今どきの研修内製化(10)~内製化戦略の本質~
2017.01.31
ツイートプロフェッショナル人材の育成
内製化の意図するところはどこにあるでしょう。単に、コストダウンするとか、自前で行えればいいというものではありません。内製化とは、自力で自社の人材を育てていくということであり、人を指導し、育て、知力のアップと技能の向上、それらを通じて社内の人材を一流にしていきたい、そして、真のプロフェッショナルを育てたい、という活動の第一歩です。
自社で育てられるということは、独自技術や機密事項、営業秘密ともいえる知的財産を他の誰にはばかることなく、教えられるということも意味しています。
大切な伝承
人口ピラミッドの変化に伴い、企業も少子化社会の波をもろにかぶります。ベテランは引退し、高度経済成長からバブルに至るまでの繁栄を知っている世代はいなくなります。残された社員は右肩下がりの下り坂しか経験していません。チャレンジすること自体が減っており、経済が上向くという体験は想像もできない世界です。
そのような環境において、独自の技術やサービスを守り、後進の社員に伝えていくことは、企業の生き残りをかけた課題であるとも言えます。社会の変化や企業間競争で生き残っていくためには、社会の中で、一歩も二歩も抜きんでた存在でなくてはなりません。
伝えるべきは理念
企業の存在意義は何にあるでしょうか。まさに、事業の目的であって、何かに貢献したいという企業の先達の理念から出発しているはずです。企業が拡大する過程にあっては、事業も幅広く展開していくことでしょう。しかし、企業の底流に流れるものは仕事をするにあたっての考え方、すなわち「理念」です。
この理念は、考え方の合う人々が一つになって、つむいでいくものでもあります。
筆者は、京セラを訪問し、経営者の稲盛哲学をいかにして教えていくのか、聞いてきたことがありますが、実に、研修の半分は理念教育であるというお話でした。
しかも、その時代時代で、若者の理解できる言葉に変えていく必要があるともおっしゃっていました。伝えたい気持ちも、伝わる言葉でなければ伝わらないということでしょう。
やはり、社員を育てるのは、先輩、すなわち人なのですから。人を育てていくには、大変な苦労が伴うし、努力をしなければいけないということでしょう。