ヒップスターゲート

あゝ人材教育!3分ななめ読み

新入社員の働き方への意識と傾向を分析してみたら意外と頼もしかった。

2015.07.02

今年もヒップスターゲートは新入社員に対して「労働に関する意識調査」を実施した。
昨年同様、新人・若手社員を対象とする人材育成(研修サービス)の質の向上を目的とするもので、弊社が今年3月~5月に行った新入社員研修において、ご了解いただけた企業の受講者※を対象に行ったものである。また、講師所感では受講者の「強み」「弱み」を提示してもらっている。今年もアンケート調査と講師所感から、新入社員の働き方への意識と傾向を分析した。新入社員との関わり方の手助けになれば幸いだ。
※アンケート対象人数1312名。回答は選択式で実施

設問は、昨年度と比較ができるよう同内容とし、新たに1問を加えた。
以下設問内容である。

①会社の先輩や上司に何を期待しますか
②働くうえで重要だと感じていることはなんですか
③仕事をする上でモチベーションとなる事柄はなんですか
④指示を受けた仕事で不明点があった際はどうしますか
⑤あなたは先輩や上司から何を期待されていると思いますか
⑥将来、海外に行って働きたいですか(本年度追加)

"真面目で指示された事に対して素直に取り組む"
今年の新入社員の傾向である。実は、今年の調査結果は昨年の新入社員とそれ程差はない。’14と’15の新入社員に生活・学習環境の違いが少なく、それが考え方や行動にも表れている。

例えば設問①と⑤
「会社の先輩や上司に何を期待するか」という問いに対し、「マナーや仕事の基礎を教えてほしい」「仕事以外の話しができる雰囲気」が、ほぼ同率の30%台回答で1位、2位。実は、順位は昨年と入れ替わっているが、社会人として未熟である事を素直に受け止めている様子と、不足するマナー・マインドやスキルはストレスなく学んでいきたいと考えている事に大きな変化はない。

設問⑤「先輩や上司に期待されていること」は昨年のグラフを見ているのかと思うほど、回答は近似値だ。「不明点を確認しながら進める」27.4%、「周囲を見て気配りある行動をする」26.8%、となっている。真面目に仕事に取り組む意欲や失敗をしたくない気持ちを汲み取る事ができる。

また、登壇した講師陣(86名)の報告書から分析した「強み」「弱み」も昨年の集計結果とほぼ変わりなく、それぞれ素直で真面目な様子と発信力の弱さがあげられている。しかし、今回は「強み」に"明るさ"をあげる講師が多く、2015年度の大きな特徴の一つと言える。マナーや敬語を知らない事への引け目がないので、卑屈にならず、学ぶことに素直な喜びを感じている様子は非常に印象的であった。

※2015年度新入社員における強み弱みランキング(n=1312)
強み:1位「素直である」24%、2位「理解度が高い」22%、3位「取り組み意欲・集中力がある」14%
弱み:1位「主体性・積極性・発信力」24%、2位「受け身、他者依存」18%、3位「周囲への気配り、配慮」18%

受講者の殆どは2002年度学習指導要領による教育(ゆとり教育)の終盤を過ごした。この教育を受けた世代は驚くほどマイペースである。学習時間を減らし、経験重視型の授業とする事を主軸とした教育方針は被教育者の個性を保全し、感受性を大切にした教育は大らかで素直なこの世代の特徴を生み出した。
しかし、2011年には脱ゆとり教育が始まり、受けた教育の根幹が揺らぐなか、彼らの大学生活が始まる。その後、就職活動を経て、大人が求める若者像と自らのギャップを認めざるを得ない状況となるが、彼らは、それを持ち前の大らかさで受け入れ、社会人となった今なお、学びの姿勢を崩さない。

設問②「働くうえで重要だと感じている事」に対しては、回答順位に、昨年との違いはないものの、「仕事がこなせる能力」の回答率が若干だが上昇している(14年度39%、15年度43%)。昨年2位の「同期や先輩との良好な関係」からポイントが移行しているのだが、ここでも知識を得たいという傾向が伺える。

今年追加した設問⑥「将来、海外で働きたいか」の回答が、「スキルが身に付いたら働きたい」に集中した(45%)ことからも、現在の立場を一種の学びの期間と認識していることが分かる。なお、彼らの概念の軸が個人主義で、自らの成長に最も関心があることも同時に汲み取る事ができ、かつての若者にあった、やみくもなチャレンジ精神と会社への貢献意識は今はもう薄いと言ってよい。

さて興味深いのが、設問③「仕事をする上でのモチベーション」に対して、「給与・昇給・昇格」の回答が昨年比4.8%増であったことだ。劇的な社会変化のない1年であり、各設問の回答が昨年と近似値である中、ことさらに現実的な「金銭」に関する項目に、回答率の上昇があったのは特徴的だと言える。回答者は全体の11.9%で少数派だが、講師所感で目標設定の低さを指摘された彼らの中に、

仕事や能力の対価として、給与をあげる受講者がいる事を頼もしく感じる。

知識を得ることに高い意識をもって臨める2015年度新入社員だが、一方で、講師所感による受講者の弱みからは、それを体現していく実行力と、失敗を恐れない挑戦意欲はまだまだ不十分な事がわかる。
社会人は成長し続けながらも、成果が求められることを認識し、スピード感をもって、その期待に応えていかなければならない。
ビジネスは冒険で、答えは一つではない。これから船出しようとする彼らにも、高い波や壁があり、また数えきれないチャンスが待ち受けている。挑戦と実行を繰り返しながら、様々な正解を導き出して欲しい。

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