なでしこジャパンの活躍から10年 名将・佐々木監督からリーダーシップを学ぶ
2021.02.25
ツイート今から遡ること10年前の2011年(平成23年)、ドイツで行われたFIFA女子ワールドカップで、
日本は男女を通じて初の優勝という快挙を成し遂げました。
東日本大震災を経験した直後の私たちに多くの勇気を与えてくれた同チームは
「なでしこジャパン」という愛称で呼ばれ、
同大会で女子チームを優勝に導いた佐々木紀夫監督の手腕は、当時大変話題になりました。
(ちなみに、当時のなでしこジャパンのメンバーには澤穂希さんやバラエティ番組で大活躍中の丸山桂里奈さんがいます)
佐々木氏の著作にもある『佐々木流11(イレブン)の心得』を、
改めてコロナ禍で先行きが見通しづらい今の時代でも役に立つリーダーシップの心得として見ていきましょう。
【佐々木流11の心得】
1.責任
2.情熱
3.誠実さ
4.忍耐
5.論理的分析思考
6.適応能力
7.勇気
8.知識
9.謙虚さ
10.パーソナリティ
11.コミュニケーション
保身や権威にとらわれてはいけない(1、3、7、9)
選手の力を引き出すにはロジックとエモーションの両方が必要(2、5、8)
また、身構えずに素直な自分をさらけ出しつつ(10、11)
自分の都合や好みへのこだわりを捨てる(4、6)ことも大切。
そして、これらは足し算ではなく掛け算、
1項目でもゼロまたはゼロに近い値がある場合は、その人に指導者の資格はないと言い切っています。
女子チームをまとめた手腕
女子チームを優勝に導いた手腕として、選手との“関係性”の作り方の上手さも取り上げられていました。
一般的に女性は男性よりも感情が豊かな傾向があると言われています。
その感情に上手く訴えかけるマネジメントを行っていました。
選手の話を聞き、受け止め、意見を伝える
指導方法や試合中の指示について、選手から意見が出ることはもちろん少なくはないが、
率直に話せる関係性を築き、選手の意見をまずは受けとめてから、
自身の意図・意見を伝えるという建設的な話し合いを行うことで、
さらに選手たちは信頼を寄せるという好循環が出来上がっていたそうです。
全員を平等に扱う
控え選手の練習も(コーチに任せるだけではなく)直接見に行くなど、
控え選手含めた全員を平等に扱うように心がけていたことにより、
途中出場した選手も力を十分に発揮することができ、結果につながりました。
(丸山桂里奈さんは途中出場で決勝点をあげ、ベスト4進出に大きく貢献しました)
人間らしさを見せる
練習から本番にかけて、チームも息が詰まる時もあったに違いありません。
しかし、冗談を言ったり、試合翌日の練習で、控え選手の輪に入り笑顔でボールを蹴ったりと
素の人間らしい姿も見せることで、佐々木監督は選手から「ノリさん」というあだ名で呼ばれ、信頼を得ていました。
そして、佐々木監督は「仲間を思いやり共感する心は、
女性、それも特に日本の女性にこそ強く備わっているように感じられる。
そしてそのような心は、僕たち男性が想像している以上に重要なのだと感じられる」と述べています。
コロナ禍で物理的な距離が遠くなってしまう今、
「つながり」を重視する佐々木監督のマネジメントは女性だけではなく、
リーダーシップの心得として改めて役に立つのではないでしょうか。