとビジョンを共有できる
リーダーとメンバーが同じビジョンを共有することで、チームとしての推進力が強化されます。
その際に、リーダーはメンバーに対して、ビジョンを明示するだけでなく、ビジョンを思い描く理由または背景、目指すべき目標、達成したい目的などについても、丁寧に説明し、理解・納得してもらう必要があります。
ビジョンにもとづいて、メンバーを巧みに動かす
リーダーが掲げるビジョンをチームが達成するために、リーダーは必要に応じてメンバーを適切に動かして、各自に一つひとつの課題をクリアさせていきます。
この時、リーダーがビジネススキルを発揮して、以下のような行動を誘引しなければなりません。
・メンバーとのコミュニケーションを円滑にして、伝えるべき内容を齟齬なく理解させる
・メンバーのモチベーションを上げて、前に踏み出し後押しをする
・コーチングによって、メンバーの能力を引き出し、より早く目的を達成できるように支援する
弱さを見せるなど、時には人間らしい一面を見せる
リーダーといえども、時には弱点や弱さをメンバーにさらけ出したほうが、求心力は高まります。
例えば、自分の間違いや失敗に対して言い訳せず、正直に誤りを認める、あるいは苦手なことをごまかすのではなく、素直に苦手であることを伝えて助けを求めるといった場面が考えられます。
メンバーは、リーダーの人間的な一面を知ることで、リーダーが絶対的権威者ではなく、共感できる相手であると認識できるようになります。
人間的な魅力をもったリーダーが掲げるビジョンは、メンバーにとって絵空事ではなく、自分事として受け止められるようになります。
オフィス環境での求心力とテレワーク環境下での求心力、何が違う?
そもそも、オフィスワークとテレワークの最大の違いは、リーダーがメンバーの働く様子を逐次確認できないこと、もしくは対面でコミュニケーションをとれないことにあります。
テレワークでもできる対策
メールやテレビ会議システムによって、定期的にメンバーの仕事の進捗を確認することはできます。
オンラインでも、コーチング技術を駆使して、メンバーの能力を発揮させることも可能です。
Zoom飲みのような形で、チーム全体でコミュニケーションを図ることもできるでしょう。
このような対策をとっても、根本的に解決されない問題もあります。
テレワークによる根本的な問題点
業務時間中といえども、メールやSNS、テレビ会議システムなどでつながっていないオフラインの時間中、無意識のうちに集中力が低下し、作業効率が下がっているメンバーがいるかもしれません。
常時監視していられないので、私的な用事を行っている人がいるか、どうかもわかりません。
オフィスワークの時のように、メンバー同士で刺激を与えあったり、心配なメンバーに対して適切なタイミングで声掛けしたりすることもできません。
このような状況ではリーダーの求心力が下がり、チームの成果も十分に上がりません。
テレワーク環境でもリーダーの求心力を高め、チームとして成果を上げるには?
サイボウズの人事制度が、さまざまなメディアで紹介されています。「100人いたら100通りの働き方」のコンセプトのもと、かつては28%もあった離職率を大幅に改善させた同社のエピソードは広く知られています。
サイボウズの革新的な人事制度には、テレワークにおける求心力の高め方のヒントが詰まっています。
サイボウズは多様な働き方を制度で保証しながらチームワークを高め、結果的にチームの生産性を向上させるという効果を上げています。
取り組み1、メンバー各自の自立を促す―メンバーは「部下ではなくパートナー」
サイボウズの人事マネジメント成功の大きなポイントは、メンバーそれぞれの「自立」にあります。
メンバーを部下ではなく、パートナーとして扱い、「多彩な選択肢の中からメンバーが自発的に選択する」、「理念に沿った意見を出し合う」といった行動をとおして自立を促しています。
各自が自立することで、オフラインの状態でも、メンバーが責任をもって業務管理できるようになります。
テレワーク環境では、オフィスワーク以上に、メンバーの自立を意識的にサポートすることで、おのずとリーダーの求心力も高まります。
取り組み2、チームとしてのビジョンの共有を徹底する
サイボウズでは、チームとしての成果が重視されており、その過程として、常にメンバーが理念やビジョンに「共有」して、自発的に行動することを大切にしています。
求心力を高める際に必要なビジョンの「共有」プロセスでは、テレワークの際にはオフィスワーク以上に、メンバーに共有してもらえるよう、説明を尽くす必要があるでしょう。
取り組み3、メンバーそれぞれの事情に合ったスケジューリングをサポートする
メンバーの自立やビジョンの共有によって流れができても、とりわけテレワーク環境下では、効率的に業務が進行するわけではありません。
メンバーそれぞれの事情にあわせて、タスク別の業務時間や休憩時間などを毎日細かくスケジューリングできるように、さりげなくメンバー本人を促しましょう。
あくまでも、メンバーの自主的、自発的な行動を重んじて、リーダーは後方支援に徹します。
テレワークならではの取り組みを追加して、求心力低下を回避する
オフィスワークで求心力の高いリーダーでも、テレワークというニューノーマルな環境下では、従来以上にメンバーに対する配慮が必要になります。
リーダーは、テレワークによる求心力の低下を防ぐために、メンバー各自の自立や自己管理のサポートを徹底し、チーム力向上を目指しましょう。