コロナ禍だからこそ高まるケーススタディの有効性
2020.06.19
ツイート対面回避やソーシャルディスタンスが叫ばれる環境の中、企業活動は大きな制約を受けています。そんなコロナ禍の今だからこそ、ビジネスシーンにおけるケーススタディの有効性が改めて注目されています。
ケーススタディを取り入れる意義
ケーススタディ=事例研究では、過去の事例や成功例、失敗例を研究して体系化し、原理・法則を洗い出す、あるいは問題解決方法を学びます。現在では、教育や医療、ビジネスなど、幅広い領域で活用されています。
ケーススタディによって、現場で即実践できるようなノウハウを体得することで、無駄を省いたり、リスク回避やスピーディーで的確な判断が可能になったり、同時に慣れや自信にもつながります。
MBAも例外ではありません。多くの理論の学習がカリキュラムに組み込まれていても、限られた期間内に実際の問題解決スキルをマスターするのは容易ではありません。MBAでは、ケーススタディによる一般的法則の研究、つまりケースメソッドをとおして、最善の解決策を導き出す能力を効率的に身に付けていきます。
ここで再認識したいのは、ケーススタディは実践に直結する有効なトレーニングであるという事実です。疑似体験を重ねながら思考を深め、スキルやノウハウを効率的に蓄積するケーススタディには、実際の体験では補いきれない知見そして経験値をもたらしてくれる効果があります。
逆転の発想が重要、コロナ禍の環境で疑似体験を積み重ねる
ビジネス領域では、OJTや現場で仕事を進めながらスキルを習得することも大切な成長要因です。さらに、ビフォアーコロナは、業務に追われて日々実践あるのみで、経験を体系化して方法論にまとめることまでできない、あるいはケーススタディに取り組む時間的余裕すらなかった人も多いのではないでしょうか。
ところが、早期の新型コロナウイルス終息が見込めない現状では、自由に出社できない、顧客訪問や面談を控えるなど、ビジネスでも実践の機会を大幅に制限されています。
それならば、いっそのことコロナ禍を逆転の発想でとらえて、経験値を効果的に高める絶好の時期、ビジネスノウハウを一気に蓄積する時期であると考えてはどうでしょう。
疑似体験の産物であるケーススタディだからこそ、コロナ禍真っただ中の今、ビジネスパーソンの経験値を高めるもっとも有効な手段になり得るのです。
今のケーススタディの活かし方が、アフターコロナで優位に立つカギになるかもしれません。
ケーススタディの活かし方
ケーススタディに関する事例研究は、企業研修やビジネススクール、セミナーで提供されていますが、市販されている多くのビジネス書などの書籍からも学ぶことができます。
コロナ禍で対面形式の講習などへの参加にも制約があることから、たくさんの事例が1冊にまとめられている書籍を使って、自分でケーススタディを進める方法がおすすめです。
- ケーススタディのフロー
- 学術論文、ビジネス書、新聞、関連するネット記事などから、業務に関連する事例を集める。集めた事例を種類ごとにまとめて、保管する。
事例集の参考書籍
『ケース・スタディ日本企業事例集―世界のビジネス・スクールで採用されている』(2010/6/4発行、ダイヤモンド社)
※ハーバード・ビジネス・スクールが実際に教材として採用しているケーススタディを掲載。日本を代表する企業10社の戦略上の問題点や葛藤が描き出されている。
『全員経営 ハイパフォーマンスを生む現場 13のケーススタディ 』(2017/11/2発行、日経ビジネス人文庫)
※JALやヤマト運輸、セブン&アイなど、持続的に高収益をあげている企業13社のケースを検証し、共通する条件、組織の形、人材の育成方法などを読み解く。
- 種類ごとに分類した事例を分析した結果や、導き出した解決策あるいは方法論をビジネスフレームワークなど、一般的な形式で第三者に説明できる程度に体系化する。ディスカッションという形をとるのも論点をまとめるのに有効。
ケーススタディの進め方の参考書籍
『ケースで学ぶケーススタディ』(2015/3/14発行、同文舘出版)
※実際の研究プロセスを事例に交えながら、ケーススタディの研究方法を体系的に学ぶことができる。
ケーススタディの積み重ねがアフターコロナのイノベーションにつながる
ケーススタディは、疑似体験と分析をとおして、一般的な原理や法則を学び、解決策を導き出すトレーニングです。コロナ禍の制約の多いビジネス環境を逆手にとって、ケーススタディに取り組むことで、さまざまなノウハウが効率的に蓄積されます。
蓄えたノウハウを巧みに組み合わせて、アフターコロナのビジネスシーンでイノベーションを起こすことも夢ではありません。
ケーススタディで将来に備えるのも、コロナ禍の過ごし方の一つではないでしょうか。
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