管理職になりたては、期待と不安と半々ながらも、昇進ができたことが嬉しく、これからの将来も順風満帆で、茨の道はないだろうと、そんな気持ちでいるのではないでしょうか。
新任の間は経験がないから、という言い訳も、自分の内に潜んでいるはずです。
しかし、新任であろうがなかろうが結果が勝負です。管理職になった以上、不十分は失格を意味します。
それでは、これからの長い管理職の道に必要なものは何でしょうか。自分が優秀であることでしょうか。周囲より秀でることでしょうか。
実は、誰よりも良い成績を上げるという、日本のお受験勉強で鍛えられた習慣が、これからの道の大いなる障害になります。走り始めてしばらくは、それでも何とかやっていけますが、長い道のりの中では、そのままのスタンスでは通用しません。
経験が積み重ねられて年齢が増すほどに、新人とのギャップが大きくなります。育った環境や、学問も、習うこと自体が変化しています。
もちろん、話す言葉や考え方も昔とは変わっているはずです。そんな中、これまで通りの常識を振りかざして、自分の時代背景から学んだことだけをもとに突っ走っていくのは、非常に危険です。
何が危険かと言うと、そんな姿勢のあなたを、周囲が受け入れられなくなることです。
そうして孤立した末に、「自分」と「上司の命令を果たすこと」が最も大切になってしまったりします。
そうすると、上しか見ず、大切な部下のことは、考えない、聞きもしない、わかろうともしない、「いいからやっておけ!」のような、いわば「暴君」になる恐れがあります。
新任のころには微塵の予測もつかないものですが、あなたにそんな兆しが見えた時、他人がこっそりとアドバイスしてくれることはありません。いつのまにか「暴君」になり、陰でさんざん悪口を言われるのが落ちです。そして、気づいていないのは、自分だけという、哀しい実情に陥ってしまうのです。「裸の王様」ですね。
では、そうならないために何が大切であるかと言うと、リーダーシップを発揮しながらも、弱者のことを思いやる心の大きさを持ちながら謙虚であることです。これは、一朝一夕に得られるものではなく、幅広い読書習慣や交友関係、新たなことを学ぶ向学心、深謀遠慮など、人生の修業として人格を涵養し、誰が見ても立派な人物になっていくことが大切です。
また、あなた自身も、そうした上司に恵まれなければ、このようなアドバイスをいただけるチャンスはまず無いといってよいでしょう。ほとんどの人は、自分のことしか考える余裕がないからです。部下の何気ない日常の仕事は、組織の人たち全体の働きで、うまく回っているということに、感謝できる管理職でありたいものです。
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