2017年度の新入社員に対して、労働に関する意識調査を実施しました。これは、新人・若手社員を対象とする人材育成の質の向上を目的として、ヒップスターゲートが提供する新入社員研修の受講者に対して調査したものです。企業や官公庁・団体の人事・教育担当者の方々にご活用いただけますと幸いです。
【調査名称】2017年度 新入社員労働に関する意識調査
【調査方法】アンケート調査(選択式)
【設問内容】
1.会社の先輩や上司に何を期待しますか
2.働くうえで重要だと感じていることはなんですか
3.仕事をする上でモチベーションとなる事柄はなんですか
4.指示を受けた仕事で不明点があった際はどうしますか
5.あなたは先輩や上司から何を期待されていると思いますか
6.将来、海外に行って働きたいですか
【対象人数】1525名 ※ヒップスターゲートが提供する新入社員研修の受講者
【調査期間】2017年4月4日~5月12日
▶調査結果>サマリー
2017年度新入社員労働に関する意識調査により、新入社員の働く意識の傾向が明らかになりました。設問1.「会社の先輩や上司に何を期待するか」は、「仕事以外の話もできる雰囲気があるとよい」が36%、「マナーや仕事の進め方の基礎を教えて欲しい」が32%で、この2つの選択肢が全体の約7割を占め、昨年突出して多かった「仕事以外の話もできる雰囲気」の回答を振り分けました。仕事や会社への漠然とした不安が表れた結果と言えます。
設問2.「働く上で重要だと感じていること」の回答は、「同期や先輩との良好な人間関係」が42%と最も多く、この設問でも職場の雰囲気を重視する傾向が分かります。次点以降は「仕事がこなせる能力を身につける」37%、「仕事と私生活の両立」15%、「配属される職種・職場」2%、「失敗をするような挑戦はせず結果を出す」2%と回答率、順位ともに昨年と大きな違いはありません。1位回答と2位回答は昨年2016年にそれまでの結果と逆転していますが、この傾向が今後も続くかは注視が必要です。
設問3.「仕事をする上でモチベーションとなる事柄」の1位回答は「自己実現」31%、次点は「社会人としての成長」で23%でした。注目すべきは、当調査を開始した2014年当初は7.1%の回答率だった「給与、昇給、昇格」が、3年の歳月を経て19%に増加し、順位も最下位回答から3位に上がってきたことです。ご存知のように動機づけは賞罰に依存しない内的動機づけと賞罰や義務によってもたらせる外的動機づけに分けられます。両者に優劣はないのですが、早期の離職を避けたい企業側としては、持続性があると言われる内的動機づけ「自己実現」や「社会人としての成長」などの回答率が下がっていることは、憂慮すべき事態なのではないでしょうか。
ここで、登壇講師119名の報告書から分析した「強み・弱み」を見てみます。
登壇講師から寄せられた報告書を読みながら、私が感じたことは、昨年と比較して「素直」のキーワードが少ないということです。数値をみても2016年度は17%と1位回答でしたが、今年は10%で順位も4位にとどまっています。研修会社の社員として、新入社員研修に立ち会い、また、多くの若い世代とともに仕事をしてきた立場で言うと、素直であることは、人が成長をするための最も重要な資質の一つといってよいと思います。
ある講師から、受講者に対し生活面での指摘をしたところ、聞き流されたという報告が挙がりました。私どもの研修は、受講者同士がライバルであったり、チーム対抗の競い合いがあったりしますので、その成績や成果に集中するあまり、立ち居振る舞いに気持ちが及ばなかったのかもしれません。もちろん、その後厳しく、人を敬う心、気配りの大切さを指導して理解して頂きましたが、所属企業の先輩や上司が見守るなかでのそうした態度は、今年の新入社員の「素直さ」が昨年よりも薄れている象徴的な現象であったと思います。素直に研修に没頭することができれば、深層的に多くの学びを得ることができます。新入社員に限らず、人として素直さを忘れてはいけないと思うところです。一方で、今年、多く挙げられたキーワードが「幼さ」です。昨年も“学生言葉が抜けない”などの関連表現として「幼さ」が挙げられていましたが、今年は、それとは少しニュアンスが違います。言葉遣いをはじめ、生活態度、思考性なども青年になりきっておらず、一見、真面目な受講態度とは整合性がとれません。しかし、119通の報告書を読み込むうち、私なりに見えてきたことがあります。それは、今年の新入社員の見通しの甘さ、想像力の低さです。