ヒップスターゲート

ダイバーシティのプロが呟くアレコレ

女性活躍を推進するために

2014.11.04

アベノミクスの成長戦略の一つとして、「女性の活用」が非常に脚光を浴びている昨今。私が勤務していた保険会社では、今から10年以上前に、女性活躍推進に関する専門部署を立ち上げていました。その名も「女性いきいき推進グループ」。今から思えば、「女性」に特化したネーミングでちょっと時代を感じますが・・・。現在では、ダイバーシティー推進という名のもと、性別だけではなく、国籍や障がいの有無、年齢といった様々な多様性を認め合う活動として幅広い取組みを行っていると思います。

さて、話は戻って、当時の「女性いきいき推進グループ」。私自身はこの直接のメンバーではなく、隣の席に座って、社員の人材育成の担当として、同じ人事部内に勤務していました。女性活躍推進の専門部署が出来たことで、女性が働きやすい制度がどんどん出来上がり、またそれを活用することを推進する動きも活発になっていきました。そんな流れを受け、私も女性社員(当時の一般職)の教育に力を入れたいと考えるようになりました。
そこで、当時「中堅」と言われる入社4年目~8年目頃の社員のモチベーションが上がっていかないこと、この時期の退職者が多いことなどにスポットを当て、中堅層の女性社員向け研修を新たに企画することにしました。先輩と二人で必死に研修内容を考えて、上司にいざ提案。ところが、上司からは「中堅層の研修って、総合職にはないプログラムだよね?なのに、どうして一般職(女性社員)にやる必要があるの?」という思わぬコメントが返ってきました。女性社員の現状の課題とともに必要性をいくら説明しても、「総合職にない研修だから・・・」という理由だけで、敢え無く研修は却下されてしまいました。女性社員を下に見ているともとれるこのコメントは、残念ですが、当時は当たり前でした。でも、世の中の企業では今でもまだまだこういう考えの上司が多いのではないかと思うのです。(もちろん、そうではない上司もたくさんいますが。)

女性活躍を推進するためには、まずは上司である男性社員の考え方を変えなければ、前には進まないと感じます。男性上司の多くに悪意はありません。部下である女性社員に「大変だからそんなことまでしなくていいよ」という「勘違いの」優しさで仕事を制限したり、可能性を摘んでしまい、それを受けた女性社員は、「その方が楽だからいいわ」という慣れや甘えに「どうせ期待されていない」という諦めも加わり、経験を積むことや新たな分野にチャレンジすることに二の足を踏んでしまう。そこに、上司が何を思ったか新たな分野の仕事を任せようとすると、女性社員は、「やったことがないので、出来ません」と固辞し、上司は「やっぱり女性社員は・・・」と固定概念で決めつけてしまう。こんな悪循環があちらこちらで起こっているのではないでしょうか。必要なのは、上司からの「期待」。当たり前のことですが、まずはその一歩で、部下の女性社員は責任感や当事者意識を持ち、新たな経験を積んでいくことが出来るのです。是非上司の皆さんには、大いなる期待とそして、その後をしっかり見守り、フォローする細やかさを持っていて欲しいと思います。

ちなみに、私が企画した中堅層の女性社員向け研修は、却下した上司が翌年転勤したことにより、1年後にようやく実現することができました。そして、この研修を受講し、大いなる「期待」を感じた女性社員の多くはその後見違える活躍をするようになったのでした。

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