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人生100年時代に求められる「社会人基礎力」とは?

2020.05.15

2006年に発表された「社会人基礎力」は、人生100年時代が迫り、ますます重要性が増しています。2018年に新たな視点を得て再定義された「人生100年時代に求められる社会人基礎力」とは何か、なぜ必要になるのかをここで再考してみましょう。

「社会人基礎力」とは?多様性のある環境で、協調しながら仕事の成果を出す能力

2006年に経済産業省が提唱した「社会人基礎力」とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」 のことを意味します。これはダイバーシティ化やグローバル化が進む組織の中で、個人の知識やスキルを大いに活かして、成果を上げるための要となる能力です。

企業や組織にとっても、社会人基礎力を備えた人材は、企業の将来を担う貴重なキーパーソンになります。社会人基礎力をもつ優秀な人材を確保して、その能力を存分に発揮してもらうことで、企業としてのパフォーマンスや生産性を最大化させることができるからです。

「社会人基礎力」は、以下の3つの能力(12の能力要素)から成り立ちます。

・前に踏み出す力=アクション(主体性、働きかけ力、実行力)
・考え抜く力=シンキング(課題発見力、計画力、想像力)
・チームで働く力=チームワーク(発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力)

再定義が必要になった2つの理由―「平均寿命の延び」と「第4次産業革命」

2018年には、2006年版「社会人基礎力」に新たな3つの視点が加わり、「人生100年時代の社会人基礎力」として再定義されました。

このタイミングで再定義された理由の一つとして、日本国民の平均寿命が延びて、人生100年時代が目前に迫ってきたことが挙げられます。

厚生労働省「平成30年簡易生命表」(2018年)によれば、平成17年(2005年)当時の平均寿命は男性78.56歳、女性85.52歳でした。13年後の平成30年(2018年)の平均寿命を見ると、男性81.25歳、女性は87.32歳となっており、男性は2.69歳、女性は1.8歳平均寿命が延びています。

統計から見ても、日本人の平均寿命が着実に延びていることが確認できるでしょう。日々進歩する医療技術の後押しもあり、ごく近い将来、人生100年時代に突入することが見込まれます。

もう一つの理由は第4次産業革命の到来です。

IoTやビッグデータ、AIといった最新ICT技術の革新によって、新たな経済価値や付加価値が生まれています。こうした技術革新は労働環境にも影響を及ぼし、新しい時代に見合った働き方を再考することが求められています。

100年という長い人生を充実させて生き抜くためには、人は変わりゆく社会に適応して、主体的に働いて活躍し続けることが望まれます。そのために、学び方や働き方を見直す必要が出てきたのです。

新たに加わった3つの視点―「何を学ぶか」、「どのように学ぶか」、「どう活躍するか」

新時代を見据えて、社会人基礎力に新たに加わったのは、「何を学ぶか」、「どのように学ぶか」、「どう活躍するか」という3つの視点です。

新たな3つの視点は、以下のように定義されます。

・何を学ぶか [学び] =学び続けることを学ぶ
・どのように学ぶか [組み合わせ] =多様な体験・経験や能力を組み合わせる
・どう活躍するか [目的] =自己実現や社会貢献に向けて行動する

この3つの視点は、言い換えると、「今後、自分はどのようなキャリア(自己実現や社会貢献)を切り拓いていきたいのか」を主体的かつ多面的に考えることでもあります。

自分が思い描くキャリアプランが明確になると、それが成長の原動力になります。目標の実現に向かって、新・社会人基礎力をフル活用することで、学んだ知識やビジネススキルなどの能力を発揮できるようになると考えられます。

中高年世代の「人生100年時代の社会人基礎力」の高め方

「人生100年時代の社会人基礎力」を向上させるためには、すべてのライフステージにおいて、3つの視点でキャリアを意識して、さまざまな体験を繰り返すことが大切になります 。

とりわけ、第二の人生が近い将来に訪れる中高年のビジネスパーソンにとっては、この新・社会人基礎力の強化は喫緊の課題です。今、そのためにできること、考えるべきことは何でしょうか。

① 3つの視点でキャリアを見直す

・持続的な活躍を前提として、これまでの経験を活かしながら学ぶべきことは何か?
・さまざまな人とのつながりを活かして、どのように活躍の場を広げていくか?
・経験を踏まえて、社会に提供できる自分の価値とは何か?

② 3つの能力、12の能力要素を向上させる体験を積む

・職場、異業種団体、地域社会、大学・大学院などを、体験を積み重ねる場ととらえる
・企業や業界主催の研修、社会活動、企業、副業、兼業、出向などを活用して実践する

③ 自分の知識やスキルを振り返り、必要に応じて新たに習得する

・これまでのキャリアをとおして習得した技術や知識、スキルをブラッシュアップする
・今後のキャリアで必要になる技術や知識、スキルを新たに身に付ける

人生100年時代だからこそ、キャリアの見直しが重要

人生100年時代を充実させるには、自分のスキルや能力を活かして持続的に活躍できる場をもつことが何より重要です。それには、継続的にキャリアを見直しながら、しかるべき経験や研鑽を積む必要があります。

人生100年時代に向けて、まずは、今後、自分がどう活躍できるかを見直すことから始めてみましょう。

 

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