ファクトフルネス
2020.02.18
ツイート頭の中の色眼鏡を外せ
32歳まで「繋」という漢字を微妙に間違えて覚えていたE氏です。
繋の右上が「攵(のぶん)」という部首だと勘違いしていました。
(あれ、何かよくよく見たら思ってたのと違くない?となって偶然気がつきました。)
人間は不思議なもので一度こうだと思い込んだらそこから離れることができません。
先入観、固定観念、思い込み・・・。誰もが大なり小なり持っているものです。
そして、それらは世界の見方についても同じことが言えます。
貧困・教育・環境・エネルギーなど様々な問題に対して、
私たちはそれなりに理解できていると思っていますが、
果たして本当にそうなのでしょうか?
根底には"これまで見聞きしてきた情報=常識"があるのですが、
実はこの常識があなたを知っているつもりの状態にしており、
世界を誤って認識させている色眼鏡なのかもしれません。
要するに常識が思い込みを作り出しているということですね。
それでは世界を正しく見るためにはどうすれば良いのか?
今回は頭の中の色眼鏡を外す方法がギュッと詰まった一冊をご紹介します。
著者:ハンス・ロスリング、オーラ、ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド
訳:上杉 周作、関 美和
出版社:日経BP(2019年1月発売)
要約
●私たちは世界のことをほとんど知らない
世界の事実に関するクイズを13問出題したところ、
正答率は科学者と一般人では有意な差がなかっただけでなく、
仮にチンパンジーが出たらめに回答した方がスコアが良いくらいだった
●世界は分断されていない
もはや「先進国」と「途上国」に分断は存在していない
世界の多くの人々が教育、医療、インフラの整った生活をしており、
私たちが思うより両者の格差はずっと小さい
●世界はどんどん良くなってきている
世界の平均寿命は延び、生活レベルは格段に向上しているが、
人間は良い事よりもネガティブな事の方が記憶に残りやすいため、
世界がどんどん良くなってきていると言われても実感が湧きにくい
●世界は危険という勘違い
メディアや自分自身の情報アンテナ(関心があるものしか見ない)により
恐ろしい情報ばかりが目に飛び込んでくるが現実は違う
【リスク=危険度 × 頻度】であり、例えば飛行機事故は全死亡数の0.001%しかない
それなのに飛行機事故を恐れて乗らないのは恐怖本能が判断力を鈍らせているから
●目の前の情報を過大視してしまう
人はみな物事の大きさを判断するのがへたくそ
特に数字の扱いには注意が必要で、それ単体では大小がわからないので、
比較できるような他の数字を持ってきて慎重に検討しなければならない
●ひとつの例が全てに当てはまるという思い込み
人は無意識に物事をパターン化してしまい、別の事象にも当てはめてしまう
意識不明の人を仰向けに寝かせると自分の吐しゃ物で窒息死するケースを
そのまま赤ちゃんにも当てはめてしまえば、うつぶせ寝による突然死を招くことになる
●世界は単純ではない
ひとつの視点だけで理解できるほど世界は単純ではない
様々な角度から問題を捉えた方が正確に理解できるだけでなく、
現実的な解答を見つけることができる
E氏の私見
本書は発売当初から売上が良く、ほとんどの書店で平積みされていた記憶があります。
もともと販売好調ではありましたが、そこにさらに燃料を注いだのが
オリエンタルラジオ中田敦彦さんのYouTube大学による書籍紹介でしょう。
動画を見て買ってみたという人も多くいるはずです。
さて、そんな今なお話題に上がることが多いロングセラー候補の本書ですが、
著者の主張は「事実に基づく世界の見方をしようぜ」ということに尽きます。
タイトルがファクトフルネスですから、無理やり訳すなら事実中心主義とかでしょうか。
世界を正しく見れていない、つまりは事実を正確に把握できていないことは
私たちにとって何が問題なのでしょうか?
その答えは明白です。
「間違った判断や行動をしてしまうから」ですね。
例えば部下からこんな提案があったとしましょう。
『A商品の売上高が前年比20%アップしています。これからもっとプロモーションをかければさらに売れるはずなので広告宣伝費を増やしましょう。』
確かにA商品の売上高が20%増加しているのは間違いのない事実でしょう。
しかし、会社全体の売上高におけるA商品の貢献度合いを測らないことには、
部下の提案は全く持って意味をなしません。
仮にA商品の売上高が100万円から120万円にアップしていたとしても、
会社全体の売上高が1億円なのだとしたら、A商品の売上構成比率はたった1.2%ということになります。
これでは広告宣伝費をかけてもコストパフォーマンスが悪いと言わざるを得ません。
※これからA商品を主力商品に育てていくのだという会社の戦略があれば話は別ですが・・・
つまり、表面的な事象やデータを基に安易に判断することなく、
多角的な視点を持って考えねばならない、ということです。
『世界を正しく見ましょう』という著者の主張はスケールが大きいものですが、
私たちが日常生活で見聞きするニュース、またビジネスの現場においても
十分に活用できる思考法がたくさん詰まっていますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
それでは、また次回をお楽しみに!