ヒップスターゲート

あゝ人材教育!3分ななめ読み

ビジネスゲームを提案する研修会社のホンネ!!

2017.12.19

ビジネスゲームとは経営をシミュレーションして行う体験学習のことを指すが、主に学生の企業研究や、企業の集合研修で実施されることが多い。
モデル設定のなかで商品開発や生産・販売を行い、最終的にチーム間で業績を競うものである。
当然だが、業績を上げることが目的ではない。
体験を経て、組織のルールやコミュニケーションの重要性、新しいスキルを習得し、経営感覚を養わせようというものである。

例えば新入社員の育成。
各部署で実地訓練を積み、企画・生産・販売を体験すれば会社を俯瞰することができる。
経営陣の会議を見学できれば尚効果があるだろう。しかし、現実はそうもいかない。
費用面、運営面で困難だし、新卒の社員とはいえ戦力としての期待も大きい。
そのため、配属時期は早くなるばかりだ。つまり会社という組織システムを把握できるまで十分に研修期間を設け学習させる訳にいかないのである。
そこで実際の現場と同じような環境をゲーム内に設定した体験学習が導入されるのだ。

さて、体験学習が効果的なのは実際に仕事の技術を習得できるからではない。
正直なところ、ビジネスゲームを含め、多くの研修はその受講だけでスキルを身につけようとすれば無理がある。
何事も慣れが肝心、仕事の技術も一朝一夕に会得などできないものだ。

ソチオリンピック金メダリスト羽生結弦選手がインタビューに応え、「怒りの感情を大事にしたい」と話していた。
競技へのモチベーションの一つとして、『絶対に勝ちたい』『負けてたまるか』という怒りの感情を挙げているのだ。
人は感情の動物である。故に感情がともなった行動は印象的に記憶に残る。

ビジネスゲームでは、些細だが対人間の緊張がいくつも発生する。シミュレーションであれ、企業経営をしようというのだから、方法や方向性は簡単に一致しない。とは言え強引に意見を通せばチームから孤立するやもしれず、葛藤はたまるばかりだ。それでも何とか業績を上げ結果が出れば、仲間と成し遂げた満足感は強く、涙ぐみ互いの労をねぎらう場面も見られる。一方、負けたチームは悔しい思いをするだろう。

チームを組み、結果が求められるビジネスゲームはその性質上、参加者の感情を揺さぶるが、体験学習は正負の感情をそのまま放置はしない。必ず振り返りの時間を設け、「なぜ上手くいったのか」「なぜ思うようにならなかったのか」を集団で考え、内省を促す。そこで、参加者が抱えていた葛藤が概念から明文化され整理されるのだ。他者と協働すること、コミュニケーションを図ることがいかに重要か、又、それを怠ったときの顛末も身を持って体験することができる。

ビジネスゲームは確かに現実の企業経営ではない。
しかし、そこに生まれた感情は本物だ。

企業・組織が結果を出そうとする、その過程に自分が携わる。
この事への前向きな惧れと高揚感は、何にも代えがたい経験値となる。

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