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有山徹が語る「人的資本の最大化を実現するチームを創るリーダーの在り方とは~プロティアン型リーダーシップ~」

2022.11.30

弊社ヒップスターゲートは、企業の成長と発展を担う「次世代リーダー像」を探るべく、有識者の方々をゲストに迎え、8月から12月にかけて全5回の無料オンラインセミナーを開催いたします。本記事は、2022年11月8日に開催した第4回セミナーより、『人的資本の最大化を実現するチームを創るリーダーの在り方とは』をまとめたものです。プロティアン型のリーダー育成にお役に立てますと幸いです。

セミナー名

「人的資本の最大化を実現するチームを創るリーダーの在り方とは~プロティアン型リーダーシップ~」

セミナーの目的

VUCA時代におけるプロティアン・キャリアの必要性を認識し、キャリア支援という観点で組織のメンバーを支えることができるリーダーの在り方を知る

セミナーの内容

次世代リーダーは、人的資本の最大化による企業価値向上のため、メンバーのパフォーマンスを最大化するキャリア開発職としての役割が求められています。VUCA時代において、それを実現するには、一人ひとりが自律したキャリアを形成する必要があります。また、そのキャリアは、決して部下個人のものではなく、上司と部下で創り上げていくものです。 一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮し、自律的に仕事に取り組み、組織エンゲージメントを高めるために、リーダーはメンバーとどのように関わるべきでしょうか。 ゲストスピーカーに、一般社団法人プロティアン・キャリア協会の代表理事を務める有山徹氏をお招きし、メンバーが自律的なキャリアを形成しながら、組織を発展させる方法についてお話いただきます。

プロティアン・キャリアとは

本日は、「人的資本の最大化を実現するチームを創るリーダーの在り方とは~プロティアン型リーダーシップ~」というタイトルで講演をします。 私が所属しているプロティアン・キャリア協会では、次世代リーダーにはプロティアンという考え方が必要だと考えています。 プロティアン・キャリアとは、アメリカの心理学者であるダグラス・ホール教授が1976年に提唱した理論です。もう46年も前のことで、社会環境も変化しましたから、私が田中研之輔教授と代表理事を務めている一般社団法人プロティアン・キャリア協会では、現代版プロティアン・キャリア理論を提唱しています。これは田中研之輔教授がプロティアン・キャリアをもとに現代の要素を取り入れてアップデートしたもので、組織と個人のより良い関係性を構築するには、その前提として個人の主体的なキャリア形成が必要であるという考え方です。

人的資本最大化に向けた取り組み「人材版伊藤レポート」では、「ベクトル・方向性」「個と組織の関係性」「雇用コミュニティ」の3つに関して変革しなければならないと提唱しています。 その変革において、理論的な基軸となっているのが正にプロティアンであり、組織と個人の関係性を重視した理論実践手法として、我々はプロティアンをお伝えしています。 誤解がないようにお話しすると、プロティアンとは、組織が主で個人が従という考え方ではありません。パートナーとして、選び・選ばれる関係性をつくっていくのがプロティアンであるとご理解いただければと思います。

