企業規模の大小によらず、異端児のもたらす技術のブレークスルーは、競争力の大きな源泉である。
そこには困難に突き当たってもくじけない強い思いがある。周りの雑音にも負けない強い信念がある。
新興国は技術力も向上し、ローコストを武器に市場に参入している。打ち勝てるのは独自性のある破壊的技術だ。
それを生み出すのは社員であり、一人一人が常識・固定観念を打ち破った異端児であることが求められる。
「そうか!強く思う事が大切なんだ!」
講演会で得たとてつもない大きな気づきでした。
これは、日本航空の再建のために、陣頭指揮をとっている稲盛和夫会長が、まだ京セラを創設したての若い頃に得た貴重な体験談話であり、
著書「成功への情熱―PASSION (PHP文庫)」にて、この気づきについて綴っている。
稲盛氏が京セラを起業したての新人経営者のころ、京都で松下幸之助氏の講演を聞く機会があった。
参加者の多くは歴史のある中小企業の経営者たち。
講演内容は、「ダムがいつも一定の水量で満たされているように、われわれも蓄えを持って事業を経営しなければならない」
といった「ダム式経営」についてであった。
最後の質疑応答の時に会場から、「自分には余分な資金がないが、どうやってダム(蓄え)をつくればよいですか」との質問があった。
松下幸之助氏は、自分もその答えは知らないと言い放ち、その後「しかし、先ず蓄えが要ると思わなあきまへんな」と答えたのである。
参加者の多くからは失笑を受けたが、このとき稲盛氏は強く感銘を受けたという。
「そうか、まずは強く思わないとダメなんだ!本気で思うことが大事なんだ!」と。
技術者が夢を描くことは重要だ。
夢とはビジョンであり未来のあるべき姿である。
この夢に向かって行動するかどうかは、そこに強い思いの有無が関わってくる。
これは信念となり、大きな壁を打ち破る力となる。その行動は周りから見ると異端児と取られながらも、
大きなブレークスルーをもたらしてきた。
問題とは理想と現実のGAP(乖離)である。
理想は夢であり、あるべき未来の姿である。
この理想が明確に描けていれば、今何をすべきか課題も見えてくる。
理想に向かってのマイルストーン、道筋も見えてくるのである。
このGAPを埋めるには多くの困難が伴うが、異端児といわれる人は理想の状態が明確であり、
実現するための強い思いは、困難を克服する強い力を与えてくれるのである。
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