2019.07.25

ニュータイプの時代

読書マニアE氏の推薦ビジネス書

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あなたはオールドタイプ?ニュータイプ?

モビルスーツは百式が一番好きなE氏です。
"ニュータイプ"と聞いて国民的アニメを思い浮かべるのは私だけではないはず。
ただ、残念ながら今回は機動戦士ガンダムは全く関係ありません。

今回おすすめするビジネス書はこちら。
つい最近出たばかりの新刊です。

著者:山口 周
出版社:ダイヤモンド社 (2019年7月発売)

要約

●社会のVUCA化(Volatile=不安定、Uncertain=不確実、Complex=複雑、Ambiguous=曖昧)
 VUCA化によって思考や行動における経験・予測・最適化が無価値になっている。

●これからの世の中を生き抜くための人材要件が変わりつつある
 モノが飽和し、意味が不足している社会になり、価値観シフトが起きている。
 問題の希少化と正解のコモディティ化により、問題解決より問題発見の力が重要である。

●人材要件を7つの項目から考察
 「価値創造」「競争戦略」「思考法」「ワークスタイル」「キャリア戦略」「学習力」「組織マネジメント」

●価値創造…正解を探す価値の減少(人工知能の台頭)
 人間は正解より問いを探すことが大事で、在りたい姿やビジョンの提示、構想力を発揮すべき。
 ビジョンを実現したり、課題を解決する方法論が画期的であれば、
 それがゆくゆくはイノベーションと呼ばれる。

●競争戦略…企業ではモチベーションが経営資源として希少化
 リクルートキャリアの調査によると8~9割の人が仕事に意味・やりがいを見いだせていない
 意味を示す会社の例がLCCのピーチ・アビエーション
 ⇒戦争をなくすことがビジョン(コストを下げる、路線を増やすことがビジョンではない)

●思考法…論理と直感のバランス
 偶発性やエラー、遊びといった直感思考によって仕事のパフォーマンスを上げる。
 これらは短期的には非効率さを生むが、中長期的には高効率となる。

●ワークスタイル…越境の時代
 ナレーム・タレブが提唱するバーベル戦略が有効。
 バーベル戦略とは極端にリスクの異なる2つの職業を同時に持つこと。
 例えばアインシュタインは「特許庁の役人」でありながら「物理学者」であった。

●キャリア戦略…大量に試して、うまくいったものを残す
 スタンフォード大学の研究によると、綿密な計画よりも即興的にさっさと動く方が
 大きな成果を生み出すことが実証されている。
 うまくいかないものは止める決断も大事で、アマゾンは撤退のプロだった。

●学習力…リベラルアーツで構想力を高める
 リベラルアーツはただの教養ではない。自由になるのための技術(問いの設定)である。
 常識を疑うのはコストがかかるため、本当に疑うべき常識を見極める選球眼を持つこと。
 そのため取捨選択においてリベラルアーツが求められる。

●組織マネジメント…空気を読まず、オピニオン(主張・意見)を出す
 おかしいことにはおかしいと声を上げる。それでダメならエグジット(逃走)。
 個々人のオピニオンとエグジットが増えれば、ブラック企業などは自然淘汰される。
 権威・権力に屈せず、自ら問題意識を持って行動する。

E氏の私見

非常に良書です。
ビジネス書を年間で200冊ほど読みますが、今年のベスト5に入るといっても過言ではありません。

著者の主張や論点も明確でわかりやすいだけでなく、それらを裏付ける研究も提示されていて、
読んでいて納得感があります。

本書の要約にはその全てを書ききれませんでしたが、
一貫して主張されているのは「今の世の中は意味が不足している」ということです。

私たちが普段の生活をしていて、もはやこれがないと生きていけないというモノはなくなりました。
あらゆるモノが社会には溢れているのは良いことですが、それに伴い価値創出の源泉がシフトしました。
「問題を解決するためのモノ作り」から「問題を発見して、意味を創出する能力」です。

意味の創出という観点で具体例を挙げるとすれば、"ブログ"です。
ブログは傍から見ればただの日記と変わりありません。
そこに意味付けをして、ブログの地位を確立させた立役者がいました。
ライブドアの堀江貴文さんです。
彼はネット上の日記ではなく『芸能人が綴る特別なもの』という意味を与え、
その点を徹底していきました。
そこに周囲の人々は価値を見出し、ブログが圧倒的に普及していったのです。

少し話を戻します。20世紀半ばから後半の時期までは、
市場の不便・不満・不安を解消する問題解決能力ことが高く評価されていました。
しかし、この解消が一段落すると見えてきたものは何か?
それは、そもそも大きな問題がなければ、問題解決能力が価値を創出することはない、
ということです。

いまや現代社会は「問題が希少で解決策が過剰」という特異な時代にあります。
つまり、今までと同じような問題解決能力をひたすらに高めていく思考や行動を取る人、
いわゆるオールドタイプは生き残れなくなっていくのは明らかでしょう。

そうは言っても人はなかなか急には変われないものです。
いきなり問題を見つけろ、意味を見いだせ、と言われても何をすべきか迷うことでしょう。
まずは、これまでの思考様式に捉われることなく、
疑ってみることが初めの一歩としては最適なのではないでしょうか。

その過程では失敗することもあるかもしれませんが、それも一つの経験。
とにかく試行錯誤を繰り返し、大量のトライアル&エラーを通して、
ニュータイプへと変革していきたいものですね。

 

それでは最後にこの言葉を贈ります。
変革への過程で心が折れそうになった時、思い出してみてください。

まだだ!まだ終わらんよ!

シャア・アズナブルは名言の宝庫ですね、ホント。

今回は以上です。
もっと中身を知りたくなったら、ぜひ本を買ってみてください。
それではまた次回!



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