自分達をとりまく社会の厳しさについて、これまでの新入社員とは明らかに認識が違います。売り手市場であった就職活動の影響かとも思い、また、競争原理を避けた教育方針のもと学生生活を送った影響なのかとも思います。 いずれにしても、今、学ばなければ自分達にどのようなデメリットがあるのかが想像できず、残念ながら緊張感や真剣みに欠けているのです。大人である私たちは、自分の行動がいずれ自分に返る「善因善果」「悪因悪果」 ということを経験で知っていますが、今年の新入社員はこのメカニズムをまだ認識できていない様子です。これが、真面目であるのに学びに一過性があり、どこか幼い印象を形成している要因ではないでしょうか。
▶2017年度新入社員における強み弱みランキング(n=1525)
<強み>:1位「誠実で真面目」12%、2位「分析力があり思考力が高い」11%、
3位「チームワーク・協調性がある」10%
<弱み>:1位「言動に緩さ・幼さが目立つ」23%、2位「主体性・積極性・発信力が弱い」19%、
3位「元気がなく活性が低い」9%、「緊張感に欠け学びが持続しない」9%
設問4.「指示を受けた仕事で不明点があったときの対処」は、「指示を受けた人に確認する」35%、「周囲の人に確認する」31%、「調べて進め方を考える」23%で、昨年同様、この3つに回答が集中しました。基本的な仕事の進め方や、集団・組織での立場について問題なく理解がなされていることが分かります。しかし、“自分で考える”、“なんとかやってみよう”といったチャレンジ精神や主体性を表す「調べて進め方を考える」と「まずはやってみて判断する」を合わせた回答率が、昨年と比較して約2%減少しています。小さな変化ですが、新入社員の自律性を計るうえで注目が必要です。設問5.「あなたが先輩や上司から期待されていること」は、「不明点はすぐに聞き進める」「先輩を進んで手伝い仕事を覚える」「周囲を見て気配りある行動をする」の3つが20%を超える回答率であることは、2014年に調査を開始して以来変化はありません。私たち先輩の立場から見ても、これら3点は大切であり、こうした後輩を指導していきたいと思います。しかし、職場では必ずしもここがマッチングしているとは言えず、新入社員との間にコミュニケーション不全も起こります。先輩社員が、質問をしやすい雰囲気であること、理想的なロールモデルであること、職場に気配りある良好な雰囲気があることが、新入社員に上位回答3点の行動を体現させる条件ではないでしょうか。
設問6.「将来、海外で働きたいか」は、今年も「スキルが身についたら働きたい」の回答が最も多く、回答率は46%でした。アンケートにご協力をいただけた企業には、海外に支社・支店をお持ちの組織も多く、新入社員は現実的な将来を見据えた回答をしたものと思われます。語学力はもとより、社会人としての基礎や業務知識を本社組織のある国内で身につけたいと思うのは当然の結果かもしれません。
▶設問1.「会社の先輩や上司に期待すること」
1位:仕事以外の話もできる雰囲気があるとよい36%
2位:マナーや仕事の進め方基礎を教えてほしい 32%
3位:仕事はミスをしないよう丁寧に教えてほしい16%
▶設問2.「働くうえで重要だと感じていること」
1位:同期や先輩との良好な人間関係42%
2位:仕事がこなせる能力を身につける37%
3位:仕事と私生活の両立15%
▶設問3.「仕事をする上でのモチベーション」
1位:自己実現-夢や理想の自分31%
2位:社会人としての成長23%
3位:給与、昇給、昇格19%
▶設問4.「指示を受けた仕事で不明点があった時」
1位:指示を受けた人に確認する35%
2位:周囲の人に確認する31%
3位:調べて進め方を考える23%
▶設問5.「先輩や上司から期待されていること」
1位:不明点を確認しながら進める28%
2位:先輩を進んで手伝い仕事を覚える26%
2位:周囲を見て気配りある行動をする23%
▶設問6.「将来、海外で働きたいか」
1位:スキルが身についたら働きたい46%
2位:短期間ならば働きたい21%
3位:すぐにでも働きたい12%
【お問い合わせ先】
株式会社ヒップスターゲート 担当: 山並(やまなみ)
TEL:03-5778-4014 FAX:03-5778-4024 E-MAIL: ask@hipstergate.jp
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