プロジェクトの成功とは?プロジェクトマネジメントの役割
プロジェクトは、QCD(品質、コスト、納期)をクリアするのはもちろんのこと、顧客が要望する品質基準以上の成果物を納品できてはじめて“成功”と呼ぶことができます。
日経コンピュータによる『ITプロジェクト実態調査2018』によれば、調査対象となった1,745件ものシステム導入/刷新プロジェクトのうち、約47.2%が「失敗」だったという回答を得ています。
ややもすると失敗に終わるリスクの高いプロジェクト。だからこそ、作業系統化やコスト、リソース、進捗などを細かく管理するプロジェクトマネジメントが必要になります。
「フェーズ」はプロジェクトの最小区分
現代のプロジェクトマネジメントは、PMBOK(Project Management of Knowledge )と呼ばれる知識体系をベースに標準化されており、あらゆる分野に適用できるマネジメント手法として普及しています。
PMBOKでは、プロジェクトのライフサイクルを構成する最小区分「フェーズ」単位で、管理する手法を紹介しています。
プロジェクトマネジメントでは、プロセスは例えば「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「監視・コントロール」、「終結」といったフェーズの連続であると定義することができます。
プロジェクトによってフェーズの分け方も名称もさまざまですが、どのようなプロジェクトであろうとも変わらないのは、最小区分であるフェーズ単位であれば管理しやすいという事実です。
以下に、プロジェクトの成否を握るフェーズマネジメントの重要ポイントについて、キーワードを絡めながら解説します。
- 立ち上げ:製品の最終形「スコープ」を定義する
フェーズごとのチームの発足段階に当たります。ここで顧客やチームメンバーと顔合わせをしながら、プロジェクトの根幹となる「スコープ」を定義します。
スコープとは、プロジェクトの目的は何か、最終成果物の定義など、チーム内で概念的な部分の意識共有を図ります。
プロジェクトのスコープを記したスコープ定義書に沿って「プロジェクト計画書」が策定され、これがプロジェクト推進の柱となります。
さらに、立ち上げフェーズでは、プロジェクトに利害関係のある「ステークホルダー」と呼ばれる外部の個人や組織などを特定し、プロジェクトに対する期待値や影響を分析します。
- 計画:プロジェクト推進の要「WBS」を作成する
計画フェーズでは、「WBS(Work Breakdown Structure)」を作成して、プロジェクトの具体的なスケジューリングや、コストの見積もり、予算計画を練ります。
WBSのアクティビティごとにリソースの配分を行い、社内だけで確保しきれない場合は、外部に協力を依頼します。適切なリソース配分は、計画フェーズにおいて最も重要な要素になります。
さらに、成果物の品質を客観的に評価するための「品質メトリクス」(品質指標)を作成するのも、計画フェーズでの大切な工程の一つです。
- 実行:「チームマネジメント」を徹底しながらWBSを推進する
実行フェーズにおけるプロジェクトマネジメント最大の役割は、チーム内で円滑なコミュニケーションを図り、チーム一体となってプロジェクトを推進させることです。これによって、チームのパフォーマンス最大化が期待できます。
- 監視・コントロール:「変更管理表」を使って変更を監視、対応する仕組みも必要
監視・コントロールフェーズは、成果物に対して行う変更を詳細に記録する、変更依頼が出た場合に即座に対応する仕組みを用意して実践するといった業務が中心かつ最重要課題になります。
プロジェクトの進行中は、あらゆる変更が日常的に起こります。
定義されたスコープの変更、仕様の変更、アクティビティの優先順位変更に伴うリソースの調整、見積もり額の変更などさまざまです。
このプロセスで、いかに迅速で正確に変更に対応できるかが、プロジェクトの成否を左右します。「変更管理表」などを使ってしっかり管理することが重要です。
- 終結:「KPT法」を使ったプロジェクトの総括
納品(成果物の引き渡し)と検収を終えると、フェーズが終結します。ここで大切になるのは、KPT法(Keep Problem Try)を利用して、今後も続けていきたいこと、問題点、次にやってみたいことについて、顧客やチームメンバーからの意見を集約することです。
まとめた意見は、今後の保守や改修などに反映させていきます。
フェーズごとにガッチリ管理 プロジェクトマネジメント成功への秘訣
プロジェクトの最小区分であるフェーズ単位で管理すれば、修正や変更なども小規模で済みます。問題が発生した場合の対処も、プロジェクトの終盤に差し掛かってからよりも対処しやすくなります。
プロジェクトマネジメントの基本はフェーズ単位のコントロールから。これを実践して、期待以上のクオリティの最終成果物を生み出して、プロジェクトを“大成功”に導きたいものです。
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