働き方改革の進め方(8)~育児の問題~
2017.02.23
ツイート働き方を改革するために避けて通れない育児の問題があります。本来、仕事との両立が難しいのが、育児の問題で、少子高齢化の問題と合わせて、取り組まなければならない国家的な課題です。
女性本人の妊娠・出産・産後、そして育児という小学校低学年までの約9年間には、様々な苦労が存在します。家庭の問題として、男性もいかにこの問題に力を尽くしていけるのか、どのように夫として育児に関わっていけるのか等、大きな困難が伴います。
休むだけでは機能しない
育児のために、休業期間を設ける育児・介護休業制度は、法律によって規定されています。簡単に言えば、育児のために一定期間、休業していることを選択できるという制度ですが、働くという観点から見れば、まずは、休むことだけ保証された、とも言えますが、労働がない期間ですから、基本は、ノーワークノーペイの原則からすると、賃金を得られるものでもありません。無論、企業として在籍中に負担しなければならない、社会保険や、労働保険料分を支払うことはしてくれるでしょう。しかし、それだけでは、現実はどのようになるかといえば、育児休業で休んでいて、休業期間が終了したが、復帰せずに、退職したり、もしくは、復帰したかと思えば、二人目で休み、さらには、三人目で休み、その後に退職してしまったりする、という事例まであります。ほとんど、労働に貢献していないこの10年もの労働空白期間は、働くということに寄与しているでしょうか。
やはり、家庭で、子育てしている間も、空いた時間のすき間時間を活用してでも自分でできる貢献はして、働きに応じた賃金も得られるようにすべきでしょう。
「テレワーク」の意味不明感と準備の困難
総務省や厚生労働省の推進する方法に、テレワークという用語がありますが、「テレワークを推進しよう」と言って、意味がわかりやすく伝わるでしょうか。社会的には、保育園の待機児童問題ばかりがクローズアップされ、子供を預けて働きに出ることの困難さだけを社会問題としているのが現実です。
企業の内部では、休ませることは簡単にできても、在宅で、仕事ができるような、ネットワークとしてセキュリティ対策に万全なICT環境を作り上げ、それに見合う一定量の仕事を用意すること、そして、仕事をどのように定量評価するのか、労働として、遠隔操作して企業の業務が成り立つのか、そのためのシステム開発や投資費用は投資に見合うのかなど、経営の実態と効率化との問題から、投資することができるのか、制度化に向けては、数多くの難題をクリアしなければ実現しないという現実があります。すべての企業の環境が整備されてこの問題が解決するには、かなりハードルの高い問題です。
現実には、考えることから始めて、方針と対策を立ててできることから確実に始めていくことが大切です。