人的資本の最大化を実現するリーダーとは

人的資本の最大化とは、社員・管理職も含めメンバー全員が自身のパフォーマンスを100%発揮できている状態を指します。

上記の図は今までの経営、組織、リーダーシップ、キャリアの変遷をまとめたものです。 時代の特性として、昭和は大きく経済成長を遂げた成長期、平成は経済が停滞していた時期、そして令和は再活性期であると捉えることができます。 経営の重点項目としては、昭和はお客様第一主義、平成は経営の効率化で株主を重視、令和では社会的な存在価値を重視する、例えば最近ではパーパス経営などの、どう生きていくのか、なぜ働くのかといった本質的なところが社会から求められています。 組織の変遷でいうと、昭和のリーダーシップ=権力者であった中央集権型から、平成ではある程度分散型になり、リーダーシップとは変革する人という色が強くなりました。令和に入り、リーダーシップおよび組織はDAO型と呼ばれる分散自律型組織になっていくのではないかと言われています。 その中で求められるのは、変化の時代の経営をメンバーと共に考え伴走する支援者といったリーダーシップ・マネジメントではないかと考えます。人事的な視点でいうと、これまでの人的資源管理ではなく、人的資本投資への移行がキーワードになるのではないでしょうか。 では、キャリアに目を向けてお話をいたします。 なぜリーダーシップの話なのにキャリアかというと、リーダーシップを発揮するにあたり、メンバーが望む生き方や、働き方、働く意味が重要だからです。 キャリアの変遷でいうと、昭和は組織が主体、平成は個人が主体でした。令和の時代においてキャリアの主体者は行為者、すなわちプロティアンであり、自律的なキャリアが求められていると感じます。理論的な枠組みとしては、我々が提唱しているプロティアンという考え方が令和の時代にはマッチしています。 なぜなら、これからの職は複職が主流となることが考えられるからです。一つの組織に留まるのではなく、自分の可能性を広げていくために複数の職を持つということです。この時に大切なのは、組織との関係性を考慮して働く姿勢です。自分勝手ではいけません。

リーダーシップにおける現代の潮流

ここで、リーダーシップにおける4つの現代の潮流を説明します。 まず1つめは、リーダーシップとは誰でも後天的に身につけることが可能であるということです。リーダーシップとは特定の人が持っている才能や特性ではなく行動のことを指します。ですので、まさに行為者であるプロティアン的な行動であると言えます。 2つめは、現代のリーダーの在り方は1つではないということです。 最近はオーセンティックリーダーシップといった、自分らしいあるがままのリーダーシップが取り上げられることが増えています。 3つめは、変化の時代において、リーダーは多いほうがいいということです。 画一的な指示命令系統で業務が十分に成立していた昭和の時代であれば、少数のリーダーでも組織を管理できたのですが、VUCA時代のビジネスシーンに適応するためには、自ら考えて動ける自律型組織である必要があります。ゆえに今、様々な企業で経営課題として自律的なキャリア開発ができる人材の育成が挙げられているのです。 4つめは、リーダーには、リーダーシップとマネジメントの両方が求められているということです。もちろん、どのようなチームを創っていくのかによって変わるのですが、双方がある一定のレベルまでは求められる時代であると言えます。

プロティアン・キャリア開発とは永遠のリーダーシップ開発である

新しいリーダーシップの潮流を受けてリーダーとして成長するには、やはり自分自身を動かすことが必要です。 自分を動かすことができなければ当然チームを動かすことはできません。最初のステップは自分を動かすこと、そして次のステップで隣の人を動かす、他者を動かしていく、そうやってチームを動かしていくことでリーダーとして成長することができます。 自律度を高め、チームを動かし、社会課題を認識し、周囲を巻き込みながら解決していくスキルこそが、現代に求められるリーダーシップであると我々は考えます。

プロティアン・キャリアとはなにか

つまるところ、プロティアン・キャリアとは何かと言うと、キャリアの成否を決めるのは あくまで自分自身であるということです。 我々は、組織は地面、すなわち自分自身のキャリアを積む場のようなものと捉えています。自分が望むキャリアを積むために、キャリア機会を提供してくれるのが組織であり、そのために個人も組織に貢献するという関係性が、プロティアン・キャリアの考えです。 リーダーたるもの、キャリア自律をしなければならない、これが大前提ということです。

