女性の活躍とは一体何でしょう。果たして女性はこれまで、活躍してこなかったのでしょうか。
いえ違います。昭和の時代では、現代よりも多くの女性が、家庭を支えてきたのではないでしょうか。更に戦時中まで遡ると、7人から8人も子供をもうけ、家庭を支えてきた強い女性が数多く全国に存在し、国全体を支えていたといっても決して過言ではありません。
端的に言うと厚生労働省が、将来は国民の数が減り生産労働者数が減るから、その減少を補うためには、家庭にいる女性や遊んでいる高齢者に対して、社会に出て働いてもらおうという考え方で、実は30年も前から提唱し続けているにも関わらず、一向に進展のない厚生労働省の考え方です。
社会に出たら出たで、子育ては誰が担当するのか、介護は誰が担当するのか、全部が噛み合うことなく、ちぐはぐに、努力・改善を続けているという、混とんの中に時代はあると言えます。
問題は、出産・育児・介護など、本来男性も担うべき役割を放置しておいて、複雑に絡み合っている困難な問題を、「女性の活躍」と一言で言い表して、美化していることです。
一方、企業ではこれを真に受けて、女性をより昇進させようだとか、女性役員を輩出しようだとか、より上位の職位に占める女性の割合を増やすことで、活躍を代名詞としている残念な企業が少なくありません。当の該当女性に、過剰に期待することで、過酷な環境に追いやってしまっているケースは多々あります。
ライン管理職になればなるほど、私生活を犠牲にせざるを得ない場面は、毎日と言っていいほど発生するはずです。まさに、女性の従来の働き方から変革したいはずが、実態は時代に逆行する「滅私奉公」的な働き方を強いて、業務に集中してもらおうという身勝手な施策に陥ることが目先の需要問題です。
本来、女性のみならず、男性も女性も、ありとあらゆる人が、活躍したいと思う人間が、活躍できる環境がそろって、活躍の舞台も充実していることが望まれるはずです。
また、「女性らしい活躍を」といった軽い言葉だけで、期待を表すようでは、女性は困ってしまいます。野球でいえば、1番から9番まで、その果たすべき役割は、一人ひとり違うはずです。それを、一言で女性の活躍と言っても困るでしょう。女子サッカーのなでしこジャパンの一員はどのような活躍を求められるのでしょうか。更に、女性都知事はどのような活躍を求められるのでしょうか。テレビや舞台で活躍される女優は、どのような活躍が求められるのでしょうか。
世の中には、沢山の職種があり、それぞれの働き方があるにもかかわらず、女性の活躍と一括りにしてしまうことに、問題があるのです。
民間企業の場合、当社では、どのような場で、どのように活躍してくれることを、一つの職種や、役割や、ミッションごとに、細かく期待を記載して初めて、「貴女は、こういう立場で、どういう仕事で、どういう考え方をもって、能力を発揮していただきたい。」と企業側の期待を明示することで、初めて一人ひとりにその答えは出てくるものであり、そのあり方は全員が違ってしかるべきではないでしょうか。
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