近年、企業経営における新たな潮流として『Well-being(ウェルビーイング)経営』が注目を集めています。これは、単なる従業員の健康管理にとどまらず、従業員一人ひとりの心身の充実と幸福感の向上を目指す概念です。単に身体的な健康を維持するだけでなく、従業員の精神的な充足感や生活の質の向上にも着目し、従業員の総合的な「well-being」を実現することを目的としています。企業にとっては、従業員のモチベーション向上や生産性の向上、さらには優秀な人材の確保にもつながるメリットが期待されており、今後さらなる広がりを見せていくことが予想されます。
健康経営
企業における従業員の「Well-being」(幸福度)の確保は、近年注目を集めている重要な経営課題です。長時間労働による過労死などの問題が深刻化したことを受け、従業員の心身の健康を保証し、幸福な状態で働き続けられる環境の整備が求められているのです。
「Well-being」とは、単に身体的な健康だけでなく、精神的な充実感や生活の質の向上といった、従業員の総合的な「幸福感」を指します。企業がこの「Well-being」の実現を経営の目標に掲げ、従業員の福利厚生や働き方改革などに取り組むことで、生産性の向上や人材の定着にもつながると期待されています。
しかし、日本においては「Well-being」の概念が十分に浸透しておらず、統一された定義も存在しません。そのため、企業が「Well-being」経営を実践するにあたっては、まずその意義を理解し、従業員のニーズに合わせた具体的な施策を検討・実行していくことが重要となります。
本稿では、「Well-being」経営の意義と、その実現に向けた取り組み方について詳しく解説します。
Well-beingとは
心身ともに健全で活力に満ち、仕事にも喜びと充実感を感じ、社会的にも充足している状態を「Well-being(ウェルビーイング」)と言います。
これまでは、物質的な富裕さが重視されてきましたが、近年では心の豊かさや精神的な充足感といった価値観の変化を背景に、Well-beingが注目されるようになってきています。個人の幸福感や生活の質的向上が重視されるようになったのです。
健康経営とWell-being経営のちがい
企業における「健康経営」とは、従業員の身体的健康と安全を重視することを意味します。一方で「Well-being経営」は、身体的康健に加えて、従業員の精神的健康や社会的充実感といった要素をも包含しています。
従業員が心身ともに健康で、仕事への意欲が高く、組織への帰属意識が強い状態を実現することが、Well-being経営の目的です。このような従業員の状態は、組織の生産性や競争力の向上にも寄与するものと考えられています。
つまり、Well-being経営は、単なる従業員の健康管理にとどまらず、より包括的な従業員の幸福と組織の発展を目指す経営手法なのです。
Well-being(幸せ)の概念『PERMA』
マーティン・セリグマン博士は、ポジティブ心理学の第一人者として知られています。博士が提唱したPERMA(パーマ)理論は、持続可能な幸福を得るための重要な概念です。
この理論は、個人の幸福を構成する5つの要素を示しています。まず、ポジティブな感情を持つことが大切です。次に、自分に没頭できるような没頭体験を持つことが重要です。良好な人間関係を築くことも幸福につながります。さらに、人生の意義や目的を見出すことも欠かせません。最後に、何かを達成することで、満足感や達成感を得られることが幸福につながります。
企業にとっても、従業員のウェルビーイングを高めることは重要な課題です。PERMA理論に基づいて、従業員の心身の健康を促進し、持続可能な幸福感を醸成することで、企業の生産性向上や人材定着にもつながるはずです。企業は、従業員一人一人のニーズに応じたきめ細かな施策を展開することで、ウェルビーイング経営を実現できるでしょう。
企業が取り組むべきこと
メンタルヘルス
従業員の健康と幸福を第一に考え、適切な労働環境の整備が重要です。過度な残業や過剰なストレスは避けるべきであり、従業員が心身ともに健やかな状態で業務に取り組めるよう、会社全体で取り組む必要があります。ストレスの少ない、ポジティブな雰囲気の中で仕事に専念できれば、集中力の向上や生産性の向上につながることが期待できます。従業員一人一人の wellbeing を大切にし、組織全体の活力につなげていくことが重要といえるでしょう。
心理的安全性
良好な人間関係を築くためには、自分の言葉を相手に適切に受け止めてもらえる環境を整えることが重要です。日々のコミュニケーションを積極的に行うことで、チームの士気を高め、活性化を促進することができます。相互理解を深め、お互いの意見を尊重し合うことが、チームの結束力を高め、生産性の向上につながります。個人の自己表現の機会を設けるとともに、リスナーとしての姿勢も大切にすることで、建設的な対話が生まれ、信頼関係の醸成にもつながります。良好な人間関係は、組織の発展に欠かせない要素であり、コミュニケーションの活性化は、その基盤となるものです。
人間関係
近年の企業においては、社員の多様性を尊重することが重要視されています。さまざまな個性を持った社員が互いの違いを理解し、お互いを尊重しながら働くことが求められています。このようなダイバーシティの観点から見ると、多様性を活かせるチームになることで、企業の創造性や独創性の向上が期待できるのです。社員一人ひとりが自身の個性を発揮し、それぞれの強みを活かすことで、組織全体の生産性や競争力の向上にもつながるでしょう。多様性を尊重し、それを活かすことは、現代の企業にとって重要な経営課題の一つといえるでしょう。
まとめ
これからの時代、企業には社員の心身の健康と、仕事への高いモチベーション、そして社会的な充足感を実現する「Well-being経営」が期待されています。
今回は、その実現に向けた指標となる「PERMA」について紹介しました。持続可能な幸福を実現するための5つの要素ですが、これらを満たしていれば必ずしも全員が幸福になれるわけではありません。
近年、多様な個性を持った人々が増えてきている中で、個人が感じる幸福感と他者の幸福感は必ずしも一致するとは限りません。企業には、社員一人ひとりが何に基づいて幸福を感じるのかを理解し、それを満たすことができるよう努めることが求められるのです。
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