プロティアン・キャリアの特徴

プロティアン・キャリアの特徴は大きく分けると3つあります。 1つめが、自分らしさ×変化適応力です。 重点的なコンピテンシーとしては、自分らしくありながら、相手を知り変化に適応するという考え方です。 ここの掛け算はどちらか一方だけに比重が偏っても駄目で、双方が高め続けることが必要です。加えて、互いの変化と向き合い続けることも大事です。 2つめの特徴は、周囲との関係性構築です。 プロティアンでは、関係性を非常に重視しており、個人が主体的にキャリアを考えるべきだと主張しつつも、周りとの関係性も大切であるとしています。 よく法人のお客様からこの観点で共感をいただくのですが、キャリア自律=退職ではなく、プロティアン・キャリアは関係性理論重視であり、組織とのより良い関係性があるからこそ、自分自身の可能性も最大化されるという考え方です。 3つめの特徴は、アダプタビリティです。 アダプタビリティとは、変化を洞察し柔軟に変化に適応するマインドセットと迅速な意思決定スキルのことです。このスキルは本日のテーマである、人的資本を最大化するリーダーに必須のスキルであると言えます。 これら3つは次世代リーダーの必須スキルであり、永遠に磨き続ける必要があります。また、これからは全ての人にキャリア自律が求められていますので、ぜひ、この3つの観点を踏まえて自身ができていないところ、弱いところを強化する、もしくは自身の強みを活かしてリーダーとして成長していくことを考えていただきたいです。

人的資本最大化に向けた個人と組織の関係性へのアプローチ

上記3つの観点を違う角度でまとめたものが下記の図です。

やはり個人と組織の関係性が大事な要素です。 まず、パーパスとして、リーダーは仕事の依頼をするときに、メンバーのキャリアを考えて仕事のアサインができるかどうかが重要視されます。 組織が求めるから依頼するのではなく、この仕事がその人のキャリアにどうプラスに作用するのかを起点に、仕事をアサインすることで個人のパーパスが向上します。従来は、組織コミットメント型でしたが、それでは仕事に対するモチベーションやエンゲージメントは高まりません。個人のパーパスを高めるためにも、関係性の構築を重視して仕事のアサインに取り組む必要があると言えます。 リクルートが発行している「人的資本経営に関する働く人の意識調査(2022)」によると、大体40~50%の人が最適な部署配置、ジョブアサインであるとは感じていないことが明らかになっています。 さらには、自身のスキル・経験が言語化できる、現在の仕事に必要な経験がわかっている、将来の仕事に必要な経験が分かっている、新しい仕事をみつけるのは難しくないと答えた人はわずか25~40%であり、半分以上の人がこれらに対して不透明であると感じていることが分かります。 この様な状態は人的資本が活かされているとは言えません。

人的資本を活かすためにこれからのリーダーはどうあるべきか

キャリア開発支援者として、「管理職」という言葉は不適切だと感じています。管理職というと、管理することが仕事だと思われてしまうからです。これからのリーダーは共に考え、共に成長していくために、部下と学び、挑戦し、応援しあう関係性をつくることが求められます。そのため、我々は管理職をキャリア開発支援者と呼んでいます。 これからのリーダーの在るべき姿とは、中長期的なキャリア開発ビジョンを持ち、仕事を通じてキャリア機会の提供や内省の支援をし、キャリア成長を励まし、メンバーの心理的成功を応援できる人です。その結果として、人的資本の最大化が起きると考えています。

有山 徹 氏

一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事
4designs株式会社 代表取締役CEO

2000年に早稲田大学卒業、早稲田MBA/中小企業診断士/キャリアコンサルタント/ISO30414リードコンサルタント 大学卒業後、メーカーを経て自動車、IT企業等の事業会社の経営企画を13年、経営コンサルティング会社3年ほどを経て2019年7月に経営コンサルティング、組織開発支援事業を行う4designs株式会社を設立。 2020年3月、一般社団法人プロティアン・キャリア協会を法政大学キャリアデザイン学部田中研之輔教授と設立し、現在共同代表を務める。人的資本最大化に向けたプロティアンを軸とした組織開発支援に取り組んでいる。 著書: 今のまま働き続けていいのか一度でも悩んだことがある人のための新しいキャリアの見つけ方自律の時代を生きるプロティアン・キャリア戦略

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