HRD用語【エンゲージメント】
2021.11.01
ツイートエンゲージメントとは、直訳すると約束や協約、契約、婚約といった意味になります。 「企業エンゲージメント」「従業員エンゲージメント」の場合は、従業員が持つ会社に対する思い入れや愛着を指します。従業員と企業が一体となることで、互いの成長を深めていくという意味も持ちます。 「顧客エンゲージメント」の場合は、企業と顧客の親密度を表します。 近年エンゲージメントという言葉は広く認知され、多くの企業で注目を集めています。
エンゲージメントが注目される背景
エンゲージメントが注目される背景には、複数の要因が存在します。
キャリアの多様化
近年、終身雇用はほぼないものとして認識されるようになりました。生涯を1社で終えることが少なくなり、転職に対する許容度も業界問わず高くなっています。また、年功序列を採用しない企業が増え、自身の実力に見合った企業で働くことが求められるようになっています。
加えて副業解禁や企業、そして社会のDX化が加速し、働き方にも多様性が広がっています。企業に勤めながら副業することが容易になり、キャリアプランも柔軟に描けるようになりました。
自由度、そして許容度が高くなる働き方に対し、なぜこの会社で働くのかという疑問が付き物となります。結果、退職などの選択をする社員が増えることを防ぐために、有効なのがエンゲージメントです。従業員と企業が一体となることで、従業員の成長や安心感、満足感をサポートします。
生産性向上につながる
労働人口が減少するということは、一人当たりの業務量が増えていく傾向があります。その際、生産性を向上し、思考が必要な業務に時間を割こうとするのはどの企業でも同様です。
エンゲージメントが高い組織は、人材流出を阻止することができます。言い換えれば培ってきたノウハウやマニュアルが、健全な状態で社内に蓄積されていることになります。
エンゲージメントが高い企業は、生産性に加え、営業利益が高いという調査結果も出ており、エンゲージメントが重要視される理由がよく分かるでしょう。
類義語との違い
エンゲージメントの類義語として、「従業員満足度」や「ロイヤリティ」があります。
従業員満足度
従業員満足度は、待遇や環境、報酬に対してどれほど満足しているかという度合いを指します。可視化しやすい情報で満足度を聞いた数字のため、あくまでも従業員の感想に留まります。
したがって企業の売上や利益などには紐づきにくく、短期的な視点での社内就業環境改善には有効ですが、長期的な視点に立つと最善とはなりにくい数字です。
ロイヤリティ
ロイヤリティは、従業員の会社への忠誠心を指します。
忠誠心という言葉から想起されるように、企業と従業員が主従の関係となります。言い換えれば帰属意識となり、従業員満足度を高めることがロイヤリティ向上に繋がります。
エンゲージメントとの違い
エンゲージメントと従業員満足度は、企業と従業員双方が対等な関係ではあるものの、エンゲージメントが相互の結びつきを強めていくことだとすると、従業員満足度はお互いの物質的な満足度を享受し合う関係になります。
ロイヤリティの場合、忠誠心という意味自体はエンゲージメントと近く感じるものの、企業と従業員の関係が対等か、主従関係かという大きな違いがあります。
企業と従業員が対等な関係を築くことで、より強固な信頼関係を構築することができます。その結果、従業員個人の成長はもちろん、企業の成長にもつながるでしょう。